著者
高橋 真聡 冨松 彰
出版者
一般社団法人日本物理学会
雑誌
日本物理学会誌 (ISSN:00290181)
巻号頁・発行日
vol.46, no.10, pp.835-842, 1991
被引用文献数
3

クエーザーやセイファート型銀河などに分類される活動的銀河は, 中心核領域から相対論的速度でプラズマのジェット流を放出するなど, 非常に激しい活動性を示しています. この活動性のエネルギー源を説明するものとして, 超大質量のブラックホールの存在が強く示唆されています. その強重力はプラズマを集積し, 磁気圏を形成しますが, この磁気圏はブラックホールの回転エネルギーを抽出する窓口として重要な機能を担っていることが理解されるようになってきました. 本解説では, ブラックホール磁気圏の構造とはどのようなものか, ブラックホールと電磁場とプラズマの相互作用によってどのような物理過程が起こるのかについて解説します.
著者
西山 正吾 Lozi Julien 高橋 真聡 孝森 洋介 美濃和 陽典 斉田 浩見 Guyon Olivier
出版者
宮城教育大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2019-04-01

本研究の目的は、銀河系の巨大ブラックホールを周回する星の観測を通した、ブラックホール重力場での一般相対論の検証である。そのためにまず、すばる望遠鏡の補償光学装置に装備する赤外線波面センサーを開発する。赤外線波面センサーの導入により、ブラックホールに近い、明るい赤外線星を補償光学のガイド星として観測することができるようになる。これにより一般相対論の検証に適した晩期型の星の観測が可能となる。この開発が終わり次第、ブラックホールを周回する星の観測を開始する。年数回のモニター観測を継続し、その視線速度の変化から、ブラックホールがつくりだす重力場を測定し、一般相対論の予想との整合性を検証する。
著者
高橋 真聡
出版者
愛知教育大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2012-04-01

ブラックホールが作る曲がった時空における高エネルギー天体現象の理解のため、ブラックホール周辺の磁気圏の構造についての研究を深化した。銀河系中心やコンパクトX線天体の中心では激しい天体現象が発現しているが、その活動性の原因にはブラックホールが深く関与していると考えられている。ただし、そのようなブラックホールの存在は直接観測的には未だに確認されてはいない。私は、観測されているような激しい活動性を引く起こすようなブラックホールの周辺環境モデルを構築した。また、その様子をどのように観測的に確認できるのかについて、電波VLBI天文観測および近赤外線天文観測の分野と協力して、方策を検討した。