著者
高木 駿 岩佐 宣明 品川 哲彦 青田 麻未
出版者
北九州市立大学
雑誌
学術変革領域研究(A)
巻号頁・発行日
2023-04-01

本研究では、「態度適合理論/分析」を、感情、自然・環境、生命、文化、ジェンダー、セクシャリティの観点から改良・使用することで、多元的で多様な現代社会に対応した尊厳概念を「社会的地位/身分」ではなく「絶対的価値」として正当化し、従来のモデルを克服する尊厳理解の新たなモデルを築くとともに、尊厳概念のより正確な定義を提案する。これにより、尊厳概念に多元化・多様化・拡張化を強く求める社会の要請に十分に応答可能な概念を「尊厳学」の確立の基盤として提供する。さらに、「生きるに値する/値し ない」の優生学的線引きとして機能することのない尊厳概念を練り上げ、その射程を人間以外のさまざまな存在者にまで拡張する。
著者
久保 伸子
出版者
北九州市立大学
巻号頁・発行日
2018

本論文では、伊藤の政治経歴と対内外政策を通して、明治日本の朝鮮(韓国)政策を検討する。
著者
チョウ ピンピン
出版者
北九州市立大学
巻号頁・発行日
2021-03-23

本論文では、チベットにおける広域にわたるフィールド調査のデータをもとに、ヤクの糞(牛糞)に注目し、その燃料資源としての有用性から文化的な象徴性までを論じている。それによって人類史における乾燥高冷地への適応プロセスを明らかにし、こうした資源としての重要性を背景に、富と豊穣の象徴としての牛糞という、ひとつのチベット文化論を展開している。
著者
東 義真
出版者
北九州市立大学
巻号頁・発行日
2012

