著者
内田 千代子 高橋 由光 杉村 仁美 UCHIDA M KING R OSTROFF R FINN-STEVENSON M
出版者
福島大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2011

本自殺予防教育により、多くの学生が「自殺の危険のある友人に、効果的に支援を申し出ることが自分にできる、自殺したいと思っているか聞ける、それにより友人を救う可能性がある」「死別による悲しみで苦しんでいる人に、カウンセリングや精神科受診を進めることがあると思う」と感じるようになった。友人の危険に際し適切な援助を勧めることができることによる自己効力感(self-efficacy)、遺された人をサポートできる力をもち、ピアサポーティブな行動をとれる学生を養成するという本研究の目的に叶った効果が認められた.
著者
荒木 和夫 増澤 祐子 高橋 由光 中山 健夫
出版者
日本公衆衛生学会
雑誌
日本公衆衛生雑誌 (ISSN:05461766)
巻号頁・発行日
vol.65, no.12, pp.730-743, 2018-12-15 (Released:2018-12-27)
参考文献数
45
被引用文献数
1

目的 現行個人情報保護・研究倫理法制の体系と立法目的を明らかにすることにより,研究主体と研究対象の違いによる分類ごとに適用すべき個人情報保護・研究倫理関係法令等の適用関係を示す。学術研究目的による個人情報保護法令等の適用除外を考察することにより,改善点と今後の在り方を提示する。方法 系統的文献調査による記述的研究。「e-Gov法令検索」により,個人情報保護又は研究倫理に関する法令であって,人を対象とする医学系研究又はヒトゲノム・遺伝子解析研究に適用可能なものを選択した。薬機法およびGCP・GPSP省令等ならびに行政組織・手続等に関する法令は除外した。さらに,都道府県の個人情報保護条例(個条例)および対象法令に対応するガイドライン等を選択した。これらの法令等に基づき,個人情報保護と研究倫理に関する現行法体系とそれらの適用範囲・優先適用関係等を検討した。個人情報保護3法・個条例の目的規定および学術研究目的による適用除外規定の内容ならびに個条例の規定の地域的偏りを調査した。結果 個人情報保護に関する現行法体系は約2,000件の法令等を含む3階層から成ること,医学研究に関する個人情報の保護について包括的な法律がないこと,そのため研究主体の類型により適用法令等が異なることが明らかとなった。研究倫理は,医学研究の種類により適用法令等が異なっていた。個人情報保護法(個情法)は2つの目的を,行政機関個人情報保護法(行個法)と独立行政法人等個人情報保護法(独個法)は3つの目的を規定していた。学術研究目的の場合,個情法には包括的除外規定があるが,行個法と独個法は3つの個別除外規定を設けていた。個条例では,都道府県により規定の有無・内容にばらつきがあるが,国の法令と整合性を取るため要配慮個人情報に関する改正が相次いだ。結論 我が国の現行個人情報保護法令等の体系は「混合方式」と考えられる。さらに,(1)法令等の間で必ずしも整合性がとられていない,(2)研究倫理に関する包括的な法律はない,(3)研究主体の類型により適用法令が異なるため,学術研究目的による個人情報保護法令等の適用除外に違いがあるほか,とくに共同研究の場合は適用法令等の判別が複雑である。そのため,医療に関する個人情報については,今後,制度という大きな枠組みで,その保護,利活用および倫理問題について検討を進めることが不可欠と考えられる。
著者
高橋 由光 宮木 幸一 新保 卓郎 中山 健夫
出版者
Japan Association for Medical Informatics
雑誌
医療情報学 = Japan journal of medical informatics (ISSN:02898055)
巻号頁・発行日
vol.27, no.1, pp.83-89, 2007-05-30
被引用文献数
2

[背景]アスベスト問題に関する新聞報道を定量的に分析するため,ネットワーク分析を利用したテキスト・マイニングを行い有用性を検討した.<br/> [方法]アスベストまたは石綿を含む 1945 ~ 2005 年朝日新聞見出しを対象とし,ネットワーク分析を利用したテキスト・マイニングを行った.<br/> [結果]1987 年頃と 2005 年に多かった.1987 年は 36 記事あり,汚染(40%)が高く出現し,除去と運動(26%)や除去と学校(11%)は同時に出現する単語であった.2005 年は 293 記事あり,人と死亡(9%),危険と人(8%)が多く同時に出現した.1987 年は厚生省や環境庁が関わる環境汚染に関する部分と,文部省が関わる学校からのアスベスト除去運動に関する部分があるのに対し,2005 年は人々の死亡が中心となり厚労省が関わり補償など対応策がとられた.<br/> [結論]ネットワーク分析を利用したテキスト・マイニングは情報を定量的に把握し,視覚化することを可能とした.