著者
小倉 充夫 井上 一明 島田 周平 青木 一能 遠藤 貢 松田 素二 児玉谷 史朗
出版者
津田塾大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
1999

冷戦の終焉とアパルトヘイト体制の崩壊は南部アフリカ地域に政治的、社会的、経済的変動をもたらし、民主化、経済自由化、地域協力の進展を促した。1990年代初頭において多くの人々はこの地域の将来に楽観的であった。しかし変革からおよそ10年後の今日、南部アフリカ諸国は失業率の上昇などの経済的苦難、犯罪や感染症の増加など深刻な問題を抱えている。構造調整政策の導入は経済危機を克服するために導入されたが、多くの都市住民の生活を一層困窮させることになった。こうした状況が人々の移動のあり方ばかりでなく、政治意識・政治行動にも影響を与え、農村社会を変化させた。これらの問題を各分担者等はそれぞれの研究領域と対象地域において調査しまとめた。具体的には、ザンビアにおける民主化と非政府組織、ジンバブエからザンビアへの移住農民の生活、ザンビア東部州からの移動と農村社会、ジンバブエにおける農村・都市間移動と反政府運動、植民地時代モザンビーク農村における人口移動、モザンビーク・南アフリカ間の労働移動、アパルトヘイト後の南アフリカにおける和解、ユダヤ人移民差別、中国人労働者導入問題などである。南部アフリカ諸国は南アフリカを中心として相互に密接な関係を発達させてきた。それはアパルトヘイト時代においても継続していた。したがってこの地域においては、一国的な分析は多くの場合限界があると同時に、歴史的な背景と変化のなかに位置づけて現状をとらえる必要がある。それ故、本研究では歴史的分析を重視し、その成果は報告書にも反映された。
著者
青木 一能 林 幸博 水野 正己 水嶋 一雄 辻 忠博 段 瑞聡 新海 宏美 日吉 秀松
出版者
日本大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2011-04-01

平成23年度から平成25年度まで3年間の研究活動を通じて、本研究テーマの趣旨に則した情報収集・分析や現地調査を行い、予期した成果を得られたと考える。各年度において、中国、南アフリカ、台湾からの研究者を招いてワークショップを開催し、本研究のメンバー全員は参加し、報告した。日本国内では、研究会を開き、研究の進捗や途中経過報告などを行った。3回にわたって述べ8カ国(南アフリカ共和国、ボツワナ、マラウイ、ナミビア、レソト、タンザニア、ルワンダ、ウガンダ)にて現地調査を行った。また、アフリカに関する著作を出版する予定し、論文を学術誌に発表することによって、日本社会に還元することができると確信する。
著者
小倉 充夫 青木 一能 井上 一明 遠藤 貢 舩田 クラーセンさやか 眞城 百華
出版者
津田塾大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2010

大半のアフリカ諸国で、 国民統合は言語やエスニシティの同一性によってもたらされはしなかった。冷戦後の現代においても国民形成はアフリカでは最重要な課題であり続けている。この問題を民主化、移動、都市化と関連させて検討した。都市第一世代であった年長者に比して、現在の都市青年層はより教育を受けているが就業が困難であり、彼らの国民的そしてエスニックなアイデンティティの動向に注目する必要がある。