著者
菅野 翔 国友 絢 香西 博明
出版者
一般社団法人 色材協会
雑誌
色材協会誌 (ISSN:0010180X)
巻号頁・発行日
vol.89, no.1, pp.2-5, 2016-01-20 (Released:2016-04-20)
参考文献数
11

本研究では,光応答性部位として知られるアゾベンゼンを導入した,新規置換アセチレンモノマーを合成し,Rh錯体触媒([Rh(nbd)B(C6H5)4]2)を用いて重合を行い,収率63.3%黒色粉末であった。生成ポリマーは,重量平均分子量(Mw)1.5×104,分子量分布(Mw/Mn)1.3であり,トルエンやクロロホルム,THFなどの有機溶媒に可溶であった。得られたポリマーの光異性化挙動について検討したところ,紫外光照射前後のUV-visスペクトルより可逆的なトランス体からシス体への異性化を確認した。また,TG測定の結果,ポリマーの熱重量損失開始温度は,228℃と良好な熱安定性を示した。
著者
大谷 拓馬 香西 博明
出版者
一般社団法人 色材協会
雑誌
色材協会誌 (ISSN:0010180X)
巻号頁・発行日
vol.93, no.1, pp.9-13, 2020-01-20 (Released:2020-01-28)
参考文献数
15

ポリウレタンCU-LTIはクルクミンとリジントリイソシアナートによって合成した。得られたCU-LTIの構造解析はFT-IRスペクトルによって測定した。N-H基およびC=O基に起因するピークがそれぞれ確認できた。CU-LTIの紫外-可視吸収スペクトルからは450 nmの吸収ピークが確認できた。また,CU-LTIの蛍光スペクトルにおいては520 nmに発光ピークを確認できた。TG測定の結果から,CU-LTIの10%熱重量損失温度は約200℃であった。CU-LTIのガラス転移温度は70℃を示した。応力-ひずみ曲線はCU-LTIが比較的軟らかく伸びる性質であることを示した。
著者
内田 希 香西 博明
出版者
公益社団法人 高分子学会
雑誌
高分子論文集 (ISSN:03862186)
巻号頁・発行日
vol.72, no.2, pp.76-81, 2015-02-25 (Released:2015-02-25)
参考文献数
22
被引用文献数
2 3

2-アクリロイルオキシエチルイソシアナートとヒマシ油を開始剤とした分枝ポリ乳酸を用いて新規なUV硬化性樹脂を合成した.UV硬化性樹脂は比較的高い収率(90%)で得られた.さらに,UV硬化性樹脂を30分間UV照射により硬化させた.得られた硬化フィルムのガラス転移温度は-5°Cであり,ゴム状平坦領域が動的粘弾性測定において約20°Cの測定値から開始していたことから,エラストマー特性を有していることがわかった.硬化フィルムの熱安定性をTGAにより測定したところ,重量減少は210°Cで開始した.機械的特性として,ヤング率は応力–ひずみ曲線で317.9 MPaであった.硬化フィルムは,ブタ膵臓由来リパーゼにより酵素分解性(最大8.4%,30日間)を示した.分解した硬化フィルムのSEM顕微鏡写真では,フィルム表面に多数の穴を示した.
著者
松野 皓斗 香西 博明
出版者
公益社団法人 高分子学会
雑誌
高分子論文集 (ISSN:03862186)
巻号頁・発行日
vol.76, no.3, pp.257-260, 2019-05-25 (Released:2019-05-24)
参考文献数
13

A urethane acrylate derived from castor oil was synthesized using castor oil with 2-acryloyloxyethyl isocyanate and obtained in high yield. Furthermore, the obtained urethane acrylate was subjected to a UV cure reaction with polybutadiene. The UV cured film was characterized by thermal and mechanical measurements. The thermal stability of the obtained film was measured by TGA, and 20% thermal weight loss temperature at 425°C was observed. The glass transition temperature of the product was −60°C as revealed by DMA. The Young’s modulus of the product was 2.00 MPa, taken from the stress-strain curve.
著者
深川 由紀子 香西 博明 香西 保明
出版者
公益社団法人 日本化学会
雑誌
日本化学会誌
巻号頁・発行日
vol.2002, no.3, pp.415-419, 2002

和紙抄造などに利用されているアオギリの粘質物を採取し,物理化学的特性や構成成分について研究を行った.<br> アオギリの若葉や幹に被覆する酸性多糖類は,イオン交換水にて抽出した後メタノールで精製する.多糖類は,<FONT SIZE="-2">D</FONT>-ガラクツロン酸,<FONT SIZE="-2">D</FONT>-ガラクトース,<FONT SIZE="-2">L</FONT>-アラビノースおよび<FONT SIZE="-2">L</FONT>-ラムノースから構成されている.さらに粘質液を数日間放置すると粘度が低下する.アオギリ粘質物の酸による加水分解からアミノ酸である<FONT SIZE="-2">L</FONT>-グルタミン酸,<FONT SIZE="-2">L</FONT>-アラニン,さらには<FONT SIZE="-2">L</FONT>-イソロイシン,<FONT SIZE="-2">L</FONT>-バリン,<FONT SIZE="-2">L</FONT>-リシン,<FONT SIZE="-2">L</FONT>-チロシンおよびグリシンを得た.これらの結果は,アオギリに含まれる多糖類がきわめて複雑な構造を有し,その結果特有な物理的性質を与えていることと示唆している.