著者
中沢 文子
出版者
一般社団法人 日本調理科学会
雑誌
調理科学 (ISSN:09105360)
巻号頁・発行日
vol.20, no.2, pp.111-117, 1987-07-20 (Released:2013-04-26)
参考文献数
3
被引用文献数
2
著者
那須 佳子 中沢 文子
出版者
The Japan Society of Home Economics
雑誌
家政学雑誌 (ISSN:04499069)
巻号頁・発行日
vol.32, no.5, pp.396-400, 1981-06-20 (Released:2010-03-10)
参考文献数
6

苺ジャムの色について検討し, 次の結果を得た.1) 官能検査より, 電子レンジ加熱ジャムは電熱器加熱ジャムに比べ外観がよく色鮮やかで柔らかである.2) 電子レンジ加熱ジャムは電熱器加熱ジャムより可視部の吸光度が高く, レモン汁添加は吸光度を高める効果をはたす.3) 電子レンジ加熱の場合は, 加熱時間を増すにつれて可視部の吸光度が増大し, 見かけ上色鮮やかになるのに対し, 電熱器加熱の場合は, 加熱時間を増すといったん色鮮やかになり, 加熱時間が30分を越すと可視部の吸光度は減少し退色が肉眼でも明らかになる.4) 電子レンジ加熱ジャムにおいても実際はアントシアン色素が加熱によって崩壊しており, 見かけの色鮮やかさの原因は水分蒸発によりアントシアン濃度が高くなるからである.5) 室温で保存する場合, レモン汁添加は退色を遅延させるが, その効果は保存後5ヵ月で消失する.6) 室温保存では約3ヵ月でアントシアン色素の可視吸収はほとんど消失するが, 一方, 冷蔵庫保存ではほとんど退色せず, 冷蔵庫保存1年のものと室温保存1ヵ月のものとではほぼ同じような退色状態である.

1 0 0 0 OA 食品中の水

著者
野口 駿 中沢 文子
出版者
The Japan Society of Home Economics
雑誌
日本家政学会誌 (ISSN:09135227)
巻号頁・発行日
vol.40, no.9, pp.755-763, 1989-09-05 (Released:2010-03-10)
参考文献数
83
著者
中沢 文子 高橋 淳子 宮地 昭弘 岩渕 康司
出版者
一般社団法人 日本家政学会
雑誌
日本家政学会誌 (ISSN:09135227)
巻号頁・発行日
vol.43, no.7, pp.655-659, 1992

根菜類, なす, 肉類など比較的含水量の多い食品を電子レンジで加熱し, 加熱中の食品内部の昇温過程を検討した.ゆで加熱では, 多数の食品がゆで水より速く昇温し105℃程度まで昇温した.直接加熱したいも類では, 一旦は118℃にも達してから100℃にもどり, 100℃に保持された.加熱による蒸気発生の初期には, 食品表面から抜けでる気体より食品内部に発生する気体が多いため, 内部の圧力が上がり沸点が上昇すると推察した.細胞組織がこの圧力に耐えられなくなり小数の破裂点が生じ蒸気の通り道が通じて圧力は緩和され, 100℃に戻ると考えられた.顕微鏡観察によると, 電子レンジ加熱したいもでは壊れた細胞壁が少数あり, 細胞内容物が流出していた.これが糊の役目をして, 電子レンジ加熱したいものテクスチャに影響を与えていると考えられた.
著者
那須 佳子 中沢 文子
出版者
公益社団法人 日本農芸化学会
雑誌
日本農芸化学会誌 (ISSN:00021407)
巻号頁・発行日
vol.55, no.10, pp.935-941, 1981 (Released:2008-11-21)
参考文献数
4

(1) アントシアニジン塩化物結晶(ペラルゴニジン,シアニジン,デルフィニジン,マルビジン)では77 K以上において発光は観測されなかった. (2) アントシアニジン・エタノール溶液の77 Kにおける発光測定を行った結果,ペラルゴニジンでは2.13 eV, 2.02 eV, 1.96 eVにピークを持つ発光帯が,シアニジンでは2.09 eV, 1.96 eVにピークを持つ発光帯が,デルフィニジンとマルビジンでは2.07 eV, 1.96 eVにピークを持つ発光帯が観測された. (3) ペラルゴニジンの2.13 eV発光帯,シアニジンの2.09 eV発光帯,デルフィニジンとマルビジンの2.07 eV発光帯は,最も主な可視吸収帯である2.2~2.3 eV吸収の逆過程の発光であることが暗示され,これらの発光帯と吸収帯に関与する電子状態は同じであると考えられた. (4) 1.96 eV発光帯は4つのアントシアニジンにおいて共通に現れ,基底状態より1.96 eV高エネルギー側に,吸収では観測されなかった最もエネルギーの低い電子状態が存在することが明らかになった. (5) 2.2~2.3 eV吸収帯の高エネルギー側の吸収帯である3.0 eV, 3.4 eV吸収帯の光を照射した際も, 2.07~2.13 eV発光帯, 1.96 eV発光帯が現れ,これより,電子を高いエネルギー状態に励起しても,エネルギーの最も低い2つの電子状態に緩和してきてその状態から発光することが明らかになった. (6) シアニジンの配糖体であるクリサンテミン塩化物結晶において1.90 eVに発光の存在すること,シアニン塩化物結晶では発光が存在しないことが明らかになった.また,クリサンテミン水溶液において1.88 eVに発光が存在することも明らかになった.
著者
中沢 文子 高橋 淳子 盛田 明子
出版者
共立女子大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2002

1.第一大臼歯が欠損している被験者に圧力素子を埋めた義歯を装着して、被験者を束縛することなく自然な状態で種々のテクスチャーの食物の咀嚼し,その過程を計測した.食物を摂取してから飲み込むまでの咀嚼中の第一大臼歯に生じる噛む力パルスと,その臼歯の上下,左右,前後の3次元的な動きを同時測定した.咀嚼1噛み目の力のパルスと,臼歯の上下の動きから,摂食した食物の口腔内における力-変位曲線を求めることが出来た.機器による力-変位曲線と比較すると,機器による80%までの圧縮で最大値は2500Nにも達したが,臼歯で噛むときの最大咀嚼力は自然に食べるときには最大でも200N以下であり大きな違いがあった.1噛み目の最大咀嚼力が小さい,すなわち噛み切る力が小さい食物類が老人に好まれる食物類と一致した.2.微生物多糖のジェランのゲルを食べたときの口蓋圧を測定した.舌と硬口蓋で押しつぶして食べる咀嚼から,歯で噛む咀嚼に移行するゲルの機器測定による硬さは30kPa程度であり,寒天,ゼラチン,カラギーナンの潰して食べる限界破断破断応力とほぼ一致した.個人差はあるが,人が自然に食べるとき,舌で潰して咀嚼する限界の応力ははゲルの種類によらず,30kPa程度であることが示された。ジェランは,0.5%以下の濃度で3桁に及ぶG',G"の変化があり,周波数依存性がなく,天然のゲル化剤としての有効な特性を持つことが示唆された.3.6MHzの超音波パルスドップラー法により水および濃度の異なるゲルを嚥下したときの喉頭蓋直前を通過する嚥下物の流動速度分布を測定した.平均流速の平均値はゲルの濃度によらず0.1m/s程度であり,他方,最大流速の平均値は,水では0.5m/sであり平均流速との差は大きく分布が広がり,早く流れる水の存在が示された.