著者
高橋 一裕 長谷川 光司 阿山 みよし 春日 正男
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. HCS, ヒューマンコミュニケーション基礎
巻号頁・発行日
vol.99, no.384, pp.7-10, 1999-10-21

マルチメディア技術の発展によって,迫力のある映像だけでなくより臨場感のある音場再生技術が望まれているが,これを実現しようとするとき,映像が音像定位に与える影響は無視できない.本研究では,視覚情報が音像定位に与える影響について実験的に検討する.被験者の正面より左右30度ずつに配置された2つのスピーカから被験者の両耳までの伝達関数をそれぞれ測定し,バイノーラルな音場再生を実現するための逆フィルタを求めた.これにより作成したバイノーラル音像と実音源による音像をそれぞれ用い,半円形のスクリーン上の様々な位置の映像を組み合わせて被験者に提示し,音像定位を測定した.
著者
野村 直之 高橋 一裕
雑誌
全国大会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.第41回, no.人工知能及び認知科学, pp.75-76, 1990-09-04

言語学・工学の諸分野では慣用句および類似の術語の指し示す概念は一定していないようにみえる。市販の辞典によれば慣用句とは「二語以上が結合し、または相応じて用いられ、その全体がある固定した意味を表すもの。『油を売る』」とされ、またidiomとは、「全体の意味が各単語の意味を組み合わせて得られるのではなく、独特なもの;例"in the soup" 『困って』」とされる。これらは、いずれも計算言語学の言葉で言えば「構成性(compositionality)が成立しないこと」に注目した定義になっている。しかし、現在工学分野では明らかにこの定義とは異なる扱いもみられる。そこで、本稿では慣用性を互いに独立な3軸によって定義する枠組を提案する。慣用表現の定式化は意味解析システムの解析精度を高め、さらに解析結果の意味構造を適切に定義することに貢献する。特に、ある語彙が慣用句であるか否かの線引きを迫られるという意味で『大規模な』 自然言語処理システムの構築に対して、有益な示唆を与えるものと考えられる。この他、自然言語からの知識獲得や、外国語学習者のためのCAIシステムの効率的な設計や教材内容そのものへの応用が考えられる。
著者
長谷川 光司 高橋 一裕 阿山 みよし 春日 正男
出版者
一般社団法人 映像情報メディア学会
雑誌
映像情報メディア学会誌 (ISSN:13426907)
巻号頁・発行日
vol.55, no.3, pp.455-462, 2001-03-20 (Released:2011-08-17)
参考文献数
23
被引用文献数
2 1

The purpose of this paper is to clarify the effects of visual information on corresponding auditory information when they are presented simultaneously in a wide frontal area (180 degrees) on a horizontal plain. Sound localization experiments were carried out both with and without visual stimuli associated with sound stimuli. In the experiments, four different visual images of a human speaker and the four corresponding speech sounds were used as the visual and sound stimuli, respectively. The visual stimuli were projected on a half-cylindrical shaped screen in five directions (-60, -30, 0, 30, 60 degrees), and the corresponding sound stimuli were reproduced in 13 directions (-90, …, -15, 0, 15, …, 90 degrees) via loudspeakers placed in each direction or transaural reproduction using a pair of loudspeakers (±30 degrees). The degree of sound localization accuracy was evaluated according to a five-grade system in cases where visual stimuli were absent. The results obtained showed that a sound image far away from its corresponding visual image (maximum 150 degrees) was affected by the visual image, and that a sound image having a relatively low degree of localization accuracy tended to be strongly affected by the visual image. These results show that, in addition to the relative position of visual and sound stimuli, the degree of sound localization accuracy is one of the important elements in auditory-visual interaction on a wide frontal area.
著者
高橋 一裕 野村 直之
雑誌
全国大会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.42, pp.7-8, 1991-02-25

機能語を正しく解釈することは、日本語の解析にとって不可欠な技術である。そのため、機能語の分類や曖昧性解消の方法は、情報処理の方面からも言語学の方面からも[野村89][鈴木89][奥津86][森田88]様々な研究がなされてきた。しかし従来の研究には、「40ページまでだけからでさえも」といった長い助詞列の曖昧性解消・機能解釈に関して明確なメカニズムの提案がなかった。本稿は、機能語列の曖昧性解消という課題のなかから、形態素解析における助詞列の文法的機能の曖昧性解消について論ずる。助詞列の順序構造に注目し、構造に適合しない並びを排除することによって助詞列の局所的曖昧性解消を行う、という方法について説明する。