著者
遠藤 貢
出版者
東京大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2010

ソマリ人「ディアスポラ」による送金が、「崩壊国家」ソマリアの現地居住者に対して、アフリカでもっとも発達した仕組みである近代化された仕組みを通じて行われ、個人レベルでの送金に加え、多額の投資などの資金送金の窓口にもなっているほか、「ディアスポラ」は特に北西部ソマリランドの政治状況にも深く関与しており、その動向はソマリアという国家の今後のあり方に大きな影響を与える存在であることが確認された。
著者
大西 裕 品田 裕 曽我 謙悟 藤村 直史 高橋 百合子 稲継 裕昭 遠藤 貢 川中 豪 浅羽 祐樹 河村 和徳 仙石 学 福島 淑彦 玉井 亮子 建林 正彦 松本 俊太 湯淺 墾道
出版者
神戸大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2011-04-01

本研究は、選挙ガバナンスが民主政治に与える影響を、比較政治学的に解明しようとするものである。本研究は、国際比較と日本国内の自治体間比較を通じて、選挙管理という研究上の大きな空白を埋める。調査結果、常識的見解と異なる二つのことが明らかになった。第1に、選挙の公平性、公正性は、国際的に推奨される選挙管理機関の独立性のみでは達成できず、より複雑な扱いが必要である。第2に、日本では選挙管理委員会の業務は画一的で公平、校正であると考えられてきたが、委員会や事務局の構成のあり方によって大きく左右される。それゆえ、市区町村によってバリエーションが発生している。
著者
二村 良彦 二村 夏彦 遠藤貢一 平井 利治
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告アルゴリズム(AL) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.1995, no.32, pp.5-12, 1995-03-17
被引用文献数
4

数列が整列されている度合を表す事前整列性測度Leaves(葉数),および事前整列性のよい数列については高速にソートをする適応整列法LOASとその実現法について報告する.LOASはまず与えられた数列を葉数個の区間にO()時間で分割し,次にそれをO( log葉数)時間でマージする整列法である.本稿ではまず葉数とLOASを定義し,次にLOASがLeavesに関して最適であることの証明を与える.最後にLOASの実現法およびその他の適応ソートや実用的なQUICKソート,MERGEソート等との性能比較結果を示す.We propose a new presortedness measure leaves and a new sorting algorithm LOAS (Leaves Optimal Adaptive Sort) which is optimal with respect to the measure. LOAS divides a given sequence X into Leaves (X) sorted subsequences in O(n) time. Then it merges the sequences in O(n log Leaves(X)) time. Implementation techniques and proof of the Leaves-Optimality of the algorithm are described. In order to prove that LOAS is an efficient sorting algorithm, we have conducted systematic evaluation of several sorting algorithms including Quicksort, merge sort, Skip sort and MEL sort.
著者
遠藤 貢
出版者
公益財団法人 日本学術協力財団
雑誌
学術の動向 (ISSN:13423363)
巻号頁・発行日
vol.28, no.2, pp.2_53-2_56, 2023-02-01 (Released:2023-06-29)
参考文献数
5

ルワンダにおける女性議員の比率は、2020年段階で61.3パーセントと6割を超え、比率の上では世界第一位である。本稿では、それを可能にしているクオータ制を紹介するとともに、この制度の導入の背景と経緯、そしてその効果について多角的に検討する。ルワンダでは、ジェノサイド後、憲法で規定される形でのクオータ制が導入される以前から女性を一定程度優遇する新政策の策定がなされた。2003年憲法第75条に規定されたクオータ制を根拠として、女性の議員比率は向上してきた。ただし、その効果に対する評価は両義的である。また、クオータ制が「男女共同参画」的な視点から政治をとらえる上での有意な効果をもたらしたのかについても課題が残されている。加えて、アフリカでは権威主義体制下でのクオータ制の導入が進められるなどの政治的な文脈にも留意が必要である。
著者
遠藤 貢
出版者
Japan Association for African Studies
雑誌
アフリカ研究 (ISSN:00654140)
巻号頁・発行日
vol.2007, no.71, pp.107-118, 2007-12-31 (Released:2012-08-13)
参考文献数
31

