著者
諸橋 麻紀 関島 香代子
出版者
一般社団法人 日本助産学会
雑誌
日本助産学会誌 (ISSN:09176357)
巻号頁・発行日
pp.JJAM-2020-0011, (Released:2021-06-11)
参考文献数
16

目 的近年少子化問題や施設で働く助産師の偏在や潜在の問題に対し,地域助産師への期待が高まっている。そこで地域助産師が多く活躍している新潟県助産師会全会員を対象に,地域助産師の活動の実態とアイデンティティを明らかにすることを目的とした。対象と方法新潟県助産師会会長の承認を得た後,同会事務局より全会員(223名)に調査票を送付,郵送で回収した。数的データは,記述統計量の算出,地域での経験年数別にχ2検定を行い,自由記載は質的記述的に分析した。結 果回収数127名(回収率56.9%)のうち地域で活動をしていた94名について検討した。年代は40・50・60歳代がそれぞれ3割を占め,活動は「訪問指導」80名85.1%,「母乳相談・乳房マッサージ」64名68.1%が多かった。「訪問指導」はやりがいがあり収入の中心で,それ以外の活動は収入が伴っていなかった。現在の状況が「地域」で「分娩介助をしていない」68名では「今後もやらない」が多かった(48名70.6%)。経験を積んでも研修会や講演会などへ参加し自己研鑽をしていた。自由記載(40名,126記載)から【生涯にわたり女性に寄り添い支援する親密な関わりであり,やりがいを感じる】【活動をするためには継続した自己研鑽が必要である】【生涯のキャリアプランとして地域助産師を続けたい】【収入が少なく,行政のサービスでは役割を発揮できない現状】【社会的地位や認知度が低い現状,もっと認知度を上げることが課題】を含む8つのカテゴリーに分類した。結 論地域助産師は主に「訪問指導」に時間をかけ収入を得てやりがいを感じ,「母乳相談・乳房マッサージ」など多様な活動に従事していた。「分娩介助」にこだわらず継続した自己研鑽を積み,女性の一生に寄り添い生涯地域で助産師を続けたいというキャリアプランを持っていた。しかし収入,社会的地位,認知度の低さを課題としていた。
著者
関 奈緒 関島 香代子 田辺 直仁 鈴木 宏
出版者
Japanese Society of Public Health
雑誌
日本公衆衛生雑誌 (ISSN:05461766)
巻号頁・発行日
vol.51, no.4, pp.252-256, 2004

<b>目的</b> 成人式における喫煙率調査を試行し,未成年者喫煙防止対策の基礎値把握および長期評価指標としての実用性を考察する。<br/><b>対象および方法</b> 学校・地域保健連携による包括的地域たばこ対策を推進している新潟県 A 村(人口約6,500人)とその近隣の B 町(同12,000人)を対象地区とした。平成14年度に 2 地域の公的行事である成人式に出席した新成人(A 村69人,B 町118人)を対象に,現在の喫煙状況,初喫煙年齢,喫煙常習化年齢(A 村のみ),出身小学校等を無記名自記式アンケートにより調査した。<br/><b>結果</b> A 村の男女別新成人喫煙率は,男性68.0%,女性48.6%,かつその約 9 割は毎日喫煙者であり,喫煙者の 7 割以上が未成年期で常習化を来していた。B 町の新成人喫煙率もほぼ同様の結果であった。なお,高校生を対象とした喫煙率調査のみでは未成年者喫煙率が20%程度低く見積もられる可能性が示唆された。<br/><b>結論</b> 成人式を活用した喫煙率調査は,未成年者喫煙防止対策の基礎値把握および長期評価の簡便な指標として実用可能である。