著者
齋田 将之 関 英一郎 丹羽 浩一郎 呉 一眞 柴田 將 加賀 浩之
出版者
一般社団法人 日本消化器内視鏡学会
雑誌
日本消化器内視鏡学会雑誌 (ISSN:03871207)
巻号頁・発行日
vol.65, no.5, pp.442-447, 2023 (Released:2023-05-22)
参考文献数
8

症例は88歳男性.若年期に完全内臓逆位を指摘されていた.上部消化管内視鏡検査で胃前庭部小彎後壁に20mm大の0-Ⅱc型早期胃癌を疑う病変を認めた.左側臥位では病変の存在する前庭部の伸展が不良であったため,右側臥位で再度内視鏡検査を行った.右側臥位では左側臥位と比べ前庭部の伸展は保たれていた.しかし,右側臥位では通常と異なる術者姿勢と周辺機器配置を要し,ESDにおける繊細な内視鏡操作は困難であることが想定され,実際のESDは左側臥位にて行った.左側臥位におけるESDでは合併症なく一括切除可能であった.完全内臓逆位における早期胃癌に対しESDを行う際,左側および右側の側臥位における術前シミュレーションは有用であると考えられた.
著者
鵜瀞 条 関 英一郎 権田 厚文
出版者
Japanese College of Surgeons
雑誌
日本外科系連合学会誌 (ISSN:03857883)
巻号頁・発行日
vol.31, no.4, pp.712-716, 2006-08-01 (Released:2010-02-09)
参考文献数
6

症例は57歳, 男性。食欲低下と立ちくらみを主訴に当院を受診した。来院時はHb値4.6g/dlであり, 上部消化管内視鏡にて胃切除後吻合部潰瘍が大腸に穿通し瘻孔形成している所見を認めた。待期的に手術を行い, 胃切除Roux-en-Y再建後吻合部潰瘍の横行結腸穿通による瘻孔形成の所見であった。吻合部切除および横行結腸部分切除を行い, 再びRoux-en-Y法にて再建した。胃切除後吻合部潰瘍の横行結腸穿通による瘻孔形成は比較的稀ではあるが外科的な根治術を要することが多く, また吻合部潰瘍を繰り返すことも多い。自験例においても術後に吻合部潰瘍の再発をみたがproton pump inhibitor (PPI) 投与にて治癒しえた。胃切除後吻合部潰瘍の外科的治療においては慎重な術式の選択と術後PPIの投与を組み合わせることが重要と思われた。