- 著者
-
須崎 成二
- 出版者
- 公益社団法人 日本地理学会
- 雑誌
- 日本地理学会発表要旨集 2019年度日本地理学会秋季学術大会
- 巻号頁・発行日
- pp.46, 2019 (Released:2019-09-24)
レズビアンの地理学的研究は,レズビアンが空間的領域を求めないというCastellsの主張に対する批判をめぐって展開してきた.Browne(2017)は,レズビアンの地理学がセクシュアリティだけでなく権力の問題にも着目する必要性を指摘しており,Pritchard et al.(2002)はゲイ・ディストリクトにおけるレズビアンの排除を議論している.本報告では,ゲイバーが集積する新宿二丁目のゲイ・ディストリクトにおいてレズビアンがいかにゲイと共存しているのか,いかに彼女らが排除もしくは危険性にさらされているかを明らかにすることを目的とする.首都圏に居住するレズビアン24名にスノーボールサンプリングによる半構造化面接を行った結果、英語圏で報告されるゲイ・ディストリクトにおけるレズビアンおよびレズビアンバーの排除は,新宿二丁目で得た本研究の知見との間で共通点もあるが限定的であり,レズビアンバー同士もしくはゲイバーとのつながりは,レズビアンバーの集積を維持し共存していくうえで重要な要素であると考えられる.一方で,ゲイ・ディストリクトにおける異性愛男性の存在は,空間を異性愛化させ,レズビアンにとっての安心感,安全性を低下させている.