著者
原野 和芳 甘蔗 眞純 佐藤 道子 高松 純 高橋 成輔
出版者
THE JAPAN SOCIETY FOR CLINICAL ANESTHESIA
雑誌
日本臨床麻酔学会誌 (ISSN:02854945)
巻号頁・発行日
vol.22, no.7, pp.293-299, 2002-09-15 (Released:2008-12-11)
参考文献数
10

患者が麻酔とその危険性を理解するための支援について調査・検討した.情報提供の方法として麻酔前回診,「麻酔に関する説明書(以下同意書)」,麻酔・手術室全般をイラストで説明したパンフレットという3種類を用いた.結果は,麻酔および手術室手順の理解では同意書やパンフレット配付の有無で差はなかった.同意書は危険性への認識を高めた反面,不安を感じたという評価の割合が高く,前向きな気持ちに負の影響を与える可能性が示唆された.パンフレットは不安を軽減する可能性を認めた.以上のことから麻酔に関する危険性の理解を促進し,かつ不安を軽減するためには,同意書とパンフレット両方を麻酔前回診に配付することが有用であると考えた.
著者
坂口 嘉郎 冨永 昌宗 高橋 成輔
出版者
日本臨床麻酔学会
雑誌
日本臨床麻酔学会誌 = The Journal of Japan Society for Clinical Anesthesia (ISSN:02854945)
巻号頁・発行日
vol.24, no.7, pp.322-326, 2004-09-15
参考文献数
5
被引用文献数
1 1

九州大学医学部では1995年から高機能患者シミュレータを導入し, 医学生に対する麻酔科蘇生科のベッドサイド実習で利用している. 患者を対象とする臨床実習の前後に, 学生グループが自ら立てた計画に基づき, 麻酔シミュレーションを実践する. 酸素投与や換気補助をしないまま麻酔導入したりすることも少なくない. 疑似医行為の結果を目の当たりにすることで, 医学生らは自らの臨床能力の程度を自覚し, また医行為のもつ危険性も身をもって理解する. 高機能患者シミュレーションは, 患者に負荷を一切かけることなく, 医学生たちが, 主体的に修練する動機付けを得る意義があると考える. その効果的な運用についてはさらなる検討が望まれる.