著者
五十嵐 久佳
出版者
日本神経治療学会
雑誌
神経治療学 (ISSN:09168443)
巻号頁・発行日
vol.36, no.3, pp.229-232, 2019 (Released:2019-11-25)
参考文献数
24

Both of chronic migraine (CM) and medication–overuse headache (MOH) are common neurological diseases. They have a great detrimental influence on a patient's life, with a severe impact on socioeconomic functioning and quality of life.One of the most common causes of migraine chronification is acute medication overuse. On the other hand, MOH is an interaction between a therapeutic agent used excessively and a susceptible patient. Among those with a previous primary headache diagnosis, about 80% of MOH patients have migraine.All patients with CM should be considered for pharmacological prophylaxis, and the behavioral aspects of therapy should be emphasized. The two prophylactic drugs with the best evidence for efficacy in CM are topiramate and onabotulinumtoxinA. But these therapies currently have not been covered by health insurance in Japan. The options to treat patients with CM are valproic acid, propranolol, lomerizine and amitriptyline. The treatment principles for MOH are : (1) discontinue the overused medication, (2) treat the headache after discontinuing the overused medication, and (3) administer prophylactic medications. Clinical evidence shows that the majority of patients with MOH improve after discontinuation of the overused medication, as does their responsiveness to preventative treatment. Simple advice on the causes and consequences of MOH is an essential part of its management and can be provided with success. Initiation of prophylactic medications at the time of withdrawal or even before withdrawal of overused medications is recommended. Since most of the MOH patients have migraine prior to MOH, valproic acid, lomerizine, propranolol, amitriptyline may be considered as prophylactic medications. As for prognosis, the relapse rate is approximately 30%. Even after discontinuation, patients should be given suitable counseling, and headache diary should be used to confirm the frequency of using triptans, ergotamine and analgesics.
著者
東 邦彦 坂井 文彦 五十嵐 久佳 田崎 義昭
出版者
一般社団法人 日本脳卒中学会
雑誌
脳卒中 (ISSN:09120726)
巻号頁・発行日
vol.13, no.5, pp.361-366, 1991-10-25 (Released:2009-09-03)
参考文献数
19

既往に片頭痛を持つ若年者に脳梗塞が発症した4例につき, 脳梗塞の危険因子としての片頭痛の意義につき検討した.症例1はmigraine with auraの発作中, 脳梗塞が発症したと考えられ, その病態としては前兆の原因となる脳血管攣縮が遷延し脳梗塞に移行したと考えられた.症例2~4の3例はmigraine without auraの患者で, 脳卒中発作は発症様式, CT, MRI所見よりはいずれも脳塞栓症と診断され, 脳塞栓症に頭痛が前駆あるいは随伴した可能性が考えられた.そのうち2例は妊娠中の発症であった.migraine without auraに脳梗塞が発症した機序としては, 片頭痛が脳梗塞に移行したというよりも片頭痛にもとづく血小板凝集能の亢進による5HT, ノルエピネフリンの放出, エストロゲソをはじめとする性ホルモンの変動による凝固系の亢進などを介して脳梗塞の危険因子となった可能性が考えられた.
著者
菊池 友和 山口 智 五十嵐 久佳 小俣 浩 鈴木 真理 田中 晃一 磯部 秀之 三村 俊英
出版者
社団法人 全日本鍼灸学会
雑誌
全日本鍼灸学会雑誌 (ISSN:02859955)
巻号頁・発行日
vol.61, no.1, pp.51-58, 2011 (Released:2011-06-27)
参考文献数
19
被引用文献数
3

【はじめに】本邦でVDT作業者のQOLや作業能力を指標とした鍼治療に関する報告は極めて少ない。 そこで、 この前向き研究では鍼治療がVDT作業者のQOLと作業能力に及ぼす影響について検討した。 【方法】VDT作業者61例、 男性41例、 女性20例である。 鍼治療は1回/週、 個々の頸や肩の症状に応じて行った。 評価はSF-36とWAIを、 初診時と1ヵ月後の値を統計学的に検討した。 【結果】VDT作業者のSF-36は、 身体的健康度、 精神的健康度、 体の痛み、 日常役割機能 (身体) が上昇し、 活力も上昇する傾向が認められWAIも上昇した。 治療前のSF-36の各項目とWAI値、 さらに鍼治療後における体の痛みとWAI値の改善率に正の相関関係が認められた。 【結論】鍼治療によりVDT作業者の有する頸肩こりの症状が改善するとともに、 QOLと作業能力が向上した。 今後増加が予想されるVDT作業者のQOLや作業能力の向上に対し、 鍼治療の有用性が高いことが示唆された。
著者
鈴木 真理 山口 智 五十嵐 久佳 小俣 浩 菊池 友和 田中 晃一 磯部 秀之 大野 修嗣 三村 俊英 君嶋 眞理子
出版者
社団法人 全日本鍼灸学会
雑誌
全日本鍼灸学会雑誌 (ISSN:02859955)
巻号頁・発行日
vol.60, no.5, pp.829-836, 2010 (Released:2011-05-25)
参考文献数
19
被引用文献数
1 1

