- 著者
-
駒津 順子
- 出版者
- 一般社団法人 日本家政学会
- 雑誌
- 日本家政学会誌 (ISSN:09135227)
- 巻号頁・発行日
- vol.72, no.8, pp.543-550, 2021
<p> COVID-19の感染が拡大していた2020年4月に, 布製マスクを製作する中学校家庭科の授業実践を行った. 授業は1週間で行い, 中学校の2・3年生の283名の生徒がマスクを500枚製作した. 危機に対応する力を育成するため, 家庭科の布を用いた製作実習で学んだ知識・技能を活用したマスク製作の授業を実践し, その教育効果を検討した. 生徒の自由記述では, 学んだ技能を生かし生徒同士が協力して分業で製作を行い, 短期間で目標を達成した実感をあげる生徒が多かった. 知識・技能を活用し, 役割分担を行い短期間に生徒同士で協力する力が, COVID-19のような予期せぬ状況に対応できる力として効果的であった. 今回の実践を通して, より高い技能の習得への意欲をあげる生徒が多かったことも明らかになった. また教科の枠組みを超えた専門知識を有する他教科の教員との連携が, 今回の実践で大変に効果的であった. 実践を通した課題としては, 連続使用によるミシンの金属疲労や布地の補修を行うコンピュータミシンの整備など, 道具について補完が望ましい状況であることがあげられた.</p>