本論文は、米国人映画作家ジョージ・ルーカス氏が原作、脚本、及び監督し制作した映画『スター・ウォーズ』(Star Wars)について、多角的なコンテクストで捉え、ルーカス監督の思想的局面に迫るものである。映画史における『スター・ウォーズ』の立ち位置を確認していく。そして特殊撮影技術(visual effects)による前人未到の世界観創造が縁の下の力持ちとなり、リアリティを持って表現される叙事詩テーマを解明する。そこには神話的伝統というコンテクストが意図的に盛り込まれていることを発見する。1980 年代という時代性の中で、アメリカ文化と日本・東洋文化(仏教や道教などを含む)とが合流するウエストコーストが生み出したカルチャーとしての『スター・ウォーズ』の世界的影響力というコンテクストを見る。さらに、20 世紀末の多元文化主義の勃興というグローバル・ムーブメントの中に於ける『スター・ウォーズ』の求心力を確認し、1960年代~1970年代の米国の政治的イベントとベトナム戦争の経緯から生じる社会変革の中で、表現者としてのルーカス監督の 思想がどのように時代への答えを出してゆくのか、を再確認し、『スター・ウォーズ』シリーズによってルーカス示すメッセージを、文化的融合の促進として捉 える。映画史のコンテクストとしては、初期ハリウッドのスタジオ確立そして弱体化という変遷から独立系の映画作家たちが登場し、ルーカスフィルム社も又その中から登場してきた事と、ルーカス映画の系譜を検証する。 ジョージ・ルーカスの制作する映画の特徴を、西部劇スタイルから登場する孤独なヒーロー像や、スタンリー・キューブリック監督『2001年宇宙の旅』(2001: A Space Odyssey)に始まる現代SF 空想科学映画テーマと関連付けて述べる。アメリカ文化と東洋・日本文化のコンテクストを考えた時の『スター・ウォーズ』は、アメリカにおける超絶主義(Transcendentalism)の代表者の一人であるラルフ・ウォルド・エマソンが東洋思想的観点を主張したことと、自然と一体になるフォースの思想との関連性を軸に検証することができる。また『スター・ウォーズ』にはビジュアル面でも多くの東洋デザインが取り入れられていてルーカスの東洋思想への傾倒を補強している。こうした観点から映画を 検証していく。さらに、ルーカス監督自身の伝記と彼の映画作品との関連性から、作家のパーソナリティに迫り、作家ジョージ・ルーカスのライフワークとして位置づけられる2大シリーズ『スター・ウォーズ』と『インディ・ ジョーンズ』の中に見られる神話学・人類学の要素を、比較神話学者ジョゼフ・キャンベル(Joseph Campbell)の神話的伝統(神話的雛形と汎神論的な考え)と関連付けて述べる。本論文は、ヒューマノイド型生物や、異星人、または高度に発達したロボットが、様々な文化・習慣を持つ銀河世界で活躍するという映画を表現し、そこに多文明 共存の豊かな形を提示し、この世界を多元文化的に捉えることを肯定するジョージ・ルーカス氏が、映画芸術の中で象徴的な形として、複雑な文化的遺産と苦闘しながらも新しい形の共存社会の提示を決意したということを証明しようとしている。第1章では、序章として本論文の中心的テーマである『スター・ウォーズ』に伝統的神話が意図的に含められて制作された経緯を見る。ここでルーカスが未来の世代を荷う子供たちのために、映画『スター・ウォーズ』制作を決意したことを示す。第2章では、『スター・ウォーズ』が登場するまでのアメリカ映画史とアメリカン・ヒーロー像を検証し、ルーカス監督の人物像や育ちの背景の詳細と、『スター・ウォーズ』に描かれる東洋思想がさらに続編映画によって深いものとなっていき、単なる映画を超えて文化的現象となる時代とを関連付けて考える。第3章では、『スター・ウォーズ』にあるアメリカ文学的背景としての父を探す物語の部分を検証する。そして、サーガとして見たときに、この大河絵巻が改心の 物語をテーマにしているというヨーロッパ文学のコンテクスト上にあることを示す。同時に、その枠組を超えて汎神論的な多元文化主義を強く打ち出しグローバルな表現としてメッセージを提示していることを確認する。そのために、思想的に一貫している他のルーカス映画も検証する。第4章では、『スター・ウォーズ』の中に含まれた他の神話的雛形の抽出を、ジョゼフ・キャンベルの捉え方の中で検証する。ルーカスのキャンベルへの傾倒が、ルーカス自身の作風を汎神論的に、より多様で深いものとしたことを考察する。そして、ルーカスが次第に文化人類学的理解を深め文化多元主義を持論とし、多くの人類集団(人類学では人種という言葉を使用しない方向にある)共存の映像的メッセージを確立した、と結ぶ。
著者
小林 道彦 森 靖夫 瀧井 一博 西田 敏宏 奈良岡 聰智 松本 浩延
出版者
北九州市立大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2017-04-01

本研究は、山県有朋および山県系官僚閥に関する内外史料の収集と整理・分析を通じて、新版『山県有朋意見書』を編集・公刊し、「日本の近代」の再検討を行おうとするものである。底本には大山梓編『山県有朋意見書』(原書房、1966年刊行、以下「大山本」と略称)を用いる。大山本は日本近代史研究などの学問分野における最も基本的な「データベース」として、長年多くの研究者に利用され、多大なる学問的恩恵をもたらしてきた。本研究は爾後半世紀あまりにわたって関係諸機関によって、収集・公開されてきた史料を中心に、新たな史料の探索にも注力しつつ、それらを整理・統合した新版『山県有朋意見書』を公刊することを目的とするものである。2年度目にあたる本年度は、研究実施計画に沿って着実に研究実績を積み重ねることができた。その概要は以下の通りである。①大山本に掲載されている意見書の典拠確認・史料原本の複写作業はほぼ完了した。ただし、10点あまりは典拠不明である。②『公爵山県有朋伝』『明治天皇紀』『明治天皇御伝記史料・明治軍事史』『陸軍省沿革史』等の刊本からの、関連箇所の複写とデータ入力作業は完了した。上記作業に関しては、松本浩延(同志社大学法学研究科博士後期課程)、徳重伸(同博士前期課程)、井本莞司(同博士前期課程)を研究協力者として作業を行った。③前年度に引き続き、大山本に収録されていない意見書の探索を、国立国会図書館憲政資料室、防衛省防衛研究所図書館、国立公文書館、奥州市立後藤新平記念館、憲政記念館、山口県文書館などで進めており、43点あまりの未刊行の新出意見書を見つけ出すことができた。また、海外での史料調査も適宜実施した。④以上の史料リストを全部統合した「統合リスト」を作成し、それを元に出版社(千倉書房)との出版交渉を行った。
著者
加藤 尊秋
出版者
北九州市立大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2006

