- 著者
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山田 知佳
小林 恵子
関 奈緒
- 出版者
- 日本公衆衛生学会
- 雑誌
- 日本公衆衛生雑誌 (ISSN:05461766)
- 巻号頁・発行日
- vol.64, no.12, pp.718-726, 2017 (Released:2018-01-05)
- 参考文献数
- 21
目的 問題飲酒の早期発見と適切な介入のための示唆を得るために,交代勤務労働者の飲酒行動の特徴と問題飲酒に関連する要因を明らかにする。方法 A工場の全従業員を対象に無記名自記式質問紙調査を実施した。交代勤務労働者が全員男性であったため,性差を考慮し,日勤者から女性を除外し,230人を分析対象とした。調査内容は問題飲酒の有無,飲酒行動,問題飲酒の関連項目等とし,交代勤務と問題飲酒,交代勤務および問題飲酒と各飲酒行動等の関連について分析を行った。また「問題飲酒の有無」を従属変数とし,単変量解析でP<0.20の変数を独立変数として,年齢を強制投入した上で,変数減少法による二項ロジスティック回帰分析を行った。結果 交代勤務労働者の飲酒行動の特徴として,「自宅」での飲酒が日勤者に比べ有意に多かった(P=0.037)。交代勤務労働者の飲酒理由は日勤者に比べ「よく眠れるように」(P=0.006)が有意に多く,入眠のために飲酒することがある交代勤務労働者が,日勤者に比べ有意に多かった(P<0.001)。 「入眠のための飲酒あり」(OR 6.38, 95%CI:2.11-19.29, P=0.001),「(職業性ストレスの)身体的負担が高いこと」(OR 2.24, 95%CI:1.11-4.51, P=0.024)は問題飲酒のリスク増加と有意に関連が認められ,「家族・友人からのサポートが高いこと」は問題飲酒のリスク減少と有意な関連が認められた(OR 0.75, 95%CI:0.58-0.97, P=0.030)。結論 男性交代勤務労働者の飲酒行動の特徴と問題飲酒の関連要因について検討した結果,日勤者に比べ「自宅での飲酒」,「入眠のための飲酒」が有意に多いことが特徴であった。 男性交代勤務労働者の問題飲酒のリスク増加には,「入眠のための飲酒あり」,「身体的負担が高い」ことが関連し,「家族・友人からのサポート」は問題飲酒のリスク減少に関連していたことから,夜間の勤務終了後の入眠困難感を把握し,飲酒以外の対処行動を支援するとともに,友人や家族からのサポートの重要性について啓発が必要である。