著者
久保 章 川本 勝 福島 恒男 石黒 直樹 仲野 明 杉田 昭 山崎 安信 土屋 周二 鴻丸 裕一
出版者
The Japan Society of Coloproctology
雑誌
日本大腸肛門病学会雑誌 (ISSN:00471801)
巻号頁・発行日
vol.38, no.2, pp.123-128, 1985 (Released:2009-06-05)
参考文献数
9

潰瘍性大腸炎症例の便中細菌叢を,経時的に検索し,それぞれの病期の推移によりどのような変化を来たすか比較検討した.本症患者14例について,延べ36回便を採取し嫌気性培養を施行し細菌叢を検索した.本症では,罹患範囲にかかわらず緩解期から活動期またはその反対の経過を追って調べると,便中総菌数と嫌気性菌数がほぼ例外なく活動期に著明に減少し,各菌群の中では,BacteroidaceaeとEubacteriumが同様の変動を示した、本症の活動期においてこのような変化を来たす原因として,第1に炎症性変化が強い為,粘膜の恒常性が保たれないこと,第2に腸通過時間の変化により腸管内環境が変化すること,第3に何らかの機序により大腸内の酸素張力の増加,酸化・還元電位の増加がおこっていること,などが考えられた.索引用語:潰瘍性大腸炎,便中細菌叢,嫌気性菌
著者
望月 能成 石原 伸一 山崎 安信 渡部 克也 森脇 義弘 坂本 和裕 南出 純二 須田 嵩 竹村 浩
出版者
The Japan Society of Coloproctology
雑誌
日本大腸肛門病学会雑誌 (ISSN:00471801)
巻号頁・発行日
vol.51, no.2, pp.98-102, 1998-02
被引用文献数
9 6

症例は67歳,男性,肛門部腫瘤と肛門出血を主訴に当院を受診された.肛門管癌と診断し,1995年9月11日経肛門的腫瘍摘出術を施行,術中所見で腫瘍の肛門側に白色に肥厚しだ粘膜が認あられ一部同時に切除した.病理組織学的所見では,腫瘍は高分化腺癌,mp,ly0,V0,ew(―)であった.同時に切除した肥厚した粘膜には腫瘍と連続してPaget細胞の上皮内進展を認めた.肛門周囲Paget病変を伴う肛門管癌と診断し1995年9月25日仙骨腹式直腸切断術を施行した.切除標本ではPaget病変は肉眼的皮膚病変を越え肛門管上皮内にほぼ全周性に認められ,一部肛門縁を越え肛門周囲皮膚に浸潤していた.術後経過は良好で,現在外来経過観察中である.Paget病変を伴う直腸肛門癌は非常に稀であり本邦報告18例を含め検討した.