本研究は,原子力発電のリスクが発電所の周辺地域で受け入れられる条件を探り,既存の発電所立地地域での住民の心理的負担を軽減させる方策を考察することを目的とし。ケーススタディとして新潟県の柏崎刈羽原子力発電所を対象とした。平成19年度の実施内容は,以下である。1)発電所の操業に伴うさまざまな経済的利点が市町村によって異なることに着目し,その大きさと発電所のリスクに対する補償としての認知度の関連を,既存の社会調査(2005年度実施)の結果をまじえて検討した。その結果,公共的な資金の流入が大きな市町村では,発電所のリスクが補償されたとみなす人の割合が高まることがわかった。ただし,当該資金が補償として十分であると考える人は,1人あたりの額がもっとも大きい刈羽村でも最大限にみて4割にとどまることがわかった。この結果は,「日本原子力学会和文論文誌」に掲載された。2)柏崎刈羽原子力発電所から15km圏内の住民を対象とした訪問面接形式の社会調査をもとに,原子力発電所のリスクおよび原子力防災に対する住民の認知内容を調べた。とくに,発電所から2.3km圏(柏崎市の重点的な対策区域),10km圏(国や県の対策の基本となる緊急時計画区域),15km圏(明示的な対策区域の外)に分け,住民の認知内容を分析した。この結果は,日本リスク研究学会で発表されるとともに,「化学工学」に関連する論考が掲載された。3)上述の社会調査のデータを用い,発電所の経済的利点の認知と防災意識の間にみられる関連性について検討した。
著者
久保 伸子
出版者
北九州市立大学
巻号頁・発行日
2018-03-24

本論文では、伊藤の政治経歴と対内外政策を通して、明治日本の朝鮮(韓国)政策を検討する。
著者
水本 光美
出版者
北九州市立大学
雑誌
基盤教育センター紀要 (ISSN:18836739)
巻号頁・発行日
no.16, pp.19-43, 2013-03

日本語教科書においては、多数の男性が社会的地位の高い知的職業に従事し、女性は主にサービス業や小売業などで社会を支えるという構図が印象づけられている。一方、政府による調査結果によれば「医療」と「教育」の分野では女性就業者が多く、技術・専門職が事務職より多い。医療分野では若い世代の女性の活躍が顕著である。アンケート調査でも、日本語教育者の大半が教科書の偏った描写法に問題意識を持っていることが確認できた。
著者
阪井 俊文
出版者
北九州市立大学
巻号頁・発行日
2012

当論文は、雑誌の内容分析を通じて、現代における恋愛の特徴を、「消費社会化」「ジェンダー」「社会階層」を切り口にしつつ解明することを目的としたものである。
著者
小畑 拓未
出版者
北九州市立大学
巻号頁・発行日
2022-03-23

全国的に問題となっている木造戸建住宅の夏季床下高湿化について、実測調査、数値シミュレーション、CFD解析の手法を用いて検討を実施した。床断熱住宅に関しては、高湿化の要因分析と最適な対策の検討を行った。基礎断熱住宅に関しては、複数の住宅における6年間に亘る実測結果から、床下空間の形態ごとの温湿度性状を明らかにし、竣工初期のコンクリートからの発湿が終了した住宅においても高湿化の危険性があることを示した。
著者
高木 駿
出版者
北九州市立大学
雑誌
若手研究
巻号頁・発行日
2020-04-01