本稿の目的はアフリカの現代的文脈において国家をめぐって生起している現実とそれに対する認識とが有する意味を読み解く作業を行うことである。敷術すると、国家は現代世界においていかなる条件、いかなる理由のもとで国家でありうるのか(また、ありえないのか)という問いをめぐる問題を検討することである。その作業を行うに当たり、「国家」と「政府」を便宜的に腔分けし、また国家の亜型とでもいう形で出現している「崩壊国家」(collapsedstate)と「事実上の国家」(defactostate)が並存するソマリアを事例にして検討する。ここでは、国内統治と国際関係、言い換えれば「下からの視角」と「上からの視角」、あるいは内と外の論理の交錯するところに生起する問題系としての国家を位置づける視座から取り上げようと試みるものであり、国家の変容が、内なる論理ばかりでなく外の論理の変化を伴う形で生起していることが示される。
著者
遠藤 貢
出版者
東京大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2019-04-01

本研究では、再編期にある「アフリカの角」地域の調査を実施することを通じ、2020年段階に向けた「アフリカの角」地域の国際関係を読み解く。そして、それと相互作用の中に展開するアフリカ大陸側の旧来の「アフリカの角」を構成してきた国々における新たな政治的ダイナミズムを明らかにする。現在の動きを示している「アフリカの角」地域の動静を丹念に追う作業を実施する。加えて、域内再編がもたらす国内秩序への影響を、より理論的に分析するための理論的可能性を検討する。その際には、政治体制変動研究の知見を生かし、国際政治と国内政治の関係性を読み解く理論枠組みの構築を目指す。
著者
太田 至 島田 周平 池野 旬 松田 素二 重田 眞義 栗本 英世 高橋 基樹 峯 陽一 遠藤 貢 荒木 美奈子 野元美佐 山越 言 西崎 伸子 大山 修一 阿部 利洋 佐川 徹 伊藤 義将 海野 るみ 武内 進一 武内 進一 海野 るみ
出版者
京都大学
雑誌
基盤研究(S)
巻号頁・発行日
2011-04-01

現代のアフリカ諸社会は、紛争によって疲弊した社会秩序をいかに再生させるのかという課題に直面している。本研究では、アフリカ社会には人々が紛争の予防や解決のために自ら創造・蓄積し運用してきた知識・制度・実践・価値観(=アフリカ潜在力)が存在すること、それは西欧やイスラーム世界などの外部社会との折衝・交渉のなかで不断に更新されていることを、現地調査をとおして実証的に明らかにした。本研究ではまた、「紛争解決や共生の実現のためには民主主義や人権思想の浸透がもっとも重要である」といった西欧中心的な考え方を脱却し、アフリカ潜在力は、人々の和解や社会修復の実現のために広く活用できることを解明した。
著者
大林 稔 落合 雄彦 松浦 さと子 遠藤 貢 武内 進一 牧野 久美子 戸田 真紀子 栗本 英世 船田クラーセン さやか 川端 正久 児玉谷 史朗 高橋 基樹
出版者
龍谷大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2005

本研究は、現代アフリカ社会のダイナミズムにおけるメディアの位置と機能を確定するための基礎的作業であり、90年代以降のアフリカの構造変化に、メディアの発展がどのような影響を及ぼしているかを検証するものである。上記の研究目標達成のため、サハラ以南アフリカ数カ国(フランス語圏二カ国を含む)で、現地研究者の協力を得て進められた。アフリカにおけるメディアの発展史の整理、政治・社会的発展、特に民主化・紛争・経済の自由化及び開発との相互関係を主なテーマとした。またメディアの種類として、新聞・ラジオ・テレビ・携帯電話を含むICTを対象としたが、伝統的な口誦(oral)および筆記(chirographic)メディアは扱わなかった。そこから次のような成果を得た:(1)1990年代の政治的自由化前後より、メディアは政治過程に大きな影響を及ぼすようになった。(2)メディア自由化は一直線には進まず、その速度と深度は政府と市民社会の力関係に依存する。(3)メディアの自由化が始まってから、旧メディア市場への新規参入と新メディアの発展により、メディアの数と種類の増加、到達範囲の拡大が著しい。(4)メディアの発展は情報アクセス量を増加させたが、都市と農村、貧富の格差は縮小していない。(5)自由化により政治以外の分野でもメディアの役割に関心が広がった。とりわけ開発におけるメディアの重要性が認識されるようになった。(6)メディアが社会と(エリートではなく)普通の人々の行動に影響を及ぼし始めている。(7)メディアの今後の発展には、自由化の徹底と人材育成および経営基盤の確立が重要だ。本研究は、メディア自由化の進展により、社会経済発展において情報とそれを伝達するメディアの重要性が増加していることに注意を向けた。今後、政治・経済・文化・社会・開発など全ての分野におけるアフリカ研究において、メディアと情報の役割はますます重要となると思われ、研究の提示した視角は今後の研究発展に貢献できるものと考える。メディアの多様化と情報アクセスの増加につれて、今後、人々とメディアが相互にどのように影響しあっていくのかが注目される。
著者
小倉 充夫 井上 一明 島田 周平 青木 一能 遠藤 貢 松田 素二 児玉谷 史朗
出版者
津田塾大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
1999

