著者
清水 哲 横山 日出太郎 松川 博史 城島 標雄 有田 峯夫 須田 嵩 五島 英迪 松本 昭彦 田中 耕作 萩原 明 井出 研 近藤 庸人
出版者
Japan Surgical Association
雑誌
日本臨床外科医学会雑誌 (ISSN:03869776)
巻号頁・発行日
vol.46, no.7, pp.923-927, 1985-07-25 (Released:2009-02-20)
参考文献数
6

乳癌集団検診の二次検診において,コンタクトサーモグラフィーを,マンモグラフィー,エコーグラフィーと共に補助診断法として用い,その有用性,限界について検討を行なった.使用したサーモブレートは,イタリアFinpat社製 “Breast Thermo Detector” であり今回は特に,腫瘤部の温度の高低に注目して診断した.その結果,乳癌症例の正診率は全体で68%, T>2cmでは86%, T〓2cmでは38%であった.病理組織学的には,線維腺腫,乳腺のう胞腫との鑑別は容易であったが,乳腺症との鑑別は難しかった.したがって,コンタクトサーモグラフィーは乳癌の精密検査法としての利用価値は低いとおもわれた.しかし,触診の補助診断法として用いることにより,手軽で安価な検査法としての利用価値があるのではないかと考えられた.
著者
望月 能成 石原 伸一 山崎 安信 渡部 克也 森脇 義弘 坂本 和裕 南出 純二 須田 嵩 竹村 浩
出版者
The Japan Society of Coloproctology
雑誌
日本大腸肛門病学会雑誌 (ISSN:00471801)
巻号頁・発行日
vol.51, no.2, pp.98-102, 1998-02
被引用文献数
9 6

症例は67歳,男性,肛門部腫瘤と肛門出血を主訴に当院を受診された.肛門管癌と診断し,1995年9月11日経肛門的腫瘍摘出術を施行,術中所見で腫瘍の肛門側に白色に肥厚しだ粘膜が認あられ一部同時に切除した.病理組織学的所見では,腫瘍は高分化腺癌,mp,ly0,V0,ew(―)であった.同時に切除した肥厚した粘膜には腫瘍と連続してPaget細胞の上皮内進展を認めた.肛門周囲Paget病変を伴う肛門管癌と診断し1995年9月25日仙骨腹式直腸切断術を施行した.切除標本ではPaget病変は肉眼的皮膚病変を越え肛門管上皮内にほぼ全周性に認められ,一部肛門縁を越え肛門周囲皮膚に浸潤していた.術後経過は良好で,現在外来経過観察中である.Paget病変を伴う直腸肛門癌は非常に稀であり本邦報告18例を含め検討した.