著者
陳 雅 佐藤 浩一
出版者
日本認知心理学会
雑誌
認知心理学研究 (ISSN:13487264)
巻号頁・発行日
vol.3, no.2, pp.193-203, 2006-03-31 (Released:2010-10-13)
参考文献数
25
被引用文献数
1 1

ある対象について思考を抑制しようとすると,かえって侵入的思考が増加するという,逆説的な効果が報告されている.本研究は,従来の研究よりも生態学的妥当性を高めた条件下で,逆説的効果を検討した.まず51名の参加者に「腫瘍問題」を解いてもらった.その後の抑制段階で,抑制群の参加者にはその内容を抑制するように,また非抑制群の参加者には自由に思考するように教示を与えた.続く自由思考段階では,単調作業をする群と静かに座っている群に分けられ,全員自由に思考するよう教示を与えた.各段階において参加者は腫瘍問題に関する思考が侵入する都度,用紙にチェックした.また各段階が終了した時点で,抑制対象の侵入と制御困難感を測定する項目に回答した.単調作業の有無にかかわらず,抑制教示を与えられた群は非抑制群に比べて侵入的思考を多く経験し,侵入と制御困難感の増加を示した.さらに約1週間後にも,抑制の効果は有意な傾向を示した.また腫瘍問題の偶発再生を求めたところ,抑制群の参加者は非抑制群の参加者と比べて成績が低い傾向が見られた.参加者の内観報告に基づいて,侵入的思考の多様性が論じられた.
著者
陳 雅賽
出版者
一般社団法人 社会情報学会
雑誌
社会情報学 (ISSN:21872775)
巻号頁・発行日
vol.5, no.1, pp.19-37, 2016 (Released:2016-11-22)
参考文献数
20

本稿は,8・12天津爆発事故(以下8・12事故と略す)について,事故直後どのような世論がどのように形成されたのかを明らかにするために,新浪微博の公式的なニュース配信アカウント「頭条新聞」の8・12事故に関する書き込みの主題,フレーム,情報源,イメージ,批判対象及び人気書き込みに付随する人気コメントの内容を分析した。その結果明らかとなったのは以下の五点である,第一に,,新浪微博の公式的なニュース配信アカウント「頭条新聞」の書き込みは主に情報伝達機能や公権力の監視機能を果たした。それらの書き込みに対するコメントは主に公権力の監視機能を果たした。第二に,爆発原因に関する政府や瑞海集団への責任追及,消防士の不当な救援措置の指摘,死亡者数や事故による環境汚染データへの不信,メディアの報道への不満,市民による事故発生後の詐欺行為など不適切な行為への批判との世論が形成されている。第三に,政府の事故対応がどのような世論が形成されるかに大きな影響を与えている。第四に,事故経験者から発信された事故経緯など第一次情報がまとめられ,ニュースの形態で配信されたオリジナル情報が過半数であったことは,フォロワーが少ない一般ユーザーによる事故経緯などの情報が速く,広く拡散できるルートが新たに生まれたといえよう。第五に,形成されたネット世論が,死亡者数や事故による環境汚染データを隠蔽しようとした天津市政府の情報開示や中央政府が事故原因を追究したことに後押しする力になった。
著者
陳 雅妏
巻号頁・発行日
2013

筑波大学博士 (工学) 学位論文・平成25年3月25日授与 (甲第6436号)