著者
本間 栄男
出版者
桃山学院大学
雑誌
国際文化論集 (ISSN:09170219)
巻号頁・発行日
no.47, pp.93-137, 2013-03

In this paper I examine the special features of the construction of Alexander Bain's theory of emotion by comparing it with other theories prevalent before the mid-nineteenth century. In Section 1, I outline Bain's life and the history of the publication of his well-known textbook The Emotion and the Will. In Sections 2 and 3, I consider the varying estimations of Bain's work (especially his theory of emotion) in the history of psychology. In Section 4, I discuss the Japanese translations of words related to emotion, and in Section 5, I clarify the origin of Bain's three divisions of the mind and the influence of his theory in Japan. From Section 6 to 9, finally, I examine the construction of the part of emotion in psychology books written during Bain's day and before.
著者
杉野 圭史 本間 栄 宮本 篤 高谷 久史 坂本 晋 川畑 雅照 岸 一馬 坪井 永保 吉村 邦彦
出版者
特定非営利活動法人 日本肺癌学会
雑誌
肺癌 (ISSN:03869628)
巻号頁・発行日
vol.47, no.2, pp.97-103, 2007 (Released:2007-05-21)
参考文献数
15
被引用文献数
4 3

目的.肺結核と原発性肺癌の合併症例の臨床的特徴ならびに問題点を分析し,今後の対策について検討した.対象および方法.1985年から2005年までの21年間に当院に入院した活動性肺結核患者788例および肺結核治療後の患者240例の中で,原発性肺癌を合併した17例を対象とし,患者背景,画像所見,予後をretrospectiveに検討した.結果.17例の内訳は男性15例,女性2例,平均年齢は73.4歳であった.肺癌の組織型では,腺癌が10例と最も多く,病期では,同時型(活動性肺結核が肺癌と同時期に発症・発見されている症例)が5例で全例III期,IV期の進行例であったのに対し,異時型(肺結核後遺症あるいは,すでに化学療法が終了し排菌のない症例)12例では,4例(33%)においてI期の早期肺癌が発見された.両疾患の病巣が同側肺あるいは同一葉内に存在する割合は,同時型でそれぞれ4例(80%),3例(60%)で,異時型ではそれぞれ8例(67%),1例(8%)で,同時型の方が同一葉内に存在する傾向が高かった.考察.肺結核と肺癌が合併した症例のうち,とくに同時型では,進行肺癌で診断されることが多く,予後が不良である.注意深い観察と積極的な診断および治療へのアプローチが必要である.
著者
小林 紘 磯部 和順 鏑木 教平 吉澤 孝浩 佐野 剛 杉野 圭史 坂本 晋 高井 雄二郎 栃木 直文 本間 栄
出版者
特定非営利活動法人 日本肺癌学会
雑誌
肺癌 (ISSN:03869628)
巻号頁・発行日
vol.57, no.3, pp.190-195, 2017-06-20 (Released:2017-07-04)
参考文献数
17

目的.Epidermal growth factor receptor-tyrosine kinase inhibitor(EGFR-TKI)治療に制酸剤併用が与える影響を明らかにする.方法.2008年8月から2014年12月にGefitinib/Erlotinibで加療されたEGFR遺伝子変異陽性肺腺癌98例を対象とし,制酸剤併用群と非併用群へのEGFR-TKIの臨床効果を後方視的に検討した.結果.Gefitinib群の制酸剤併用は25/56例(44.6%)で,Erlotinib群は33/42例(78.6%)であり,Gefitinib群/Erlotinib群の奏効率,病勢制御率,無増悪生存期間は制酸剤併用の有無で有意差は認めず,Erlotinib群のGrade 3以上の肝障害は,制酸剤併用群が有意に少なかった(3% vs. 22%,p = 0.023).結論.制酸剤併用はEGFR-TKIの治療効果や毒性に大きな影響を与えないことが示唆された.
著者
本間 栄男
出版者
日本科学史学会
雑誌
科学史研究 (ISSN:21887535)
巻号頁・発行日
vol.47, no.247, pp.140-149, 2008 (Released:2021-08-04)

Isaac Beeckman (1588-1637) is a self-learning man. He learned medicine by his reading medical books (contemporary and classic). In this paper I study how Beeckman read and understood them. He did not merely memorize them. But he gave some supplementary explanations to their (he thought) insufficient passages, sometimes criticized them and gave mechanical explanation that was based on atomism with hydrostatics. We can find similar ways of reading in the works of Lucretius and Cardano which young Beeckman read repeatedly. Beeckman learned the way of explaining natural phenomena with atomism from Lucretius' De rerum natura, and the way of explaining mechanics with natural philosophy and of demonstrating the principles of natural philosophy with machines from Cardano's De subtilitate. Beeckman's interactive reading is a good style of self-learning, but to avoid some bad effects of self-learning, he had to talk actually to a good respondent such as young Descartes.
著者
本間 栄男
出版者
日本科学史学会
雑誌
科学史研究 (ISSN:21887535)
巻号頁・発行日
vol.43, no.229, pp.31-34, 2004 (Released:2021-08-12)