近代美学では、「美」が「善」から独立したことに伴い、「悪」と混同されてきた「醜」も、独立した一つの概念と見なされるようになった。現代に入ると、醜さは、崇高との強い連関が発見され、美の範疇では理解不可能な芸術を説明するための美的範疇として定着した。しかし、醜さは、崇高と関係しない場合もあり、芸術にのみ限定されるものでもなく、特に「自然の醜さ」が未解明のままに残されている。本研究は、「自然の醜さ」の解明を行う。そのために、 カントの美学理論を用いる。カントの理論は、自然を対象とする理論であると共に、不快の感情に基づき、崇高と関わる醜さをも含めた様々な種類の醜さを説明できるからである。
著者
濱野 健
出版者
北九州市立大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2015-04-01

本年度は研究計画の三年目に当たる。本年度も、昨年同様に、国内における研究協力団体への定期的な参与観察を実施した。実施先は、首都圏および北部九州である。調査回数は、平成29年4月から8月まで、延べ3回にわたる。その他にも、8月には中部地方にて、研究協力者への長時間への個別聞き取り調査などを実施した。また、研究協力者の依頼をうけて、本研究課題の成果に基づく情報提供を実施し、成果の還元に努めるなどした。また、本年度の具体的な研究成果として、本年度は国際学術誌にて査読付きの研究論文を英文にて出版した。内容については、本研究課題以前に実施していた研究内容、及び本研究での問題設定を、今後の検討課題も含めて考察した内容となっている。しかしながら、平成29年度については同年9月より米国にて在外研究のために一年間在籍することになったため、年度の後半については当初予定していた最終年度としての成果の公開にはいたらなかった。しかしながら、当初平成29年度までを予定していた研究計画を一年間延長することが認められたため、在外研究期間中に本研究に関わる文献資料や先行研究の収集を集中的に実施した。また、現地で開催される学術会議やカンファレンス(米国アジア学会年次大会等)などに出席し、本研究に関連する研究報告などの知見を得ることができた。また、所属先であるミシガン大学にて、関連する涼気の研究者などと交流をすることにより、本研究についての新しい視点や先行研究などの紹介を得ることができた。
著者
水本 光美 福盛 壽賀子 高田 恭子 福田 あゆみ
出版者
北九州市立大学
雑誌
萌芽研究
巻号頁・発行日
2005

研究最終年度である本年度の以下の研究は、ほぼ計画通り進行した。(1)データ収集と分析の補完 (1)ロールプレイによる20代前半と40代の女性同士の会話(2)放送中の外国ドラマ(吹き替え)(2)ジェンダー・フィルタの類型化 (1)脚本家へのアンケート調結果の分析(2)(1)に潜むジェンダー・フィルタの分析(3)研究成果発表:論文3稿・国際シンポジウム発表1件過去2年間の研究成果と今年度の調査結果を比較分析し考察することにより、次の点を豊富なデータにより実証出来たことは、社会言語学、メディア言語研究において、学術的にも大いに意義のあることであり、その点で、今後の研究の発展に貢献することが期待される。(1)テレビドラマに見られる自己主張の場で突如、若い女性が女性文末詞を使用する傾向は、実際の若い世代の女性たちの会話には認められない。(2)現代の若い世代の女性とテレビドラマの中の同世代の登場人物との女性文末詞使用状況には、明確な差が存在しているが、脚本家の3分の2近く(61%)が実際に話されているかどうかより、登場人物のキャラクターが伝わりやすい話し方、および状況設定に合わせて話し方を選択している。(3)脚本家は現実より登場人物のキャラクターや状況を重視した言葉遣いを選択し、キャラクターのデフォルメの道具として意識的に女性文末詞を用いている。(4)(3)は意識的、無意識的に拘わらず、脚本家のジェンダー意識によるところも否めない。(5)20%の脚本家は、現実社会における女性文末詞使用の世代変化を認識し、自身のドラマには現実を反映させている。
著者
堀地 明
出版者
北九州市立大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2008

本研究の目的は、清代中国における食糧暴動の首謀者がどのよう法令に基づいて、いかなる刑事罰を受けたのかを実証的に解明することである。雍正~道光年間(1723~1850)の事例を検討した結果、清代の食糧暴動の首謀者に課せられた最重の刑罰は、大清律例軍律激変良民の光棍条例による判決後の即時執行の斬首刑であった。食糧暴動が頻発した乾隆13(1748)年には、皇帝の意向により斬首執行後の梟首が付加され、刑罰の厳罰化がはかられた。
著者
望月 康恵 大形 里美 森谷 裕美子 田村 慶子 織田 由紀子
出版者
北九州市立大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2001

