- 著者
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金子 紀子
石垣 和子
阿川 啓子
- 出版者
- 石川県公立大学法人 石川県立看護大学
- 雑誌
- 石川看護雑誌 = Ishikawa journal of nursing (ISSN:13490664)
- 巻号頁・発行日
- vol.13, pp.85-94, 2016
本研究の目的は,農村地域で子育て中の母親が感じる母親自身の幼少期と現在における地域のつながりを明らかにすることである.農村地域で乳幼児を子育て中の母親8 名に実施したグループインタビューの内容を質的に分析した.母親自身の幼少期における地域のつながりは,【祖母や母に連れられ大人に混じった】,【子どもだけで自由に遊びまわる世界があった】,【大人は子どもを温かく見守っていた】,【顔見知りの関係で安心感があった】であった.現在の地域のつながりは,【近所付き合いの程度には差がある】,【小学校区内での人付き合いは分からない】,【近所にはない子ども同士のふれあい方がある】,【地縁組織の一員になる】,【不審者等犯罪から子どもを守る】であった.幼少期は総体として肯定的に捉えられ,現在においては希薄化している現状と,農村地域におけるソーシャルキャピタルの正と負の両面を捉えていたと示唆された.