著者
香川 順
出版者
公益社団法人大気環境学会
雑誌
大気環境学会誌 (ISSN:13414178)
巻号頁・発行日
vol.41, no.5, pp.A55-A68, 2006-09-01
被引用文献数
5 5

米国環境保護庁は、2004年10月に、Air Quality Criteria for Particulate Matterの最終版を公表し、これに基づき2005年6月にはスタッフ・ペーパーが公表され、これらを参照して、2006年1月17日付けのFederal Register (FR)で粒子状物質の環境基準の改訂の提案を行った。この改訂は、現行のPM_<2.5>の24時間の基準値である65μg/m^3では、公衆の健康を適切に保護できないとして35μg/m^3に下げること、および新たにPM_<10-2.5>のthoracic coarse particles(吸入性粗大粒子)の基準を設定することを提案している。現在パブリック・コメントを募集中で、EPAは、2006年10月には最終決定する予定である。そこで何故、PM_<2.5>の基準を厳しくし、さらに新たにPM_<10-2.5>の基準を設定することになったのかをFRを基に解説した。
著者
香川 順
出版者
公益社団法人大気環境学会
雑誌
大気環境学会誌 (ISSN:13414178)
巻号頁・発行日
vol.32, no.1, pp.1-5, 1997-01-10

我が国では1970年に光化学スモッグ事件が発生し,光化学大気汚染との関係が問題になった。この問題を解決するためには,観察された健康影響は,そのときに発生している光化学大気汚染に因果的に関係しているのか,しているとすれば,どのような汚染物質が主に関係しているのか,その量・影響(反応)関係や発生率などに関する情報が必要で,これらの情報を得て光化学大気汚染と健康影響の関係を評価することをヘルス・リスク・アセスメントという。このような情報は,疫学研究,人への実験的負荷研究,動物暴露研究や臨床医学的研究等から得られる。本稿では,この研究を疫学調査と人への実験的負荷研究から調べ,光化学スモッグ事件で観察された気道刺激症状は,主にオゾンで引き起こされる事を明らかにした経緯を要約した。