本研究は、東南アジア地域におけるジェンダー主流化の動きとNGOの役割について考察したものである。望月康恵(研究代表者)は、東南アジアの国際機構・制度に着目し、ジェンダー主流化への対応と加盟国との関係について考察を行い、機構・制度の独自の取り組みについて検証した。また、職務権限上の制限、加盟国への影響、取り組みの評価の必要性や将来への課題についても検討した。田村慶子(研究分担者)は、マレーシアおよびシンガポールの女性政策とNGOの関わりについて現地調査と具体的な検討を行った。それぞれの政府の女性政策と女性の地位について歴史的に明らかにし、またNGOが政府や州の政策にどのような役割を果たしているのか、その協力および対抗関係について分析し、問題点と課題を明らかにした。森谷裕美子(研究分担者)は、フィリピン、パラワン社会におけるNGO活動の個別、具体的な調査を行った。その結果、少数民族社会におけるNGO活動にはジェンダー主流化の配慮が欠けている例が多く見られたため、さらに、少数民族社会に影響力の大きいNGOにどのような課題が残されているかを明らかにし、今後、少数民族社会とNGOにどのような関係が期待されるのかを検討した。大形里美(研究分担者)は、インドネシアの女性政策の流れ、そして女性組織(社会団体、及びNGO)の発展について、インドネシア政府による2000年以降のジェンダー主流化政策が女性NGOの活動とアドボカシー活動によって実現したものであることを確認した。また、ジェンダー主流化に関連する様々な分野で活動を展開している女性NGOに着目し、組織の発展、活動内容について検討した。織田由紀子(研究分担者)は、ジェンダー主流化政策の歴史的変遷を踏まえつつ、アジア地域においてジェンダー問題に関わるNGOについて現状分析を行い、NGOが国境を越えたネットワークを通じて多様な課題におけるジェンダーの主流化の推進に影響を及ぼしてきていることを研究した。なお、研究代表者および分担者は、研究会を定期的に開催し、報告および意見交換を行うことによって、研究の進捗状況および方向性を確認しながら分析を深めた。その成果を日本国際政治学会東南アジア分科会(2002年11月淡路夢舞台国際会議場)にて報告し、また成果の一部を『アジア女性研究』(12号、2003年)の特集「ジェンダー主流化におけるNGOの役割-東南アジアを中心に」に掲載した。
著者
伊原木 大祐
出版者
北九州市立大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2016-04-01

本研究は、1960年代以後に優勢となるフランス現象学思想の一群(レヴィナス、アンリ、マリオン)を宗教哲学の高度な発展形態と捉えつつ、そこに表れた二元論的構成に着目することで、20世紀におけるフランス宗教哲学への新しい見方を提唱している。その結果、この思潮が形を変えながらショーペンハウアー哲学や20世紀のドイツ・ユダヤ思想にまで及んでいることを発見すると同時に、現代におけるマルキオン主義の政治的ラディカリズムを確認することができた。
著者
御手洗 みどり
出版者
北九州市立大学
巻号頁・発行日
2021-09-24

本論文は、終末期医療の現場において、親の死を受容できず、無理な延命治療の要求や医療者への苦情として問題を表出している成人期の子どもへの理解と家族支援の課題を具体的な事例検討を通して明らかにしたものである。
著者
水本 光美
出版者
北九州市立大学
雑誌
基盤教育センター紀要 = Bulletin, Center for Fundamental Education (ISSN:18836739)
巻号頁・発行日
no.9, pp.55-80, 2011-03

現在の若い世代の女性標準語話者は女性文末形式を特殊な場合以外は使用しない。しかし、日本語教科書やその他教材においては、若い世代の女性登場人物は多用する。これに関して日本語教師の意識調査を実施したところ、3割近くは教材の現状を肯定しており、ジェンダー意識に基づいた理由を挙げる者もいる。しかし、7割以上が現状に即していない使用は避けるべきだという調査結果から、教科書は現状を反映する時期が来ていると考える。