著者
高橋 信人
出版者
The Association of Japanese Geographers
雑誌
地理学評論 (ISSN:13479555)
巻号頁・発行日
vol.76, no.13, pp.935-956, 2003-11-01 (Released:2008-12-25)
参考文献数
30
被引用文献数
1 4

22年間(1979~2000年)の8~11月の地上天気図を用いて作成した前線出現頻度から,秋雨初期(9/3~9/12),秋雨中期(9/13~10/7),秋雨終期(10/8~10/22)を定義し,降水分布や循環場を比較検討した.これらの時期の降水分布は前線出現頻度分布に伴った季節推移を示す.また,秋雨期における850hPa面の季節推移は,四つの気圧系(中国大陸上の高気圧,太平洋高気圧,インドモンスーン低気圧,南シナ海~フィリピン海付近の低緯度トラフ)と,日本付近およびベーリング海から伸びる中緯度トラフの盛衰によって特徴付けられる.特に,太平洋高気圧と台風活動を伴う南シナ海~フィリピン海付近の低緯度トラフの発達は,前線出現頻度の年々の多寡に深く関係している.また,これらの気圧系とベーリング海付近から伸びる中緯度トラフの発達時期,および東西方向の位置は,年々の前線高頻度期の遅速を決める大きな要因であることが明らかになった.
著者
高橋 信人 岩船 昌起
出版者
東北地理学会
雑誌
季刊地理学 (ISSN:09167889)
巻号頁・発行日
vol.67, no.1, pp.22-38, 2015 (Released:2015-08-01)
参考文献数
6
被引用文献数
1 2

東日本大震災後に建設された岩手県宮古市の仮設住宅の室内で2012年3月以降の約2年間,温湿度の観測をおこなった。この観測結果に基づき,主に夏季と冬季の晴天日における温湿度の平均的な日変化に注目して,仮設住宅の室内気候の建築タイプによる違いと,高齢者が生活する仮設住宅内での室内気候の特徴を調べた。建築タイプによって仮設住宅の室温の日変化は異なり,軽量鉄骨造りで室内にむき出しの鉄柱がある仮設住宅は,木造の仮設住宅に比べて冬季には1.7~3.4°C程度低温に,夏季日中は1°C程度高温になり,冬季,夏季ともに室温の日変化が大きかった。この仮設住宅内では,冬季,夏季ともに室温に比べて日中は鉄柱が高温,床面が低温になっており,夜間は鉄柱が低温になっている様子も認められた。この仮設住宅は相対湿度が他に比べて高く,夏季には熱中症危険度「厳重警戒」以上になる機会が,他の仮設住宅に比べて5割以上高かった。この仮設住宅に高齢者が生活する場合,冬季には室温に暖房の影響が大きく現れ,日最低気温が低い日ほど,室温の日較差や場所(高さ,部屋)による気温差が大きくなり,それらの値は平均的には7°C以上に及んでいることなどが明らかになった。
著者
高橋 信人 岩船 昌起
出版者
The Tohoku Geographical Association
雑誌
季刊地理学 (ISSN:09167889)
巻号頁・発行日
vol.67, no.1, pp.22-38, 2015
被引用文献数
2

東日本大震災後に建設された岩手県宮古市の仮設住宅の室内で2012年3月以降の約2年間,温湿度の観測をおこなった。この観測結果に基づき,主に夏季と冬季の晴天日における温湿度の平均的な日変化に注目して,仮設住宅の室内気候の建築タイプによる違いと,高齢者が生活する仮設住宅内での室内気候の特徴を調べた。建築タイプによって仮設住宅の室温の日変化は異なり,軽量鉄骨造りで室内にむき出しの鉄柱がある仮設住宅は,木造の仮設住宅に比べて冬季には1.7~3.4°C程度低温に,夏季日中は1°C程度高温になり,冬季,夏季ともに室温の日変化が大きかった。この仮設住宅内では,冬季,夏季ともに室温に比べて日中は鉄柱が高温,床面が低温になっており,夜間は鉄柱が低温になっている様子も認められた。この仮設住宅は相対湿度が他に比べて高く,夏季には熱中症危険度「厳重警戒」以上になる機会が,他の仮設住宅に比べて5割以上高かった。この仮設住宅に高齢者が生活する場合,冬季には室温に暖房の影響が大きく現れ,日最低気温が低い日ほど,室温の日較差や場所(高さ,部屋)による気温差が大きくなり,それらの値は平均的には7°C以上に及んでいることなどが明らかになった。