著者
飴矢 美里 田中 加緒里 瀬知 亜有未 羽藤 直人
出版者
耳鼻と臨床会
雑誌
耳鼻と臨床 (ISSN:04477227)
巻号頁・発行日
vol.64, no.5, pp.177-183, 2018-09-20 (Released:2019-09-01)
参考文献数
13

一側性声帯麻痺に対する音声機能改善術後の音声治療の有用性について検討した。音声機能改善術後に音声治療が必要であった症例では、健側声帯の過緊張性発声や声帯溝症による声門閉鎖不全を認め、音声治療後は自・他覚的評価において改善が得られた。今回の検討から声門閉鎖不全による発声困難期間に健側声帯の過度な代償性による過緊張性発声を来した症例や声帯溝症がある症例には、術後の音声治療が必要と考えられた。しかし、一側性声帯麻痺患者に対する音声機能改善術後の音声治療の報告は少なく、今後更なる検討が必要である。
著者
飴矢 美里 西窪 加緒里 三瀬 和代 本吉 和美 兵頭 政光
出版者
耳鼻と臨床会
雑誌
耳鼻と臨床 (ISSN:04477227)
巻号頁・発行日
vol.52, no.6Supplement4, pp.S249-S255, 2006-11-20 (Released:2013-05-10)
参考文献数
11

本研究では嚥下機能の加齢に伴う生理的変化について、健常高齢者47名 (男性10名、女性37名;年齢60-87歳、平均68.9歳) を対象として検討した。自己記入式問診票では、「飲んだり食べたりする際にむせることがある」が30%、「飲み込もうとする前にむせる」が23%、「以前と比べて食べたり飲んだりしにくい」が13%などであり、高齢者では潜在的な嚥下障害の存在が示唆された。嚥下内視鏡検査では喉頭蓋谷・梨状陥凹の唾液貯留、声門閉鎖反射・嚥下反射の惹起、3nteの着色水嚥下後の咽頭クリアランスを0-3の4段階にスコア化して評価した。その結果、スコア2および3の嚥下機能低下を示した例がそれぞれ19%、13%、25%に認められた。嚥下造影検査では、舌骨および喉頭挙上距離には加齢による変化がなかったものの、咽頭通過時間および喉頭挙上遅延時間が延長した。これらの変化は70歳以上の高齢者において、より顕著であった。以上より、高齢者では咽頭期を主体とする嚥下機能が低下することが示された。