著者
青木 信平 五十嵐 久佳 坂井 文彦 神田 直 田崎 義昭
出版者
一般社団法人 日本脳卒中学会
雑誌
脳卒中 (ISSN:09120726)
巻号頁・発行日
vol.10, no.2, pp.175-179, 1988-04-25 (Released:2009-09-03)
参考文献数
11
被引用文献数
1

脳卒中急性期の患者を対象に血清K値の変動を観察した.対象は発症後24時間以内に来院した脳卒中患者161例 (脳出血96例, 脳梗塞65例) である.脳出血患者の平均血清K値3.63±0.05mEq/l (SE) は脳梗塞の平均値4.02±0.05mEq/lよりも有意に低値を示した (p<0.01).脳出血患者を意識レベルによりunresponsive群とresponsive群とに分け検討すると, 血清K値はそれぞれ3.43±0.76mEq/lと3.79mEq/lであり, unresponsive群が有意に低かった (p<0.01).また, 死亡群の平均血清K値3.51±0.06mEq/lは生存群の平均値3.72±0.06mEq/lよりも低く (p<0.05), 重症例では血清K値が低下することが示された.血漿エピネフリン濃度および血糖値と血清K値の間には有意な負の相関がみられ, 低K血症の発現は, ストレスに起因したKの細胞内への流入の可能性が考えられた.