著者
飯塚 恵理人
出版者
日本文学協会
雑誌
日本文学 (ISSN:03869903)
巻号頁・発行日
vol.56, no.7, pp.44-52, 2007-07-10 (Released:2017-08-01)

能は「幽玄の風体」で「言葉優しき」ことを最上とし、恐ろしいはずの「修羅道」や「地獄」を恐ろしい感じを持たせないよう工夫した。例えば、「地獄」の記述では肉体的な苦痛の表現を最小限に留めた。また、修羅道は仏教では修羅王の眷属として帝釈天と戦う場所だが、現世での敵同士が戦い続ける場所として描いた。このような「来世」観は仏教書の説くところとは異なるが、「劇」の「方法」として、能に共通する「来世」の描き方となった。
著者
飯塚 恵理人
出版者
日本文学協会
雑誌
日本文学 (ISSN:03869903)
巻号頁・発行日
vol.48, no.7, pp.43-50, 1999

夢幻能が観客に受け入れられるには、ワキ僧が夢を見ることの意味と、舞台上で演じている内容がワキの夢中のこととわかる「約束事」が成立していることが重要となる。本稿では「経文」「説話」において、「仏」を夢に見ることは、その僧の成仏が約束されたと捉えられていることを述べた。また「絵伝」において、夢を見るものと、その夢の内容が一枚の絵の中に描かれていることを述べ、夢幻能の舞台上の構図と共通することを述べた。
著者
飯塚 恵理人 三木 邦弘
出版者
椙山女学園大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2011

藤田六郎兵衛師より提供いただいた明治30年代の藤田家と東京の役者の出演交渉に関する書簡を翻刻した。これについては鶴舞図書館の郷土文化に投稿するため現在原稿作成中である。佐藤友彦氏より提供された尾張藩御役者山脇和泉家に伝わる間狂言本を撮影し、現在翻刻中である。研究機関内に第三冊「修羅冊」まで翻刻を発表することが出来た。
著者
飯塚 恵理人
出版者
筑波大学
雑誌
筑波大学平家部会論集
巻号頁・発行日
vol.8, pp.2-11, 2000-12

伊勢物語の解釈が鎌倉期・南北朝期に二条家・冷泉家といった和歌の家の人々によって講釈の形で師匠から弟子に伝えられ、それが常に「秘伝」として他に教えないと言う誓約書つきで行われたことは、今日広く知られている。それらの講釈の内容が ...