著者
中本 昌由 南原 英生 荒木 勇一朗 雛元 孝夫
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会論文誌数理モデル化と応用(TOM) (ISSN:18827780)
巻号頁・発行日
vol.42, no.14, pp.64-72, 2001-12-15
被引用文献数
2

本論文では,非ガウス性の確率過程におけるピーク値分布評価法について論じている.ここでは,まず,ガウス過程のピーク値分布評価式により2 つの重み関数を定義し,重み関数の線形結合に基づいてピーク値分布をモデル化している.提案モデルは,帯域情報から求められるパラメータ(帯域パラメータ)に基づいて2 つ重み関数を調節することにより,確率過程のピーク値分布を表現するものである.そして,これを非ガウス過程に適用することにより,非ガウス過程における新しいピーク値分布評価式を導出している.さらに,我々がすでに提案している非ガウス過程に対応した拡張帯域パラメータを使用した場合のピーク値分布評価式も提案している.これらの評価式は,ガウス過程や狭帯域過程のようなスペシャルケースでは,近似をともなわないピーク値分布評価式と一致する.計算機シミュレーションでは,非常に良好な結果が得られており,提案手法の有効性が確認されている.In this paper,we consider an approximate evaluation of the peak values distribution (PVD) for a non-Gaussian random process.We define two weighting functions from the PVD evaluation formula for a Gaussian random process,and model the PVD by a linear combination of weighting functions.The weighting functions are adjusted by a parameter which is related to frequency band information (band-parameter).Furthermore,we derive a novel formula for the PVD approximation of a non-Gaussian random process by applying the proposed model.We also propose a formula with an expanded band-parameter in which a non-Gaussian random process is assumed.This formula agrees with formulas derived without the approximation in the cases of a narrow-band random process and normal Gaussian random process.Results of computer simulations show this methodhas a goodperformance on the PVD evaluation of non-Gaussian random signal,and confirms the effectiveness of the proposed model.
著者
田口 亮 棟安 実治 雛元 孝夫
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. A, 基礎・境界 (ISSN:09135707)
巻号頁・発行日
vol.79, no.11, pp.1817-1825, 1996-11-25
被引用文献数
2

画像信号等の突発的な変化を含む非定常信号が加法雑音によって劣化している場合,その復元には非線形フィルタが有力である.本論文では,階層型ニューラルネットワークを用いて,混合雑音(ガウス性雑音とインパルス雑音の混在雑音)が重畳された画像の復元を目的とする新しい非線形フィルタの一手法を提案する.まず,メジアンフィルタと線形(平均値)フィルタを組み合わせたプロトタイプフィルタを提案する.次に,プロトタイプフィルタがネットワーク構造を用いて表現することが可能であることを示し,そのネットワーク表現を階層型ニューラルネットワークと解釈することにより,メジアンニューラルネットハイブリッドフィルタ(MNNH)へと拡張する.MNNHフィルタは誤差逆伝搬アルゴリズムにより学習可能である.プロトタイプフィルタにおいても混合雑音除去性能は高いが,MNNHフィルタでは,処理対象信号(原画像,加法雑音)の情報が得られた場合,その情報を反映させ,フィルタ性能を更に向上させることができる.最後に,種々の適用例を通じて,MNNHフィルタの有効性を示す.
著者
雛元 孝夫
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. SIP, 信号処理 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.108, no.390, pp.119-124, 2009-01-15

現代制御理論,ディジタル制御論,ディジタル信号処理の間には理論的側面からみて幾つかの共通点や類似点が存在する.これらの三者は互いに影響し合って発展している.特に,状態空間アプローチでは学問分野の区別がつきにくい.ここでは,制御と信号処理の融合という観点からディジタル信号処理に関連した状態空間アプローチについて,黎明期から最近の発展まで簡単に復習する.
著者
雛元 孝夫
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. RCS, 無線通信システム (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.108, no.391, pp.119-124, 2009-01-15

現代制御理論,ディジタル制御論,ディジタル信号処理の間には理論的側面からみて幾つかの共通点や類似点が存在する.これらの三者は互いに影響し合って発展している.特に,状態空間アプローチでは学問分野の区別がつきにくい.ここでは,制御と信号処理の融合という観点からディジタル信号処理に関連した状態空間アプローチについて,黎明期から最近の発展まで簡単に復習する.
著者
雛元 孝夫 狩野 修治
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. A, 基礎・境界 (ISSN:09135707)
巻号頁・発行日
vol.77, no.9, pp.1214-1222, 1994-09-25
被引用文献数
19

高次誤差フィードバックを用いた状態空間ディジタルフィルタの出力雑音分散の最小化問題が取り上げられている.ここで,誤差フィードバックは任意の次数のFIRフィルタによって実現される.これにより,有限語長状態空間ディジタルフィルタの量子化誤差に起因するフィルタ特性の劣化を抑えることができる.本論文では,まず出力雑音分散を最小にする誤差フィードバック係数の最適解が導出される.次に,誤差フィードバックにおけるパラメータ数を減少させ,これに要する計算量の軽減を図るために,対称または奇対称の誤差フィードバック係数によって出力雑音分散を最小化する準最適解が導かれる.数値列では,最適係数または準最適係数の場合はもちろんのこと,それらを2のべき乗で丸めた場合においても良好な特性の得られることが示される.