著者
朴聖俊 高田 彰二 山村 雅幸
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.46, no.3, pp.898-910, 2005-03-15

爆発的に増加するタンパク質立体構造を比較することは構造ム機能相関の解析にきわめて重要である.既存の立体構造比較手法はタンパク質全体を剛体として扱う.しかし,進化的に新しい機能を獲得する際にタンパク質構造は部分的特異的に変形を受けるため,剛体としての取扱いには限界がある.本論文では機能進化過程において,構造変形を受けにくいビルディングブロックと構造変形が顕著なループ部分が存在することを考慮に入れた立体構造比較手法を開発する.提案手法は部分構造比較と全体構造比較を2層で並列探索し,遺伝的アルゴリズムの集団探索性能を活用してタンパク質の機能進化における構造変形の柔軟性を可視化する.2層比較の基本的なアイデアと実装について説明したうえで探索アルゴリズムと評価関数の特徴と性能について述べ,構造-機能相関の解析ツールとしての有効性を示す.
著者
高田 彰二
出版者
一般社団法人 日本生物物理学会
雑誌
生物物理 (ISSN:05824052)
巻号頁・発行日
vol.50, no.4, pp.158-159, 2010 (Released:2010-07-25)
被引用文献数
1 1
著者
高田 彰二
出版者
一般社団法人 日本生物物理学会
雑誌
生物物理 (ISSN:05824052)
巻号頁・発行日
vol.61, no.3, pp.144-151, 2021 (Released:2021-05-28)
参考文献数
27

Towards cellular-scale structural modeling, multiscale biomolecular simulation is gaining much attention. Here, I review methodological aspects of coarse-grained (CG) biomolecular simulations. I begin with conceptual argument of coarse graining for proteins where the idea behind Gō models is discussed. Then, statistical physics and theories of coarse graining are described. I then exemplify a class of CG models for proteins, nucleic acids, and lipids, where about 10 non-hydrogen atoms are grouped into one CG particles. Finally, I discuss three sources of speeding up by coarse graining.
著者
高田 彰二
出版者
物性研究刊行会
雑誌
物性研究 (ISSN:05252997)
巻号頁・発行日
vol.75, no.4, pp.779-784, 2001-01-20

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著者
高田 彰二
出版者
京都大学
雑誌
新学術領域研究(研究領域提案型)
巻号頁・発行日
2009

リガンド結合に伴って大きく構造変化するアロステリック蛋白質のレアな大振幅ゆらぎについて、全原子モデルと粗視化モデルを併合したマルチスケールシミュレーションによって研究した。まず、リガンド非結合のアポ状態と結合したホロ状態の立体構造が既知のアロステリック蛋白質71個について、両構造におけるアミノ酸対相互作用を、全原子モデルにより計算した。その結果、両構造で保存されたアミノ酸対相互作用は、強いものから弱いものまで普遍則に従う指数分布をするのに対して、片方の構造でだけ見出されるアミノ酸対相互作用は、ほぼすべて弱いものでり、明確に異なる分布をもつことを発見した。この規則は対象とした41蛋白質すべてにおいて成立していた。次に、全原子モデルによるアミノ酸対相互作用エネルギーを用いて、これに比例するエネルギーをもつ粗視化モデルを構築した。さらに、この比例係数およびほかのパラメータは、23個のテスト蛋白質について、全原子モデルで計算したゆらぎと粗視化モデルで計算したゆらぎをマッチさせることによって求めた。このようにして得られたモデル、原子相互作用に基づく粗視化モデル(AICGモデル)のテストとして、天然状態での平均ゆらぎ、アロステリック蛋白質の構造変化方向を計算したところ、従来の粗視化モデルに比べてかなり優れた予測能力をもつことが分かった。ACIGモデルを用いて、アデニル酸キナーゼの大振幅ゆらぎを調べたところ、ホロ状態にいる蛋白質が10^<-6>程度の確率でアポ状態に近い(RMSD3.5A程度)にまでゆらぐことが明らかとなった。大振幅なゆらぎは、調和的なモデルでは記述できない。さらに、原子相互作用に基づかない従来の粗視化モデルでは、AICGに比べて、大きすぎるエネルギー障壁をもつことを示した。