- 著者
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石原 武政
石井 淳蔵
加藤 司
崔 相鐵
高室 裕史
坂下 玄哲
- 出版者
- 関西学院大学
- 雑誌
- 基盤研究(A)
- 巻号頁・発行日
- 2005
本研究では、東アジアにおける小売商業の存立メカニズムを「家族従業経営」の視点を通して明らかにしていくことを目的に調査研究を進めた。具体的に行ってきた事項は主として次の4点である。第1が、「家族従業」を核概念とした中小小売商業研究の分析フレームの精緻化と仮説構築である。分析フレームと仮説構築に向けた作業は、このプロジェクトの準備段階で行われた高室・石井(2005)の研究枠組みを再検討することから開始された。経験的側面からは神戸及び韓国におけるプレ調査の分析と調査対象国の事例調査研究(後述)、また、理論的・歴史的側面からは日本の商業研究と東アジア各国の流通政策研究の整理を中心に作業を進めた。このプロセスの中、本研究の焦点が「家族従業」と「事業継承」の2つの課題に絞られると同時に、新たに「家業概念」を中心概念とした理論仮説を導出するに至った。第2が、東アジアの主要国における事例調査である。韓国、台湾、中国の主要地区の中小商業者を対象に、ヒアリング調査を中心とした事例調査研究を行った。なお、本調査研究については、上述のとおり本研究全体の分析フレームの構築に向けた予備調査の性質もあわせ持つものである。第3が、東アジアの主要国を対象とした質問票調査の実施である。まずは、これまでの調査研究及び分析フレームの構築のもとに国際比較に向けた質問票の枠組みを完成した。そして、日本・韓国・台湾・中国の4ケ国8地域、総配布数5722票、回収数3372票に及ぶ調査を実現し、東アジアの小売商業の分析の基礎となるデータベースを作成した。第4が、本研究に関連する学識者・実務家等を加えた約20名にわたる研究会の組織である。定例的に議論を行うとともに、関連領域の専門家や実務家の招聘による専門的知識の提供などを受けた。また、本組織を中心に各種学会等において研究成果の発信を行った。