著者
中本 真理子 酒井 徹 首藤 恵泉 安藝 菜奈子 小杉 知里 秦 明子 篠田 香織 桑村 由美 南川 貴子 市原 多香子 田村 綾子 船木 真理
出版者
Japan Society of Nutrition and Food Science
雑誌
日本栄養・食糧学会誌 (ISSN:02873516)
巻号頁・発行日
vol.66, no.4, pp.185-193, 2013 (Released:2013-08-16)
参考文献数
31
被引用文献数
4 4

近年, 生活習慣病や精神疾患などを抱える勤労者が増加している。一方, 朝食欠食, 過食, 身体活動の不足, 短時間睡眠など, 生活習慣の乱れが疾病の発症に関連することが報告されている。我々は, 徳島県勤労者において, 夕食終了から就寝までの間隔と生活習慣病の有病状況との関係について横断研究を行った。20歳以上の勤労者735名を対象に, 食物摂取頻度調査, 生活に関する質問票調査, 採血, 身体計測を実施した。夕食終了から就寝までの間隔が2時間未満の対象者を対照群とし, ロジスティック回帰分析を用いて解析を行った。高血圧に関して, 対照群に比し3-4時間, 4時間以上の群で, 有意に調整オッズ比が低下した。さらに21時以降の食事摂取者で, 高血圧の調整オッズ比は3-4時間空ける群で有意に低下し, 量反応性の関係が認められた。これらのことより, 夕食終了から就寝までの間隔を空けることが, 高血圧の予防につながる可能性が示唆された。
著者
首藤 恵
出版者
慶應義塾大学
雑誌
三田商学研究 (ISSN:0544571X)
巻号頁・発行日
vol.37, no.1, pp.55-70, 1994-04-25

この研究の目的は,1980年代後半に急成長を経験したアジアNIESおよびASEAN地域の主要な8株式市場を対象として,この時期に各国で進められた需給両面への市場育成政策が価格形成に与えた影響を,市場制度デザインと市場構造の適合性という視点から実証分析することにある。分析の方法は,日別株式収益率および週別株式収益率を用いた分散比テストによって短期株価形成の歪みを検出し,さらにその結果をもとに,市場構造要因と関連する証券市場政策が短期株価形成に与えた影響を,パネル・データを用いた重回帰分析によって検証する。主なファクト・ファインディングは次の3点である。(1)証券投資需要の活発化は,時価総額の増大と売買の集中をもたらし,短期的な株価変動を増幅した。積極的な株式公開政策が実質的な株式供給に必ずしも結びつかず,投資需要の拡大に十分に対応できなかったからである。(2)取引所売買システムの機械化は,取引の迅速化と売買量の増加に寄与したとしても,市場の厚みと広さなど流動性供給に寄与したとはいえない。これらの市場で短期的な株価変動が大きい一つの理由は,流動性供給とリスク負担を担う,情報力と資本力を装備した証券業者が十分に存在しないままに,売買システムの効率性と市場規模の拡大が追求された点にある。(3)NIES市場では日々の株価変動が高まるほど短期株価は過剰反応し,ASEAN市場では逆に価格調整が遅れる煩向かある。それぞれの市場の価格形成プロセスの課題が指摘される。