著者
関水 徹平
出版者
関東社会学会
雑誌
年報社会学論集 (ISSN:09194363)
巻号頁・発行日
vol.2011, no.24, pp.109-120, 2011-10-01 (Released:2015-06-12)
参考文献数
23
被引用文献数
1

This paper considers who is “Tojisha” (the person concerned) in the problem of “hikikomori” (socially withdrawn Japanese youth). Through critical reconsideration of the definition of “Tojisha” by Ueno Chizuko, it becomes clear that “Tojisha” by Ueno means individuals who recognize and identify themselves as “hikikomori” with respect to their own needs. Then we examine the “Tojisha” in the “hikikomori” problem and point out that family needs are much more expressed than the needs of those who experience “hikikomori”. Finally, we discuss in what meaning socially withdrawn youth themselves are “Tojisha” and we conclude that we can regard the “hikikomori” subjects as “Tojisha” with an alternative formulation of “Tojisha”: ”the subjects who take their experiences not as something anonymous and but as their own experiences”.
著者
関水 徹平
出版者
福祉社会学会
雑誌
福祉社会学研究 (ISSN:13493337)
巻号頁・発行日
vol.15, pp.69-91, 2018-05-31 (Released:2019-06-20)
参考文献数
34

本稿は,上野千鶴子によるニーズ概念に基づく当事者論と,その批判として提起された「問題経験の主体」という当事者概念(関水 2011)を,上野の当事者論の源流のひとつであるポジショナリティ概念にさかのぼって再度検討し,そこから得られた新たな当事者論の視角から,ひきこもり経験者の当事者活動の現状を考察し,その課題・可能性を明らかにしようとするものである. 本稿は次の2 点を明らかにした.第1 に,ポジショナリティ概念を用いた当事者性の再定義から,当事者とは自己のポジショナリティに自覚的に向き合う主体であり,自己のポジショナリティに同一化する「位置的主体化を果たす主体」としての当事者性と自己のポジショナリティを模索する「問題経験の主体」としての当事者性という2 つの当事者性の水準を区別することができることを指摘した. 第2 に,ひきこもり経験者の当事者活動にセルフヘルプとセルフアドボカシーという2 側面があることを確認したうえで,「可能性への期待」に基づく当事者活動が,自己のポジショナリティの核心にある「動けなさ」の経験に向き合わない,もしくはそれを否認するものであり,「当事者による当事者のための活動」から遠ざかるものであることを指摘した.「動けなさ」の経験を尊重する,「不可能性への配慮」に基づいた当事者活動こそが,多様な当事者にとって「当事者による当事者ための」場のひとつになりうる.
著者
那須 壽 草柳 千早 土屋 淳二 榎本 環 河野 憲一 飯田 卓 木村 正人 大貫 恵佳 関水 徹平 大黒屋 貴稔
出版者
早稲田大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2007

「知の在り方・有り様が変わりつつある」という日常的実感(仮説)を導きの糸として、25大学40年間の社会学関連シラバスに関する調査と、社会学の教育と研究に関する質問紙調査を立案・実施し、分析した。これら二つの調査研究は「知の社会学」の構想の一環であり、今日、多くの人びとによって実感されている(であろう)「知」の在り方・有り様の「変化」を見定める第一歩として、社会学知における変化をいくつかの側面から明らかにした。