著者
小林 紘 磯部 和順 鏑木 教平 吉澤 孝浩 佐野 剛 杉野 圭史 坂本 晋 高井 雄二郎 栃木 直文 本間 栄
出版者
特定非営利活動法人 日本肺癌学会
雑誌
肺癌 (ISSN:03869628)
巻号頁・発行日
vol.57, no.3, pp.190-195, 2017-06-20 (Released:2017-07-04)
参考文献数
17

目的.Epidermal growth factor receptor-tyrosine kinase inhibitor(EGFR-TKI)治療に制酸剤併用が与える影響を明らかにする.方法.2008年8月から2014年12月にGefitinib/Erlotinibで加療されたEGFR遺伝子変異陽性肺腺癌98例を対象とし,制酸剤併用群と非併用群へのEGFR-TKIの臨床効果を後方視的に検討した.結果.Gefitinib群の制酸剤併用は25/56例(44.6%)で,Erlotinib群は33/42例(78.6%)であり,Gefitinib群/Erlotinib群の奏効率,病勢制御率,無増悪生存期間は制酸剤併用の有無で有意差は認めず,Erlotinib群のGrade 3以上の肝障害は,制酸剤併用群が有意に少なかった(3% vs. 22%,p = 0.023).結論.制酸剤併用はEGFR-TKIの治療効果や毒性に大きな影響を与えないことが示唆された.
著者
杉野 圭史 仲村 泰彦 鏑木 教平 佐野 剛 磯部 和順 坂本 晋 高井 雄二郎 奈良 和彦 渋谷 和俊 本間 栄
出版者
日本サルコイドーシス/肉芽腫性疾患学会
雑誌
日本サルコイドーシス/肉芽腫性疾患学会雑誌 (ISSN:18831273)
巻号頁・発行日
vol.37, no.1_2, pp.51-55, 2017-10-25 (Released:2018-03-09)
参考文献数
12
被引用文献数
1

症例は36歳女性.主訴は乾性咳嗽,労作時息切れ.X-8年頃より左下腿腓骨部に皮下腫瘤を自覚したが放置.X-4年8月に顔面神経麻痺,右眼瞳孔散大が出現し,PSL 40 mg内服により約1 ヶ月で治癒.その後,原因不明の頭痛,難聴,嗅覚異常が出現.X-2年11月頃より乾性咳嗽および軽度の労作時息切れが出現.X-1年4月の健康診断にて胸部異常陰影を指摘され全身精査の結果,全身性サルコイドーシス(肺,副鼻腔,神経,皮膚,肝臓)と診断された.挙児希望およびステロイド恐怖症のため,吸入ステロイドを約1年間使用したが,自覚症状の改善は得られず中止.当科紹介後にご本人の希望で漢方薬(人参養栄湯7.5 g/日,桂枝茯苓丸加薏苡仁9 g/日)を開始したところ,開始4 ヶ月後より咳嗽および労作時の息切れはほぼ消失,開始6 ヶ月後には,胸部画像所見,呼吸機能検査所見の改善を認めた.その後も本治療を継続し,現在まで3年間にわたり病状は安定しており,再燃は認めていない.
著者
佐藤 史朋 秦 美暢 笹本 修一 加藤 信秀 高木 啓吾 高井 雄二郎 長谷川 千花子 渋谷 和俊
出版者
特定非営利活動法人日本呼吸器外科学会
雑誌
日本呼吸器外科学会雑誌 (ISSN:09190945)
巻号頁・発行日
vol.21, no.6, pp.809-813, 2007-09-15

58歳男性.睡眠時無呼吸症候群でnCPAP療法中に,右肺S^2/S^6間に増大傾向を示す15mm大の不整結節影を認めたため,超音波メスを用いて右肺部分切除術を施行した.病理組織所見は線維性瘢痕であり,術後は空気漏れがなく術後7日目に軽快退院した.帰宅後翌日にnCPAPを再開したところ右前胸部痛が出現し,胸部X線所見で右上下葉間に薄壁空洞を認め,nCPAP再開を契機とした肺瘻の出現が疑われた.空洞は次第に縮小し術後6ヵ月で消失した.nCPAP使用中の肺切除術では,肺実質切離の方法やnCPAPの再開時期ならびに再開方法について留意すべきと思われた.