著者
竹林 純 高坂 典子 鈴木 一平 中阪 聡亮 平林 尚之 石見 佳子 梅垣 敬三 千葉 剛 渡辺 卓穂
出版者
公益社団法人 日本食品衛生学会
雑誌
食品衛生学雑誌 (ISSN:00156426)
巻号頁・発行日
vol.61, no.2, pp.63-71, 2020-04-25 (Released:2020-04-27)
参考文献数
9
被引用文献数
1

本研究では,2017および2018年に実施した食品の栄養成分検査の技能試験について報告する.2017および2018年調査では,それぞれ65および73機関の参加が得られ,参加機関の70%以上は栄養成分表示に関する収去試験を担当しうる公的機関であった.調査試料の食品形態は畜肉ソーセージであり,調査項目はタンパク質,脂質,灰分,水分,炭水化物,熱量,ナトリウム,食塩相当量,カルシウム(2018年のみ),鉄(2018年のみ)であった.義務表示項目である熱量,タンパク質,脂質,炭水化物,食塩相当量の1つ以上について報告結果が不適正と考えられた機関は,2017年調査では全機関の11%および公的機関の9%であり,2018年調査では全機関の15%および公的機関の13%であった.機関間の報告値のばらつきを示す指標であるRSDrは,タンパク質=2%,脂質=3%,灰分=2%,水分=0.5%,炭水化物=9%,熱量=1%,ナトリウム(食塩相当量)=4%,カルシウム=7%,鉄=7%程度であった.特に,炭水化物のRSDrが大きく,炭水化物の表示値が数g/100 g以下の食品の収去試験においては,無視できない機関間差が生じる可能性を考慮する必要がある.
著者
山中 望 藤森 亜希 南部 正人 阪 聡 櫻井 健治 守屋 利佳 東原 正明 鎌田 貢壽
出版者
The Japanese Society for Dialysis Therapy
雑誌
日本透析医学会雑誌 (ISSN:13403451)
巻号頁・発行日
vol.35, no.2, pp.97-107, 2002-02-28 (Released:2010-03-16)
参考文献数
29

【目的】CRIT-LINETMモニター (CLM) を用いたplasma refilling rate (PRR) の測定法は研究者毎に異なり, 確立された方法がない. そこで本研究では, 11通りのPRR測定法の有用性と限界について検討し, 臨床的に利用価値の高いPRR測定法を明らかにすることを目的とした. 【対象および方法】慢性腎不全患者で, 透析中の血圧が安定している患者を対象とした. 透析条件は, 除水速度以外は透析中一定とした. 除水は, 異なる3種類の除水方法 (UF-A, -B, -C) で行った. 透析開始時の有効循環血液量 (BV(0)) は, 生体計測法 (8%法) と回帰I法 (Hct I法, ΔBV% I法), UF-A, -B, -C法の組み合わせから推定した. PRRの測定は, 生体計測法と回帰I法, 回帰II法 (Hct II法, ΔBV% II法), UF-A, -B, -C法を組み合わせた11通りの方法を行い比較検討した.【結果】8%-A法で測定されたPRR値は, 8.7±1.6mL/minであった. 種々のBV(0)測定法とUF-C法との組み合わせで得られたPRRは, 8%-A法のPRRと有意差を認めなかった. UF-B法で測定したPRRは, UF-A, -C法で測定したPRRに比べ有意に低値 (p<0.01, n=13) であった. 【考察】UF-A法より得たPRRは, 除水施行中のPRR値であるといえる. UF-B法より得たPRRが低値を示した理由は, 除水が行われない条件下の測定であったためであるといえる. UF-C法は, PRR測定直前に大きな除水をかけるため, 適用できる患者が限られるという欠点があるが, 膠質とPRRの関係について検討することが可能である.【結論】透析中の除水を考慮したPRRを測定する場合には8%-A法が, 非除水時のPRRを測定する場合には8%-B法が臨床的に有用である. 8%-C法では, 膠質のPRRへの効果を検討することができる.