著者
松永 真由美 山田 慎吾 野上 和剛 星 みゆき 浜田 佳奈 貝沼 圭吾 長尾 みづほ 藤澤 隆夫
出版者
一般社団法人日本小児アレルギー学会
雑誌
日本小児アレルギー学会誌 (ISSN:09142649)
巻号頁・発行日
vol.36, no.3, pp.203-210, 2022-08-20 (Released:2022-08-22)
参考文献数
6

【背景・目的】食物アレルギー児が安全な学校生活を送るためには学校生活管理指導表(以下,管理指導表)を用いた管理は必須である.しかし非専門医にとって必要な情報を過不足なく記載することはかならずしも容易ではない.そこで管理指導表の作成を支援するアプリ(以下,アプリ)を開発し,その診断性能を検証することとした.【方法】必要な問診項目が表示され,保護者がそれに回答することにより管理指導表の記載例が出力されるアプリを開発した.鶏卵,乳,小麦,ピーナッツのアレルギーのいずれかが原因食物の患者の問診票データをアプリに入力して出力された結果と当院アレルギー科医が記載した管理指導表を比較して,その一致度を検証した.【結果】94名の患者で解析を行い,一致率は食物アレルギー病型で100%,原因食物で90.4%であった.このアプリの運用により,非専門医でも容易かつ適切な管理指導表を作成することが期待できる.
著者
坪谷 尚季 長尾 みづほ 亀田 桂子 鈴木 尚史 桑原 優 貝沼 圭吾 藤澤 隆夫
出版者
一般社団法人日本小児アレルギー学会
雑誌
日本小児アレルギー学会誌 (ISSN:09142649)
巻号頁・発行日
vol.31, no.5, pp.683-691, 2017 (Released:2017-12-31)
参考文献数
17
被引用文献数
1 3

【背景】小麦アレルギー患者において, 大麦は交差抗原性をもつことが知られているが, 麦ご飯などの形で提供されることが多く, 日常生活上, 除去の判断が必要となることが多い. しかし, 大麦アレルギー合併の予測因子はよく知られていない. 【方法】大麦の摂取歴がなく, 小麦摂取後のアナフィラキシー既往または経口負荷試験 (OFC) にて小麦アレルギーと診断された児に対して行った大麦OFCの結果とOFC誘発症状, 特異的IgE抗体価の関連について後方視的に解析した. 【結果】27例 (3~15歳, 男児19例, 女児8例) で大麦OFCを行い, 13例 (48%) が陽性であった. そのうち小麦の摂取閾値と検査値の判明している23例で解析をした. ω-5グリアジン, 小麦特異的IgE抗体価および小麦OFCのTS/Pro (アナフィラキシースコアリングあいちスコア/累積負荷蛋白量) が, 陽性群で有意に高値であった. 【結語】小麦アレルギーが重症 (=TS/Pro高値) であると大麦摂取で症状が誘発される可能性が高い. ω-5グリアジン, 小麦特異的IgE抗体価も予測因子となりうる.
著者
貝沼 圭吾 三谷 義英 大橋 啓之 淀谷 典子 本間 仁 駒田 美弘
出版者
Japan Heart Foundation
雑誌
心臓 (ISSN:05864488)
巻号頁・発行日
vol.43, no.2, pp.S2_86-S2_86, 2011

症例: 心臓震盪は, 小児期から若年成人の競技, 遊戯などに伴って発生する外因性の院外心停止をきたす病態である. 欧米などでは主に球技により発症し, 自動体外式除細動器(AED)を用いた適切な心肺蘇生がなければ, 予後不良とされる. 今回, 本症を経験し, 発症時の映像, AEDファイルの心電図も含めて報告する.<BR>患者は14歳, 男児. 空手歴8年. 空手の試合中, 相手のパンチと膝蹴りが左前胸部に直撃した直後に, 心肺停止をきたした. 2分後に待機していた父親と医師による心肺蘇生, 4分後に3回のAEDによる除細動がなされ, 自己心拍が再開した. 発症13分後に救急搬送された病院で会話が可能であった. 以後, 後遺症なく経過良好であった. AEDファイルの心電図では, 心室細動が確認された. その後の精査により内因性の疾患は除外された. 以上から経過により心臓震盪と診断した.<BR>本症は, AEDを用いた適切な心肺蘇生が重要と考えられ, その対策について考察する.
著者
冨樫 健二 藤澤 隆夫 長尾 みづほ 貝沼 圭吾 荒木 里香
出版者
三重大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2014-04-01

小児期の肥満と若年成人期の心血管リスクとの関連を検討するため、肥満で通院した小児を対象とした予後調査を行った。小児期の平均年齢は9.8歳、成人期の平均年齢は22.4歳であり、平均経過年数は12.6年であった。小児期の肥満が高度化するほど成人期の肥満継続率は高かった(軽度肥満35.9%、中等度肥満49.1%、高度肥満77.8%)。小児期の皮下脂肪面積、内臓脂肪面積と成人期のそれとは相関を認めなかったが、小児期の血清脂質、高分子量アディポネクチンは成人期のそれと有意な相関関係を示し、肥満に伴う脂質代謝異常やアディポネクチン低値といった心血管系リスクは成人期においても残存した。