著者
安部 幸樹 飯田 浩二 向井 徹
出版者
日本水産學會
雑誌
日本水産学会誌 (ISSN:00215392)
巻号頁・発行日
vol.65, no.2, pp.252-259, 1999-03-15
参考文献数
7
被引用文献数
5 8

スケトウダラの音響資源調査において日周鉛直移動が資源量推定値におよぼす影響を調べた。実験は北海道西部日本海武蔵堆と積丹半島沖において, 計量魚探EK500を用いてスケトウダラ魚群の面積後方散乱係数S<SUB>A</SUB>とターゲットストレングスTSの昼夜変動を測定した。夜間のS<SUB>A</SUB>は昼間より, 武蔵堆で約3倍, 積丹沖では約1.4倍大きかった。一方, TSには昼夜変動は認められず, S<SUB>A</SUB>の昼夜変動は, 昼間の海底上魚群の計測不能による過小評価が原因と考えられた。
著者
金 銀好 向井 徹 飯田 浩二
出版者
公益社団法人 日本水産学会
雑誌
日本水産学会誌 (ISSN:00215392)
巻号頁・発行日
2016
被引用文献数
2

北海道噴火湾周辺海域において,周波数 38, 120, 200 kHz の計量魚群探知機を用いて音響散乱層の特徴を調べ,その構成生物であるオキアミ類とカイアシ類の識別方法を検討した。生物の確認は,直径 80 cm のリングネットによる垂直曳網で行った。オキアミ類とカイアシ類は,周波数 38 kHz よりも 120 kHz と 200 kHz でより強い音響散乱を示し,さらにこれら 2 周波数の SV 差は,オキアミ類で−1.5~1.3 dB,カイアシ類で 2.2-3.7 dB となり,この SV 差を利用して両種を識別する可能性が示された。
著者
飯田 浩二 康 燉赫
出版者
北海道大学
雑誌
特別研究員奨励費
巻号頁・発行日
2002

本研究課題である"計量魚群探知機を用いた日本海におけるスルメイカの資源量推定の高精度化に関する研究"の2段階目として,平成15年4月から平成16年3月までの研究進行状況および概要を以下に述べる。1.2003年6月,北海道の南西海域である奥尻島周辺において,北海道大学練習船うしお丸搭載の38,120,200kHzセンサーにより,スルメイカの音響データを収集した。3周波数で得たデータは,周波数別のスルメイカの音響散乱特性を基準として,エコーグラム中でスルメイカのみを抽出するために,2周波数間の体積散乱強度差法を利用して,分析用である。2.2003年7月,北海道大学野外実験場において,18個体の生きたスルメイカを利用して,27時間,自由遊泳状態の遊泳角度を測定した。この測定結果は,スルメイカのTS算出および現場での音響データ解析における重要なパラメータとして適用可能であろう。また,外套長15-19cmの生きたスルメイカのTSを,70,120kHzのセンサーを用いて,姿勢角と共に測定した。3.2003年11月,"time of flight method"によりスルメイカ体内の音速を,重量と体積から密度を測定した。また,超音波カメラを利用して,スルメイカ体内の構造を観察した。この実験結果は,スルメイカTS推定のための音響散乱モデルにおける重要なパラメータとして利用可能である。4.2003年12月,韓国麗水大学の海水水槽において,麻酔したスルメイカを用いて,姿勢角変化に伴うTSの変化を,38,120kHzのセンサーにより測定した。生きている状態での実験はTS備に偏りがあるため,任意の角度でスルメイカを固定して得た正確なTSは,自由遊泳状態のTS実験結果を補充できる。全般的に事前に計画した実験は実施したが,生きたスルメイカを扱わなければならないため,海上実験において多くの資料を得るのが困難であった。平成16年には1,2年目に得られた資料の不足分を補充し,得られた資料から研究結果報告書および論文を作成する予定である。
著者
朴 容石 飯田 浩二 向井 徹 桜井 泰憲
出版者
日本水産学会
雑誌
日本水産学会誌 (ISSN:00215392)
巻号頁・発行日
vol.61, no.2, pp.159-163, 1995-03-25
被引用文献数
3

The auditory threshold levels of walleye pollock Theragra chalcogramma (Pallas) were measured in order to determine the optimum conditions for marine ranching utilizing underwater sound. The auditory characteristics of walleye pollock were determined by heart beat conditioning using 8 frequencies of pure tone stimuli from 60 to 1, 000Hz coupled with an electric shock. Pure tone conditioning stimuli were presented to the fish for 5 seconds with a 0.1 second 12V DC electric shock applied 3 seconds after the start of the sound projection. The positive response to the pure tone stimulus of the conditioned fish consisted of an inhibition of one or more heartbeats. Results show that tested walleye pollock are sensitive to pure tones in the frequency range from 60 to 1kHz, with greatest sensitivity in the range from 120 to 200Hz. At the most sensitive frequencies, the mean thresholds were between 97.7 and 100.2dB (re 1μPa) under a background noise level between 55 and 75dB (re 1μPa/√Hz). Hearing ability declined gradually with increasing frequency above 400Hz. The upper limit of audible frequency is believed to be about 1kHz.