著者
岡 朋治 竹川 俊也 西山 正吾 野村 真理子 浅山 信一郎 松本 浩典
出版者
慶應義塾大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2020-04-01

本研究課題は、銀河系(天の川銀河)中に1億個以上浮遊すると考えられる「見えない」ブラックホール、および銀河中心に遍く存在すると考えられる「超巨大ブラックホール」の種となる「中質量ブラックホール」を、星間空間に広がる分子ガスの分布・運動の情報を使用する全く新しい手法によってくまなく検出しようとするものです。この研究によって、銀河系内のブラックホールの空間・質量分布が明らかにされます。これからブラックホールの合体・成長の様子を把握することができ、これを礎にして「ブラックホール天文学」が創始されることが期待されます。
著者
西山 正吾 Lozi Julien 高橋 真聡 孝森 洋介 美濃和 陽典 斉田 浩見 Guyon Olivier
出版者
宮城教育大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2019-04-01

本研究の目的は、銀河系の巨大ブラックホールを周回する星の観測を通した、ブラックホール重力場での一般相対論の検証である。そのためにまず、すばる望遠鏡の補償光学装置に装備する赤外線波面センサーを開発する。赤外線波面センサーの導入により、ブラックホールに近い、明るい赤外線星を補償光学のガイド星として観測することができるようになる。これにより一般相対論の検証に適した晩期型の星の観測が可能となる。この開発が終わり次第、ブラックホールを周回する星の観測を開始する。年数回のモニター観測を継続し、その視線速度の変化から、ブラックホールがつくりだす重力場を測定し、一般相対論の予想との整合性を検証する。
著者
西山 正吾
出版者
社団法人プラズマ・核融合学会
雑誌
プラズマ・核融合学会誌 (ISSN:09187928)
巻号頁・発行日
vol.87, no.2, pp.89-93, 2011-02-25

観測装置の発展に支えられ,20世紀末には宇宙論が精密科学へと成熟していった.今後も装置の進歩は止まらず,観測精度はますます高くなっていくだろう.しかしそれだけで,宇宙を"精密に"とらえられるようになるのだろうか.精密化の鍵をにぎるのは,星間空間にただよう宇宙塵である.天体からの光は星間塵によって減光される.紫外線から赤外線の波長にわたる観測では,特にこの影響が顕著である.近年の研究で,星間塵による減光がいかに"多様か"ということがわかってきた.本節では,星間減光の理解の変遷を,歴史的な経緯を含めて紹介したい.星間減光の多様性を理解すること,赤外線波長域での星間減光の観測を推し進めること,これらが今後,光赤外線天文学をより精密な科学とするために必要な要素である.