著者
長岡 章平 中村 満行 瀬沼 昭子 関口 章子
出版者
The Japan Society for Clinical Immunology
雑誌
日本臨床免疫学会会誌 = Japanese journal of clinical immunology (ISSN:09114300)
巻号頁・発行日
vol.28, no.6, pp.389-397, 2005-12-31
被引用文献数
1 3

1998年8月から2003年12月までの期間中当科において初めてMTXを開始した活動性RA460例(男80例,女380例,平均年齢59.3歳)についてカルテベースにて検討した.MTX投与24週後のACR20改善率61.3%,50%改善率30.4%であり,投与48週までの累積投与継続率は0.567であった.観察期間中260例(56.5%),304回に有害事象を認めた.有害事象のため投与中止した症例は52例,11.3%,死亡例は10例,2.2%であった.1%以上の内訳は,肝機能異常31.7%,感染症6.1%,消化器症状5.0%,口内炎3.9%,血球減少3.5%,骨折3.5%,悪性腫瘍2.6%,間質性肺炎2.0%,脳あるいは心血管障害2.0%,頭痛1.7%,皮疹1.3%,脱毛1.1%であった.有害事象例は高齢者,高Stageに多かった.MTXの有用性が再評価されたが,慎重なモニタリングが大切であると思われた.<br>
著者
関口 章
巻号頁・発行日
2012

科学研究費助成事業(科学研究費補助金)研究成果報告書:基盤研究(S)2007-2011
著者
関口 章
出版者
筑波大学
雑誌
特定領域研究
巻号頁・発行日
2007

アセチレンのsp炭素をケイ素原子に置き換えたケイ素-ケイ素三重結合化合物「ジシリン」を世界に先駆けて安定に合成することに成功し、その分子構造を決定している。炭素-炭素三重結合化合物アセチレンが直線構造を持つのとは対照的にジシリンはトランス折れ曲がり構造を持ち、三重結合を形成する二つのπ結合は非等価であり、そのπ軌道準位はアセチレンのそれと比較すると著しく高いなどの特徴を有する。今回、ジシリンの物性、及び反応性を明らかにすると共にそれらに対する置換基の電子的、立体的効果を評価した。特に、今回、ジシリンと炭素-窒素三重結合を有するニトリル類との反応性を検討したところ、炭素パイ電子系と全く異なる反応性を示すことを明らかにした。1. 三重結合ケイ素化合物ジシリンに対して過剰量のトリメチルシリルシアニドを無溶媒条件下、室温で加えると、溶液の色は赤褐色へと変化した。ベンゼン中から再結晶することでジシリンービス(シリルイソシアニド)錯体の紫色結晶が得られた。一方、ジシリンのヘキサン溶液に対して2当量のトリメチルシリルシアニドを加えた場合、微量のビス(シリルイソシアニド)錯体とともに1, 4-ジアザ-2, 3-ジシラベンゼン類縁体が主生成物として得られた。2. ポリアセチレンの化学ドーピングによるソリトンやポーラロンの発生などの諸物性との関連から、ケイ素-ケイ素三重結合化合物、ジシリンのアルカリ金属による-電子還元反応を検討した。その結果、カリウムグラファイト、^tBuLiとの反応で容易に電子移動を起こし、安定なジシリンアニオンラジカルを生成することを明らかにした。これらのアニオンラジカルの分子構造や電子状態をX線構造解析、ESR測定、理論計算などを用いてアニオンラジカルの諸物性を明らかにすることができた。最終目標のポリジシリンの合成には至っていないが、新しいπ電子化合物三重結合ケイ素化合物ジシリンの興味ある反応性を明らかにすることができた。
著者
関口 章
出版者
筑波大学
雑誌
萌芽研究
巻号頁・発行日
2005

ケイ素などの第3周期以降の高周期典型元素におけるπ電子系化合物(多重結合化合物)は炭素などの第2周期元素π電子系化合物に比べ、占有π軌道準位が著しく高く、非占有π*軌道準位が著しく低いという特徴を持つ。またケイ素-ケイ素σ結合(単結合)の軌道準位は炭素-炭素π軌道準位に匹敵するほど高く、ケイ素-ケイ素単結合で連なったポリマー(ポリシラン)では主鎖を形成するσ電子が、炭素π共役系におけるπ電子のように非局在化するσ共役を発現することも知られている。従って、ポリアセチレンのケイ素類縁体であるポリジシリンでは、高周期元素特有の非局在化したσ電子によるσ共役に加えてπ共役の複合化による新規な物性発現も期待される。本研究では、筆者らが初めて安定な化合物として合成・単離することに成功したケイ素-ケイ素三重結合化合物(ジシリン)の反応性を検討してきた。有機リチウム開始剤によるアニオン重合を行うべく、種々の有機リチウム試剤との反応を行ったところ、tert-ブチルリチウムでは1電子移動とそれに引き続く水素移動を経て、水素置換ジシレニルリチウム種を与え、単独重合は進行しなかった。また、ジシリンの重合活性の向上を目指して新規な置換基を導入したモノマー(ジシリン)の合成検討を行った。その結果、ジアルキル(アリール)シリル基を導入したジシリンは、spケイ素が空間的に接近するアリール基に対して反応活性であり、spケイ素が空間的に接近するアリールC-H結合へ挿入を経て異性化するため、ジシリン自体を安定に単離することが出来なかった。一方、トリアルキルシリル基を導入した第2のジシリンを安定に合成することには成功し、その分子構造を単結晶X線結晶構造解析で決定した。