著者
鈴木 知子 宮木 幸一
出版者
国際医療福祉大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2016-04-01

大学学生対象の調査に関しては、本大学における公衆衛生学、精神医学、学生相談室の先生方との研究協力において実施した。そして、約500人の学生に調査参加頂いた。現在、解析実施中である。また、対象学生に調査票の回答をしてもらう以外に調査に協力頂いたことに対する還元、フィードバックとして、メンタル面においてリスクが高いと思われる学生に任意での学生相談室への相談の呼びかけを第1回調査対象の学生に行った。残りの学生に対しても準備中である。発達障害傾向として当初はその内の自閉症特性のみの着目を計画していたが、もうひとつの大人の発達障害傾向として問題となっている注意欠如・多動症(ADHD :attention-deficit hyperactivity disorder)傾向にも着目し、日本国内でも世界的にも使用されている成人ADHDスクリーニング用の自記式調査票ASRS(Adult ADHD Self-Report Scale)も追加して調査を行った。そして、現診断基準DSM-5による改訂版(DSM-5版ASRS)が今年2017年5月に原著者のKessler教授らにより公表された(JAMA Psychiatry. 2017)ため、原著者の許可のもと、日本語訳を作成し調査票に含めた。発達障害者の支援をされている、協会理事長、発達障害支援団体代表理事、クリニック院長、社会福祉法人役員、社会福祉士、産業保健師、精神保健福祉士などの方々のインタビューを行い、支援をする時に心がけていること、もどかしい点など、支援する立場からの意見を伺い、今後の研究への。収集したデータ解析については順次実施中であり、テーマごとに完成次第、学会発表、論文化を進めている。
著者
宮木 幸一 中山 健夫 岩隈 美穂
出版者
国立国際医療研究センター
雑誌
特定領域研究
巻号頁・発行日
2008

本研究の主な目的はゲノム・コホート事業が開始され継続されていく中で市民の事業・研究に対する認知の現状と血液提供意思に影響を与える因子を把握し、それに基づいた市民・研究者双方への情報提供の在り方を検討することである。事業開始前の調査では、年齢階級別に無作為抽出された2000人(回収率53% : 1060部)のうち、研究参加希望者が36.3%(383名)、「わからない」と答えたものが42.3%(447名)、「血液を提供したくない」と答えたものが383名中62.7%(217名)であった。研究参加の理由は「子や孫の世代の健康づくりに役立つ」が最も多く67.5%(75名)であり、研究参加に消極的な理由は「予期しない不利益があるかもしれない」が最も多く584名中45.2%(264名)であった。消極的な層が参加に転じる条件として、「自分の解析結果の提示」を挙げたものが548名中(45.2% : 264名)と最も多かった。事業開始後1年半後に行った2500人対象の調査と聞き取り調査から、信用にたる事業者が提供する「お得な健診」として認知されていることが示唆され、ゲノム研究の認知に関しては国民性の差があることが示唆されているが、我が国でのゲノム疫学研究を進めていく上で参考とすべき事項が明らかとなった。
著者
高橋 由光 宮木 幸一 新保 卓郎 中山 健夫
出版者
Japan Association for Medical Informatics
雑誌
医療情報学 = Japan journal of medical informatics (ISSN:02898055)
巻号頁・発行日
vol.27, no.1, pp.83-89, 2007-05-30
被引用文献数
2

[背景]アスベスト問題に関する新聞報道を定量的に分析するため,ネットワーク分析を利用したテキスト・マイニングを行い有用性を検討した.<br/> [方法]アスベストまたは石綿を含む 1945 ~ 2005 年朝日新聞見出しを対象とし,ネットワーク分析を利用したテキスト・マイニングを行った.<br/> [結果]1987 年頃と 2005 年に多かった.1987 年は 36 記事あり,汚染(40%)が高く出現し,除去と運動(26%)や除去と学校(11%)は同時に出現する単語であった.2005 年は 293 記事あり,人と死亡(9%),危険と人(8%)が多く同時に出現した.1987 年は厚生省や環境庁が関わる環境汚染に関する部分と,文部省が関わる学校からのアスベスト除去運動に関する部分があるのに対し,2005 年は人々の死亡が中心となり厚労省が関わり補償など対応策がとられた.<br/> [結論]ネットワーク分析を利用したテキスト・マイニングは情報を定量的に把握し,視覚化することを可能とした.