著者
後藤 光與 是枝 忠子 黒沢 みつる 立沢 慶美 高橋 淳子
出版者
杏林医学会
雑誌
杏林医学会雑誌 (ISSN:03685829)
巻号頁・発行日
vol.11, no.4, pp.379-386, 1980

尿たんぱく定量法として界面活性剤(トリトンX-100)を添加したトリクロール酢酸-ポンソーS改良法について検討し, Pesceらの法, 佐々木らの改良法, ビウレット法およびその他の方法と比較した。この方法は温度やA/G比による影響がほとんどなく, ビウレット法との相関係数は0.998と良好な直線相関を示し, 高感度で満足すべき再現性を示した。操作はKingsbury-Clark法のように一段階ではなく簡便さはやや劣るが, 主な利点は, 高感度でしかもアルブミンとγ-グロブリンとでほぼ同じ感度を示し, 特異性が高い点が挙げられる。
著者
中沢 文子 高橋 淳子 宮地 昭弘 岩渕 康司
出版者
一般社団法人 日本家政学会
雑誌
日本家政学会誌 (ISSN:09135227)
巻号頁・発行日
vol.43, no.7, pp.655-659, 1992

根菜類, なす, 肉類など比較的含水量の多い食品を電子レンジで加熱し, 加熱中の食品内部の昇温過程を検討した.ゆで加熱では, 多数の食品がゆで水より速く昇温し105℃程度まで昇温した.直接加熱したいも類では, 一旦は118℃にも達してから100℃にもどり, 100℃に保持された.加熱による蒸気発生の初期には, 食品表面から抜けでる気体より食品内部に発生する気体が多いため, 内部の圧力が上がり沸点が上昇すると推察した.細胞組織がこの圧力に耐えられなくなり小数の破裂点が生じ蒸気の通り道が通じて圧力は緩和され, 100℃に戻ると考えられた.顕微鏡観察によると, 電子レンジ加熱したいもでは壊れた細胞壁が少数あり, 細胞内容物が流出していた.これが糊の役目をして, 電子レンジ加熱したいものテクスチャに影響を与えていると考えられた.
著者
中沢 文子 高橋 淳子 盛田 明子
出版者
共立女子大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2002

1.第一大臼歯が欠損している被験者に圧力素子を埋めた義歯を装着して、被験者を束縛することなく自然な状態で種々のテクスチャーの食物の咀嚼し,その過程を計測した.食物を摂取してから飲み込むまでの咀嚼中の第一大臼歯に生じる噛む力パルスと,その臼歯の上下,左右,前後の3次元的な動きを同時測定した.咀嚼1噛み目の力のパルスと,臼歯の上下の動きから,摂食した食物の口腔内における力-変位曲線を求めることが出来た.機器による力-変位曲線と比較すると,機器による80%までの圧縮で最大値は2500Nにも達したが,臼歯で噛むときの最大咀嚼力は自然に食べるときには最大でも200N以下であり大きな違いがあった.1噛み目の最大咀嚼力が小さい,すなわち噛み切る力が小さい食物類が老人に好まれる食物類と一致した.2.微生物多糖のジェランのゲルを食べたときの口蓋圧を測定した.舌と硬口蓋で押しつぶして食べる咀嚼から,歯で噛む咀嚼に移行するゲルの機器測定による硬さは30kPa程度であり,寒天,ゼラチン,カラギーナンの潰して食べる限界破断破断応力とほぼ一致した.個人差はあるが,人が自然に食べるとき,舌で潰して咀嚼する限界の応力ははゲルの種類によらず,30kPa程度であることが示された。ジェランは,0.5%以下の濃度で3桁に及ぶG',G"の変化があり,周波数依存性がなく,天然のゲル化剤としての有効な特性を持つことが示唆された.3.6MHzの超音波パルスドップラー法により水および濃度の異なるゲルを嚥下したときの喉頭蓋直前を通過する嚥下物の流動速度分布を測定した.平均流速の平均値はゲルの濃度によらず0.1m/s程度であり,他方,最大流速の平均値は,水では0.5m/sであり平均流速との差は大きく分布が広がり,早く流れる水の存在が示された.