During the collaboration of Beeckman and Descartes, the young Frenchman wrote a short treatise on the "paradox of hydrostatics " which comes from Simon Stevin's work. It is certain that Beeckman brought forward the paradox before him. In this note I show its origin in Beeckman's Journal. I follow the sequence of references in his text to Stevin's and find the very theorem of "hydrostatical paradox ". I also refer to the importance of hydrostatics for Beeckman, because he thought a hydrostatical pressure model of the gravitation or attraction which is the central problem in his natural philosophy. At the end of their collaboration they thought falling body problem. This problem must give them another problem about the cause of gravitation. I think that in the course of explaining it they came upon the paradox.
著者
本間 栄男
出版者
日本科学史学会
雑誌
科学史研究 (ISSN:21887535)
巻号頁・発行日
vol.39, no.216, pp.202-210, 2000 (Released:2021-08-23)

During the collaboration of Beeckman and Descartes at Breda (1618-1619), they studied problems of mixed mathematics by so-called "physico-mathematica". In this paper I clarify the meaning of "physico-mathematica" for Beeckman especially in his musical theory. Beeckman considered the "physico-mathematica" as a way of giving the corpuscular interpretations both to the examples Descartes submitted to him (such as consonance and resonance) and to the problems of the musical theory (division of octave) which have been already demonstrated in the mathematical form by Descartes. This way of philosophizing depended on Beeckman's corpuscular theory of sound which he thought was a sequence of beats (ictus) of corpuscles of air. In those musical problems Beeckman acted as the "physico-mathematician" and Descartes as a traditional mixed mathematician.
著者
海老原 覚 杉野 圭史 本間 栄
出版者
一般社団法人 日本呼吸ケア・リハビリテーション学会
雑誌
日本呼吸ケア・リハビリテーション学会誌 (ISSN:18817319)
巻号頁・発行日
vol.26, no.2, pp.191-193, 2016-08-31 (Released:2016-09-15)
参考文献数
7

間質性肺炎に対する呼吸リハビリテーションの有用性が近年指摘されている.ここで重要なのは間質性肺炎における呼吸リハビリテーションにおいて,どのような患者が適しているのか,どのような呼吸リハビリテーションが適しているのか,ということである.それを解明することを目的として,Toho Rehabilitation for Interstitial Pneumonia Study(TRIP study)を立ち上げた.そこでの患者の評価として基本属性に加え,病態把握,重症度分類(JRS),運動耐用能とQOLの評価を行っている.なかでも我々は咳嗽に注目して評価している.咳嗽は間質性肺炎の主症状であり,QOL及びリハビリテーションの阻害因子のみならず,N- アセチルシステイン吸入療法などにおける薬物療法の阻害因子であるからである.さらに間質性肺炎において咳嗽の重積発作は気胸を引き起こし,重症呼吸不全から死に至るきっかけにもなるからである.咳嗽に関するQOLの問診票としてレスター咳問診票(LCQ)がある.さらに客観的に咳嗽を記録できる咳モニターシステムの開発が待たれる.外来リハビリテーションの頻度と期間は,週1回(60分間)を3ヵ月間継続的に行い,コンディショニングに引き続き有酸素運動を行い,さらに四肢のレジスタンストレーニングを行うメニューとしている.さらに私たちは間質性肺炎に特異的な教育用の教材の開発を行っている.そのような教材を用いることにより,リハビリテーションの効果が一層高まるものと思われる.
著者
杉野 圭史 海老原 覚 本間 栄
出版者
一般社団法人 日本呼吸ケア・リハビリテーション学会
雑誌
日本呼吸ケア・リハビリテーション学会誌 (ISSN:18817319)
巻号頁・発行日
vol.26, no.2, pp.194-199, 2016-08-31 (Released:2016-09-15)
参考文献数
17

