著者
西村 秀一 林 宏行 浦 繁 阪田 総一郎
出版者
一般社団法人 日本環境感染学会
雑誌
日本環境感染学会誌 (ISSN:1882532X)
巻号頁・発行日
vol.32, no.5, pp.243-249, 2017-09-25 (Released:2018-03-25)
参考文献数
18

低濃度二酸化塩素(ClO2)のウイルス不活化能を種々の湿度条件で検証した.ClO2は高湿度で不安定で,市販のゲルタイプ製剤では閉鎖空間で一定低濃度維持できない.そこで高湿度で低濃度ClO2環境を一定時間維持できる乾式法製剤を用いて実験した.一定室温下で低,中,高の三つの湿度条件下,生活空間でヒトが耐えうる濃度限界とされる20-30 ppbのClO2の,空中浮遊インフルエンザウイルス不活化能を調べた.各湿度,ガス濃度の閉鎖空間でウイルスを空中に放出し,一定時間ガス曝露後,一定量の空気を回収し含まれる活性ウイルス量を調べた.その結果,相対湿度30%環境では,曝露20分後の回収ウイルス量は,対照のガス非存在下と統計学的な有意差はなかった.湿度50,70%では,対照でも回収ウイルス量が放出量の約10%と2%程度まで低下した一方,ガス存在下ではそれぞれ0.3%と0.03%まで低下し,低下は統計学的に有意であった.以上,湿度50-70%環境下であれば,20-30 ppb程度の低濃度ClO2にも抗ウイルス効果はあった.だがそれは,感染管理の視点からは,患者から空間に放出され一定時間経過後残存する活性ウイルスの絶対数から見れば,湿度自体による大幅な感染リスクの減弱にやや上乗せされる程度の効果でしかない.一方湿度30%では,この程度の濃度では感染リスクの低下はほとんど望めないことが,明らかになった.
著者
阪田 総一郎 岡田 孝夫
出版者
日本エアロゾル学会
雑誌
エアロゾル研究 (ISSN:09122834)
巻号頁・発行日
vol.8, no.1, pp.37-45, 1993-03-20 (Released:2011-03-04)
参考文献数
11
被引用文献数
1

The effect of moisture on the chemical formation of air ions produced by corona discharge in clean air, and the formation of large clusters were mainly discussed in this paper. We measured the composition of positive and negative air ions generated by corona discharge in clean air using an atmospheric pressure lonization mass spectrometer (APIMS). The positive ions were composed of H+(H2O)n (n= 1 , 2 , 3 , ……), and the negative ions of CO3-(H2O)n, O2-(H2O)n, NO3-, NO2-(H2O)n, O-, and O3-. The degree of hydration, n, in those hydrate ions increased with a moisture increase. Ultra-fine particles of nanometer size were detected in the ionized clean air with a CNC, and the number of them also increased with the moisture increase. Large hydrate ions which have high degrees of hydration, probably constitute those ultra-fine particles.