著者
内藤 文子 青山 葉子 藤田 孝輝 高橋 節子
出版者
一般社団法人日本調理科学会
雑誌
調理科学 (ISSN:09105360)
巻号頁・発行日
vol.27, no.4, pp.253-259, 1994-11-20
被引用文献数
1

ラクトスクロースは乳糖とショ糖を原料としたビフィズス菌増殖活性の強い難消化性の糖質である。このラクトスクロースがマシュマロの物性や食味に及ぼす影響を知る目的で、ショ糖を対照としてラクトスクロースを25、50および100%置換して調製したマシュマロについて、クリープメーターによる破断強度測定、レオロメーターによるテクスチャーおよび官能評価による食味特性から検討し次のような結果を得た。1)ラクトスクロールの粉末品(LS-55P)を用いたマシュマロの硬さ、破断エネルギーはショ糖100%に比べて大きい値となり、こしや歯ごたえのあるテクスチャーを与えることが明らかとなった。2)ラクトスクロールをショ糖の25%置換したマシュマロは対照と近似の物性を示した。50%以上の置換では硬さの増加が顕著となったが破断歪や凝集性に与える影響は僅少であった。3)市販マシュマロ3種の硬さは1.44〜2.75(×10^5N/m^2)と試料間の差が大きく、実験室調整品4種はそれらの中間の値であった。4)官能評価の結果からラクトスクロール25%置換のマシュマロは対照のショ糖100%と似た食味特性を示し、歯切れや口どけが良く、対照と同様に好まれる製品といえる。ラクトスクロース100%置換は硬さが大であり甘味が低いためか嗜好性は低い傾向を示した。5)ラクトスクロール100%置換のマシュマロは硬くボディーのしっかりした製品が得られることから、ゲル化剤としてのゼラチンの使用量を1.0%減ずることが可能であった。このことは起泡時の作業性を良くし、経済性につながると考えられる。6)マシュマロの物性と官能評価との相関関係は硬さと口どけ、破断エネルギーと甘さ、歯切れとの間に負の相関が認められ、物性測定中硬さ、破断エネルギーはマシュマロの食味の一つの指標となると考えられた。また、官能評価の各項目と総合評価との間では、甘さ、歯切れの良さ、口どけの良さの3項目において、特性評価および嗜好ともにそれぞれ正の相関が認められた。7)ラクトスクロールの粉末品を用いたマシュマロは甘味度が低いことから、菓子としてのみでなくサラダやデザート菓子などの調理素材としても即席に幅広く利用できると考えられた。
著者
大家 千恵子 高橋 節子
出版者
一般社団法人日本調理科学会
雑誌
調理科学 (ISSN:09105360)
巻号頁・発行日
vol.20, no.4, pp.362-370, 1987-12-20
被引用文献数
6

サゴ澱粉を用いてマフィンとパンを調製し、その調理特性を機器測定により検討するとともに、官能評価を行いその利用特性をみた。以上結果を要約すると次のようである。1. 各種澱粉にバイタルグルテンを10%添加してマフィンを調製した場合、サゴ澱粉マフィンは官能検査の結果から口あたりがよく、弾力にとみ、きめの均一な製品が得られることが明らかとなった。2. 強力粉に各種澱粉を30%添加しさらにバイタルグルテンを10%添加して調製した合成パンの場合、サゴ澱粉を用いた合成パンはコントロールおよび他の澱粉パンに比べて、膨化が良く弾力があり、すだちの良い製品が得られた。3. 各種澱粉にバイタルグルテンを36%添加してパンを調製した場合、サゴ澱粉を用いたパンはコントロールに比べて、凝集性および弾力性が大きく、軟らかさのあるパンが得られた。さらに官能検査の結果からこのパンの特徴はコントロールに比べて膨化がよく、とうもろこしや馬鈴薯澱粉を用いたパンに比べて外観、弾力、軟らかさ、総合評価の点で有意に好まれる傾向を示した。このようにサゴ澱粉を膨化品のマフィンやパンにも利用でき、きめの均一な膨化がよいなどの製品を得られることが明らかとなった。
著者
大家 千恵子 高橋 節子
出版者
一般社団法人日本調理科学会
雑誌
調理科学 (ISSN:09105360)
巻号頁・発行日
vol.20, no.4, pp.371-377, 1987-12-20
被引用文献数
5

保存中の澱粉パンの澱粉の糊化度の変化、水分含量及びクリープ測定の結果から次のことが明らかとなった。1.糊化度の測定から、サゴ澱粉パンは、焼成直後の糊化度が90%と最も高く、馬鈴薯澱粉パン86%、とうもろこし澱粉パン69%を示した。また冷凍後の糊化度はコントロールパンに次いで高い値を示しサゴ澱粉パンは冷凍による劣化が少ないパンといえる。2.サゴ澱粉パンは室温保存及び冷凍による粘弾性の変化が少なく、コントロールパンに近似の物性値を示した。3.サゴ澱粉パンの糊化度や粘弾性測定の結果は順位法による官能評価とよい一致を示し、軟らかく、弾力のあるパンであった。4.糊化度と水分含量及び静的粘弾性の物性値の三者の間には高い正の相関が認められた。