間質性肺炎患者では,労作時の呼吸困難による身体活動性の低下がdeconditioningをもたらし,運動耐容能の低下,QOLの悪化,不安やうつ状態に繋がると考えられる.これら運動耐容能の低下,QOLの悪化,不安やうつ状態に対して,呼吸リハビリテーション(特に運動療法)による改善効果が期待できる.間質性肺炎患者を対象とした5つの無作為化比較試験のシステマティックレビューにより,呼吸リハビリテーションは運動耐容能(6分間歩行距離の延長)の中等度改善,呼吸困難およびQOLの弱いながらの改善が示されており,推奨されている1).間質性肺炎(特に特発性肺線維症)および気腫合併肺線維症患者に対して,呼吸リハビリテーションを行うに当たり,呼吸器内科医は,豊富な経験と知識を有するリハビリテーション科医師および理学療法士の協力が必要であり,チームによる定期的なミーティングを行うことが重要である.さらに,患者選択基準や運動療法の頻度や強度など多面的な解析により,実施方法について詳細な検討を行い,重症度に合わせた最適な呼吸リハビリテーションプログラムを作成することも必要不可欠である.その結果,これらの患者に対して安全でより効果的な呼吸リハビリテーションを導入することが可能になると考える.
著者
本間 栄 村松 陽子 杉野 圭史
出版者
医学書院
巻号頁・発行日
pp.359-365, 2010-04-15

はじめに 特発性肺線維症(IPF)増悪例の治療には,これまでステロイド剤が広く使用され,米国胸部学会(ATS)のIPF診療のガイドライン1)では,進行性に悪化するIPFに対してステロイド剤と免疫抑制剤であるシクロフォスファミド,またはアザチオプリンの併用を推奨してきた.しかし,これらの薬剤を併用しても効果は十分とは言えず,血球減少などの副作用で薬剤を中止せざるを得ない症例も少なくない.このため,最近では線維化が顕著となる以前の疾病早期からの治療導入が必要であると考えられるようになっている. グルタチオンはグルタミン,システイン,グリシンの3つのアミノ酸から合成される.IPFの末梢気腔ではグルタチオンが減少し,レドックスバランスの不均衡が生じ,特に進行例において顕著になる(図1~3)2~4).N-アセチルシステイン(NAC)はグルタチオンの前駆物質として抗酸化作用を有するとともに,直接活性酸素のスカベンジャーとして作用し,さらに炎症性サイトカインの産生を抑制することで,抗線維化作用を発揮すると考えられている(図4)5~7). また,最近の基礎実験において,IPFの線維化機序の一つである肺胞上皮細胞における上皮-間葉転換(EMT)がNAC投与により抑制されることが示された.これは,細胞内グルタチオンの補充とTGF-β1に誘導される細胞内活性酸素種産生を抑制する機序が主に関与している8,9).
著者
本間 栄
出版者
一般社団法人 日本呼吸ケア・リハビリテーション学会
雑誌
日本呼吸ケア・リハビリテーション学会誌 (ISSN:18817319)
巻号頁・発行日
vol.24, no.1, pp.105-111, 2014-04-30 (Released:2015-11-13)
参考文献数
19

特発性肺線維症は治癒が期待できない慢性進行性疾患であるため,改善にいたらないまでも悪化を阻止することが到達可能な治療目標である.治療を開始すべき正確な時期はいまだ不明であるが,回復不能の線維症へと進展する前の初期段階で治療を開始したほうが治療効果は高いと考えられている.慢性増悪期の経時的予後不良因子として6~12ヵ月間で呼吸困難増悪,肺活量(FVC:10%<),拡散能(%DlCO:15%<)の低下,蜂巣肺の進展などがあげられ,これらの因子が複合的に観察された場合には抗線維化薬としてN-アセチルシステインあるいはピルフエニドンを開始する.IPF の急性増悪は安定期においても,感染などを誘因に生じうるが,発症時にはただちに治療を開始する.ステロイドパルス療法に加え免疫抑制剤,PMX-DHP 療法,好中球エラスターゼ阻害薬,低分子ヘパリン,トロンボモジュリンなどの併用療法が施行される.
著者
本間 栄男
出版者
桃山学院大学
雑誌
桃山学院大学社会学論集 = ST.ANDREW'S UNIVERSITY SOCIOLOGICAL REVIEW (ISSN:02876647)
巻号頁・発行日
vol.48, no.2, pp.63-104, 2015-02-27

Herbert Spencer (1820-1903) included an evolutionary psychology in his synthetic philosophy. In this paper I treated the development of theory of emotion in his psychology. Spencer had four sources in his theory of emotion: Lamarkian theory of evolution, phrenology, association psychology, and theory of moral sense. Though association psychology which comes from empiricism is opposed to moral sense which is an inherent ability, he was able to dissolve the opposition through the Lamarkian theory of evolution which admits that an individual can hand down the ability he got to the next generation. From phrenology, he socceeded the opinion that psychological functions have their seats only in brain and nerve. Spencer gave a brief account of emotion in his early work (The Principles of Psychology, first edtion, 1855), but in the late 1850s he gradually considered it important. Through his reading Alexander Bain's The Emotion and the Will (1859), emotion occupied an important place in his system. In the second edtion of The Principles of Psychology (2vols. 1870-1872) he discussed the formation of social sentiments which is the base of social morality in his evolutionary way, and made it possible to engage psychology with sociology and ethics.
著者
杉野 圭史 仲村 泰彦 鏑木 教平 佐野 剛 磯部 和順 坂本 晋 高井 雄二郎 奈良 和彦 渋谷 和俊 本間 栄
出版者
日本サルコイドーシス/肉芽腫性疾患学会
雑誌
日本サルコイドーシス/肉芽腫性疾患学会雑誌 (ISSN:18831273)
巻号頁・発行日
vol.37, no.1_2, pp.51-55, 2017-10-25 (Released:2018-03-09)
参考文献数
12
被引用文献数
1