冷戦の終焉とアパルトヘイト体制の崩壊は南部アフリカ地域に政治的、社会的、経済的変動をもたらし、民主化、経済自由化、地域協力の進展を促した。1990年代初頭において多くの人々はこの地域の将来に楽観的であった。しかし変革からおよそ10年後の今日、南部アフリカ諸国は失業率の上昇などの経済的苦難、犯罪や感染症の増加など深刻な問題を抱えている。構造調整政策の導入は経済危機を克服するために導入されたが、多くの都市住民の生活を一層困窮させることになった。こうした状況が人々の移動のあり方ばかりでなく、政治意識・政治行動にも影響を与え、農村社会を変化させた。これらの問題を各分担者等はそれぞれの研究領域と対象地域において調査しまとめた。具体的には、ザンビアにおける民主化と非政府組織、ジンバブエからザンビアへの移住農民の生活、ザンビア東部州からの移動と農村社会、ジンバブエにおける農村・都市間移動と反政府運動、植民地時代モザンビーク農村における人口移動、モザンビーク・南アフリカ間の労働移動、アパルトヘイト後の南アフリカにおける和解、ユダヤ人移民差別、中国人労働者導入問題などである。南部アフリカ諸国は南アフリカを中心として相互に密接な関係を発達させてきた。それはアパルトヘイト時代においても継続していた。したがってこの地域においては、一国的な分析は多くの場合限界があると同時に、歴史的な背景と変化のなかに位置づけて現状をとらえる必要がある。それ故、本研究では歴史的分析を重視し、その成果は報告書にも反映された。
著者
小倉 充夫 青木 一能 井上 一明 遠藤 貢 舩田 クラーセンさやか 眞城 百華
出版者
津田塾大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2010

大半のアフリカ諸国で、 国民統合は言語やエスニシティの同一性によってもたらされはしなかった。冷戦後の現代においても国民形成はアフリカでは最重要な課題であり続けている。この問題を民主化、移動、都市化と関連させて検討した。都市第一世代であった年長者に比して、現在の都市青年層はより教育を受けているが就業が困難であり、彼らの国民的そしてエスニックなアイデンティティの動向に注目する必要がある。
著者
遠藤 貢 成高 義彦 五十畑 則之 浅香 晋一 山口 健太郎 村山 実 勝部 隆男 小川 健治 布田 伸一 大塚 邦明
出版者
日本外科系連合学会
雑誌
日本外科系連合学会誌 (ISSN:03857883)
巻号頁・発行日
vol.34, no.6, pp.1066-1070, 2009 (Released:2010-12-30)
参考文献数
14
被引用文献数
1 1

今回われわれは,心臓移植14年後に発症した悪性リンパ腫による腸閉塞の1例を経験したので報告する. 症例は37歳の男性.23歳時に拡張型心筋症で心臓移植の既往がある.2008年2月より,下血で発症した悪性リンパ腫に対し化学療法を2クール施行したが,腸閉塞を発症した.イレウス管造影で空腸に高度な狭窄像を認め,外科的治療を施行した.病理組織所見では悪性リンパ腫による腸管狭窄であった.周術期は免疫抑制剤の投与量を調節しながら,厳重な術後管理により良好に経過した. 心臓移植後に消化管手術を施行した報告は少なく,周術期における免疫抑制剤の投与法や術後管理に関する知見も極めて少ない.本症例は貴重な経験と考え報告した.
著者
丸山 真人 中西 徹 遠藤 貢 永田 淳嗣 松葉口 玲子 中西 徹 遠藤 貢 永田 淳嗣 松葉口 玲子
出版者
東京大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2005

人間の安全保障は、人間が安心して生活できることを保障するものであるが、そのためには地域での経済活動が自立していなければならない。本研究は、その条件として、地域コミュニティが確立していること、経済生活の中に廃棄物の再利用システムが埋め込まれていること、希少な自然資源の利用者が相互の利益を尊重し調整し合う制度を有していること、女性に自立の機会が与えられていること、環境教育が充実していること、などを明らかにした。