著者
須藤 斎 柳沢 幸夫 高橋 雅紀
出版者
石油技術協会
雑誌
石油技術協会誌 (ISSN:03709868)
巻号頁・発行日
vol.67, no.5, pp.501-511, 2002 (Released:2008-03-27)
参考文献数
40
被引用文献数
2 3

Diatom biostratigraphy was re-examined for the Miocene marine sequence distributed along the Arakawa River in the northern part of the Hiki Hills area, central Japan. Thirteen out of 24 collected samples yielded age diagnostic diatom fossils, which are restricted between diatom biohorizons D41 (15.7Ma) and D41.5 (15.6Ma) in the lower Denticulopsis lauta Zone (NPD 4A). A thin conglomerate layer, which is previously presumed as an unconformably overlying basal conglomerate, is sandwiched between the last occurrence (LO) biohorizon of D. praelauta (D41:15.7Ma) and first occurrence (FO) of D. ichikawae. As the maximal duration between these two biohorizons is estimated as about 20, 000 yr., it is concluded that there is no unconformity along the studied section. Temporal change in the diatom assemblage suggests a transgression in the examined interval.
著者
須藤 斎 高橋 雅紀 柳沢 幸夫
出版者
一般社団法人 日本地質学会
雑誌
地質学雑誌 (ISSN:00167630)
巻号頁・発行日
vol.108, no.4, pp.266-278, 2002-04-15 (Released:2008-04-11)
参考文献数
59
被引用文献数
2 4

埼玉県川本町の植松橋付近の荒川河床に露出する中新世海成堆積物より珪藻化石を抽出した結果,珪藻化石を含有する試料は,すべてYanagisawa and Akiba(1998)のDenticulopsis lauta帯(NPD4A)下部の,Denticulopsis praelautaの終産出層準(D41 : 15.7Ma)とCavitatuss lanceolatusの初産出層準(D41.5 : 15.6Ma)の間に位置づけられることが明らかとなった.その結果,これまで土塩層最下部と考えられていたこのシルト岩層は土塩層には帰属せず,より下位の中部中新統下部に属することが判明した.
著者
須藤 斎 高橋 雅紀 柳沢 幸夫
出版者
一般社団法人 日本地質学会
雑誌
地質学雑誌 (ISSN:00167630)
巻号頁・発行日
vol.109, no.1, pp.48-62, 2003-01-15 (Released:2008-04-11)
参考文献数
76
被引用文献数
3 6

埼玉県川本町の明戸堰上流の荒川河床に露出する中新世海成堆積物(土塩層)より珪藻化石を抽出した結果,珪藻化石を含有する試料は,すべてYanagisawa and Akiba(1998)のThalassiosira yabei帯(NPD 5C)最上部に相当し,Denticulopsis hustedtiiのアクメ・終多産出層準(D 55.8:10.1 Ma)とDenticulopsis dimorphaの初産出層準 (D56 : 10.0 Ma) の間に位置づけられた.珪藻化石年代に基づくと,明戸セクションの土塩層は栃木県烏山地域の田野倉層,福島県東棚倉地域の久保田層および茨城県日立市の国分層上部に年代対比される.比企丘陵地域の土塩層と土塩層に重なり海退相からなる楊井層は,富岡地域の原市層と板鼻層にそれぞれ岩相対比されるが,それぞれの地層境界(海退相の開始層準)は,富岡地域が150万年ほど古く,岩相境界の時間斜交性が明らかにされた.
著者
須藤 斎
出版者
独立行政法人国立科学博物館
雑誌
特別研究員奨励費
巻号頁・発行日
2005

本研究の目的は,「温室地球」から「氷室地球」への転換点である始新世/漸新世境界(以下E/O境界と記載)付近で,珪藻Chaetoceros属が渦鞭毛藻類に替わって沿岸生態系の主要な一次生産者と進化していった過程を解明することである.申請者の研究により,約4000万年前から,現在までの珪藻休眠胞子化石の分類が行われてきた.その結果,約3400万年前のE/O境界付近で,Chaetoceros属休眠胞子の多様性と産出頻度が激増する「Chaetoceros爆発」イベントが起きたことが解明された.一方,渦鞭毛藻類の休眠シスト群集は,逆に多様性と産出量が急減しており,沿岸域における主要な一次生産者がこの時期に渦鞭毛藻類からChaetoceros属に急激に交代した可能性が示唆された.しかし,研究した試料間隔の制約から,正確な数値年代が明らかにできなかったため,これはあくまで仮説である.さらに,Chaetoceros属と渦鞭毛藻類の激変が本当に対応しているのかも確かめられていない.また,「Chaetoceros爆発」とOi1イベントとの対応関係や,もう1つの重要な一次生産者である石灰質ナノプランクトンの群集変化との関係も全くわかっていない.そこで,現在,E/O境界をまたぎ,かつChaetoceros属・渦鞭毛藻類・石灰質ナンノプランクトンをすべて含み,さらに酸素同位体比の測定用の有孔虫化石をも含有する連続コアサンプル(アフリカ南東沖,DSDP369および南極沖ODP689)を高時間分解能で分析することにより,同一コアを高時間分解能で分析し,事変の正確な年代と各タクサ間および酸素同位体イベントとの対応関係を明らかにすることを試みている.そして,これを基にこの事変の詳細な変遷過程を解明し,その原因を考察する予定である.
著者
須藤 斎
出版者
名古屋大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2008

これまでEocene/Oligocene(E/O)Boundary以後において海生珪藻類が急増した結果,ヒゲクジラなどの大型海生哺乳類の進化が促されたという事実のみが知られていたが,どのような原因でこれが起きたかは未解明であった.また,どのような珪藻が主に急増したのかを示すような研究は行われてこなかった.そこで,本研究では,海洋一次生産の25%を担い,沿岸湧昇流域に多産するがこれまでほとんど研究がなされてこなかった海生珪藻Chaetoceros属の休眠胞子化石を,過去4000万年間の北部・赤道太平洋,赤道大西洋域,北極域の堆積物サンプルを用いて分析した結果,以下のような湧昇流変遷史と陸上環境変遷にも関連した海洋生物進化の原因を明らかにした.1)E/OBoundaryにおいて極域の寒冷化が進み,当時の沿岸湧昇の季節性が崩れた結果,Chaetoceros属が多様化・急増化した.さらに,現在のヒゲクジラ類の餌となるカイアシ類の一部は本属をはじめとする珪藻類を捕食・増殖することから,本属の急増により動物プランクトンが増加し,その結果ヒゲクジラ類をはじめとする大型海生哺乳類の多様化が進んだ.2)約850万年前に,北太平洋広域において,本属の休眠胞子化石が同時に急増した.これらは,海洋水循環の変動により太平洋域の沿岸湧昇が発達し,富栄養化したことを示唆している.この時代には,アジア域の乾燥化やヒマラヤ山脈の上昇などによる鉄・シリカなどの栄養素が大量に運搬された事実と呼応しており,それに合わせるように,昆布・ウニ・魚類・ハクジラ類などが増加・多様化した.これらの結果から,約4000万年以降に,沿岸湧昇域の性質が大きく変化し,それに伴ってChaetoceros属や他の珪藻類,藻類が急増・多様化し,これらを餌とする小型・大型捕食者の進化が促された可能性が大きいことが明らかとなった.