症例は36歳女性.主訴は乾性咳嗽,労作時息切れ.X-8年頃より左下腿腓骨部に皮下腫瘤を自覚したが放置.X-4年8月に顔面神経麻痺,右眼瞳孔散大が出現し,PSL 40 mg内服により約1 ヶ月で治癒.その後,原因不明の頭痛,難聴,嗅覚異常が出現.X-2年11月頃より乾性咳嗽および軽度の労作時息切れが出現.X-1年4月の健康診断にて胸部異常陰影を指摘され全身精査の結果,全身性サルコイドーシス(肺,副鼻腔,神経,皮膚,肝臓)と診断された.挙児希望およびステロイド恐怖症のため,吸入ステロイドを約1年間使用したが,自覚症状の改善は得られず中止.当科紹介後にご本人の希望で漢方薬(人参養栄湯7.5 g/日,桂枝茯苓丸加薏苡仁9 g/日)を開始したところ,開始4 ヶ月後より咳嗽および労作時の息切れはほぼ消失,開始6 ヶ月後には,胸部画像所見,呼吸機能検査所見の改善を認めた.その後も本治療を継続し,現在まで3年間にわたり病状は安定しており,再燃は認めていない.
著者
本間 栄男
出版者
桃山学院大学
雑誌
桃山学院大学社会学論集 (ISSN:02876647)
巻号頁・発行日
vol.48, no.2, pp.63-104, 2015-02-27

Herbert Spencer (1820-1903) included an evolutionary psychology in his synthetic philosophy. In this paper I treated the development of theory of emotion in his psychology. Spencer had four sources in his theory of emotion: Lamarkian theory of evolution, phrenology, association psychology, and theory of moral sense. Though association psychology which comes from empiricism is opposed to moral sense which is an inherent ability, he was able to dissolve the opposition through the Lamarkian theory of evolution which admits that an individual can hand down the ability he got to the next generation. From phrenology, he socceeded the opinion that psychological functions have their seats only in brain and nerve. Spencer gave a brief account of emotion in his early work (The Principles of Psychology, first edtion, 1855), but in the late 1850s he gradually considered it important. Through his reading Alexander Bain's The Emotion and the Will (1859), emotion occupied an important place in his system. In the second edtion of The Principles of Psychology (2vols. 1870-1872) he discussed the formation of social sentiments which is the base of social morality in his evolutionary way, and made it possible to engage psychology with sociology and ethics.
著者
本間 栄男
出版者
桃山学院大学
雑誌
桃山学院大学人間科学 (ISSN:09170227)
巻号頁・発行日
no.39, pp.1-27, 2010-12-15

In this paper, I aim at describing the passion for bibliography-making in the history of science in Japan and U.S.A. and suggesting a modest contribution of the bibliographies of the history of science to classifying library books. In Isis, the journal of the history of science in U.S.A. launched by George Alfred Leon Sarton (1884-1956), the bibliographies were main contents. Sarton's passion for bibliography-making is still inherited as the Current Bibliography, supported by the organized backup. In Japan, Kagakushi Kenkyu (Journal of History of Science, Japan) has had bibliographies in some periods before and after the WWII, owing to some personal efforts, but lost them since 1995. From the viewpoint of history of science, it is undesirable that the books of science are classified into too subdivided disciplines in the library, because the disciplines of science have been reorganized to synthesize or split.
著者
本間 栄男
出版者
日本科学史学会
雑誌
科学史研究. 第II期 (ISSN:00227692)
巻号頁・発行日
vol.43, no.229, pp.31-34, 2004-03-25
被引用文献数
1

During the collaboration of Beeckman and Descartes, the young Frenchman wrote a short treatise on the "paradox of hydrostatics" which comes from Simon Stevin's work. It is certain that Beeckman brought forward the paradox before him. In this note I show its origin in Beeckman's Journal. I follow the sequence of references in his text to Stevin's and find the very theorem of "hydrostatical paradox". I also refer to the importance of hydrostatics for Beeckman, because he thought a hydrostatical pressure model of the gravitation or attraction which is the central problem in his natural philosophy. At the end of their collaboration they thought falling body problem. This problem must give them another problem about the cause of gravitation. I think that in the course of explaining it they came upon the paradox.