【はじめに】近年、 情報化の発達により、 VDT作業者は急増している。 VDT作業者における心身の疲労は以前から問題視されているが、 多くのVDT作業者が有する頸肩こりや眼疲労に対する鍼治療効果についての報告は数少ない。 そこでこの前向き研究では、 VDT作業者の愁訴に対する鍼治療効果について検討した。 【方法】対象はVDT作業者61例 (男性41例、 女性20例) である。 鍼治療は、 週1回、 計4回、 個々の頸や肩の症状に応じて、 円皮鍼を用いて行った。 評価は、 頸こり・肩こりと眼疲労を自己記入式で行った。 VAS値の経時的変化、 また鍼治療前と4週後のVAS値より改善率を算出し、 眼疲労と頸こり・肩こりの関連について検討した。 【結果】鍼治療により頸こり、 肩こり、 眼疲労のVASの値はともに、 初診時より徐々に減少を示した。 また、 眼疲労と頸こり・肩こりの改善率には正の相関が認められた。 【結論】VDT作業者の頸や肩のこりに対し鍼治療を行い、 頸肩こりが軽減するとともに、 眼疲労も改善することが示された。 鍼治療は産業医学の分野で有用性の高いことが示唆された。

1 0 0 0 OA 1.分類と疫学

著者
五十嵐 久佳
出版者
一般社団法人 日本内科学会
雑誌
日本内科学会雑誌 (ISSN:00215384)
巻号頁・発行日
vol.90, no.4, pp.567-573, 2001-04-10 (Released:2008-06-12)
参考文献数
6

1988年に発表された国際頭痛学会による分類は各種頭痛の診断基準を明記しており,疫学調査,薬剤の臨床試験などに有用である.本邦における片頭痛の有病率は8.4%で,女性が男性の3.6倍であった.片頭痛は日常生活に支障をきたすことが多いにも関わらず受診率は低い.緊張型頭痛の有病率は22.3%で,女性が男性の1.5倍であった.いずれの頭痛も就業年齢に多く,患者の社会生活に影響を及ぼすと考えられる.
著者
五十嵐 久佳
出版者
日本神経学会
雑誌
臨床神経学 (ISSN:0009918X)
巻号頁・発行日
vol.53, no.11, pp.1225-1227, 2013-11-01 (Released:2013-11-29)
参考文献数
9
被引用文献数
1 2

片頭痛は支障度の高い疾患である.慢性片頭痛群(頭痛日数が月に15日以上もの;CM群)と頭痛日数が15日未満の反復性片頭痛群(EM群)を比較したばあい,CM群は日常生活への支障度が高く,生活の質が低下していた.またCM群ではEM群に比し,生産性の損失が大きく,フルタイム雇用が少なかった.医療経済学的には受診・検査・治療にかかる費用はCM群ではEM群の2~3倍多く,これらの直接経費と生産性の低下による間接経費を合わせると片頭痛慢性化による多くの経済学的損失が考えられた.
著者
青木 信平 五十嵐 久佳 坂井 文彦 神田 直 田崎 義昭
出版者
一般社団法人 日本脳卒中学会
雑誌
脳卒中 (ISSN:09120726)
巻号頁・発行日
vol.10, no.2, pp.175-179, 1988-04-25 (Released:2009-09-03)
参考文献数
11
被引用文献数
1

脳卒中急性期の患者を対象に血清K値の変動を観察した.対象は発症後24時間以内に来院した脳卒中患者161例 (脳出血96例, 脳梗塞65例) である.脳出血患者の平均血清K値3.63±0.05mEq/l (SE) は脳梗塞の平均値4.02±0.05mEq/lよりも有意に低値を示した (p<0.01).脳出血患者を意識レベルによりunresponsive群とresponsive群とに分け検討すると, 血清K値はそれぞれ3.43±0.76mEq/lと3.79mEq/lであり, unresponsive群が有意に低かった (p<0.01).また, 死亡群の平均血清K値3.51±0.06mEq/lは生存群の平均値3.72±0.06mEq/lよりも低く (p<0.05), 重症例では血清K値が低下することが示された.血漿エピネフリン濃度および血糖値と血清K値の間には有意な負の相関がみられ, 低K血症の発現は, ストレスに起因したKの細胞内への流入の可能性が考えられた.
著者
竹内 昭博 土橋 かおり 島澤 謹江 五十嵐 久佳 坂井 文彦 白鷹 増男 池田 憲昭
出版者
一般社団法人 日本医療情報学会
雑誌
医療情報学 (ISSN:02898055)
巻号頁・発行日
vol.20, no.4, pp.319-326, 2000 (Released:2017-08-21)
参考文献数
7

慢性頭痛の自覚症状を把握するために「頭痛日記」が臨床現場で用いられている.「頭痛日記」に記載されたグラフ(頭痛曲線)の面積(頭痛の強さの積分値)を頭痛量と定義し,その計測を画像解析の技術を用いて自動的に行うシステムを開発した.同時に,頭痛曲線の特徴を表すパラメータ(頭痛の最大強度や持続時間,発作回数,日差変動等)を計測・算出した.本システムは,MS-Windows NT/98/95のインターネットエクスプローラ(IE4.1以降)上で稼働する.システムは,頭痛日記画像ファイルの入力や計測結果の集計・提示を担うHTMLファイル(HTML+VBScript,TKS.HTM 20 KB)と,WWWブラウザから画像ファイル名と輪郭線のRGB値を受取り,画像の二値化・抽出・計測を行うActive Xコントロール(TKS.OCX 100 kB,Microsoft VC++6.0)とから構成されている.自動計測した頭痛量は病状をよく反映しており,頭痛を定量的に把握するための一指標として,頭痛量が有用と考える.なお,本システムは,http://info.ahs.kitasato-u.ac.jp/tks/tkssetup.htmからダウンロード可能である.