著者
海老野 耕一 首藤 康文 高橋 和明
出版者
Japanese Association for Laboratory Animal Science
雑誌
Experimental Animals (ISSN:00075124)
巻号頁・発行日
vol.42, no.4, pp.611-613, 1993-10-01 (Released:2010-08-25)
参考文献数
12
被引用文献数
4 7

ウサギは食糞行動を示す代表的動物種である。従来よりウサギは軟糞・硬糞の2種類の糞を排泄し, その内軟糞だけを摂取すると報告されてきた。しかし, ウサギの食糞行動を詳細に観察したところ, ウサギは軟糞同様に硬糞も摂取していた。従来, ウサギはその栄養価値が高いゆえ軟糞のみを摂取すると言われていたが, 栄養価値の低い硬糞も食べていることが本実験で明らかになった。得られた成績から, ウサギの食糞行動は結腸もしくは直腸内にあってそれらの壁を内側より伸展する糞そのものの刺激によって誘起される可能性があると考えられた。
著者
首藤 康文 福山 朋季 藤江 秀彰 小嶋 五百合 富田 真理子 小坂 忠司 原田 孝則
出版者
日本毒性学会
雑誌
日本トキシコロジー学会学術年会
巻号頁・発行日
vol.36, pp.4151, 2009

パラチオン(P)とメタミドホス(M)、2種の有機リン剤を2週間にわたり雌性ラットに反復経口投与し、一般毒性、神経毒性および免疫毒性関連項目を指標に複合曝露影響を検索した。<BR>供試動物:8 週齢のWistar Hannover系雌ラット 8匹/群<BR>実験群:溶媒対照群(コーンオイルと1% Tween80の1:1混合乳化液)、パラチオン単剤投与群(P0.6 mg/kg)、メタミドホス単剤投与群(M0.8 mg/kg)、複合投与群(P0.6 mg/kg+M0.2 mg/kg、P0.6 mg/kg+M0.4 mg/kg、P0.6 mg/kg+M0.8 mg/kg)の計6群<BR>投与方法:胃ゾンデを用いた14日間反復強制経口投与<BR>検査項目:一般毒性(体重、一般状態、血液・生化学的検査)、神経毒性(神経症状、瞳孔径、自発運動量、高架式十字迷路検査、脳重量、血漿および脳コリンエステラーゼ(ChE)活性測定)および免疫毒性関連項目(胸腺の細胞数測定およびフローサイトメータを用いたリンパ球サブセット解析)<BR>結果・考察:一般毒性指標および免疫毒性指標に変化は認められなかった。神経毒性学的検査では、複合曝露によってChE活性阻害作用の増強、有機リン剤曝露における鋭敏な臨床指標である縮瞳の重篤化などの神経作用が強く認められた。また、末梢神経性の症状は速やかに、中枢性の症状はやや遅れて発現する傾向が認められた。さらに、自発運動量の測定結果から、ChE活性阻害による運動量低下と認知機能低下による運動量増加の、相反する作用が混在している可能性が考えられた。認知機能低下については、症状観察において警戒性低下が認められたことおよび高架式十字迷路検査において開架/閉架間の移動回数が減少していたことから、複合曝露による注意力あるいは作業空間記憶への影響が疑われた。(平成20年度 厚生労働省科学研究事業)
著者
林 宏一 田島 均 元村 淳子 小松 豊 藤江 秀彰 首藤 康文 青山 博昭
出版者
日本毒性学会
雑誌
日本毒性学会学術年会
巻号頁・発行日
vol.42, pp.P-229, 2015

近年,農薬等の化学物質による複合暴露影響に対する社会的関心が高まっているものの,複合毒性を評価するためには多数の動物と労力を要する。そこで,使用動物数の削減と簡便なスクリーニング法の確立を目指して,安全性薬理試験で用いられている摘出回腸テストによる複合毒性影響試験法を検討した。まず,一般的に使用されるモルモットと神経毒性影響の背景値が多いラットを使用して,代表的なコリンエステラーゼ活性(ChE)阻害剤を中心にして単剤に対する反応を確認した。<br>動物はSD系雄ラットおよびハートレイ系雄モルモット8~12週齢を使用した。動物を吸入麻酔下で放血殺し,回腸を1動物から2~3試料切り出した。試料は35℃,95%O<sub>2</sub>+5%CO<sub>2</sub>混合ガスを通気したタイロード液を満たしたマグヌス管にいれ,等張性トランスデューサに設置した。30分間以上静置した後,試料の反応を確認して実験に供した。検査は有機リン剤のパラチオン,その代謝物のパラオキソン,メタミドホス,カーバメイト剤のMPMC,ネオスチグミンを2×10<sup>-6</sup>~2 mg/mL濃度で,硫酸ニコチンは5×10<sup>-6</sup>~0.5 mg/mLの濃度で,それぞれ10倍段階系列で作成し,低濃度から累積暴露した。観察時間は各用量15分とした。パラチオンではラット,モルモットともに明瞭な反応は認められなかった。パラオキソン,メタミドホス,MPMC,ネオスチグミンではラット,モルモットともに用量相関性の収縮反応が認められ,その反応に種差は認められなかった。硫酸ニコチン暴露群では,ラットでは明瞭な収縮反応が検出できず,高濃度暴露に従って弛緩する傾向が認められた。モルモットでは一過性の明瞭な収縮反応の後,速やかに弛緩する反応が観察された。