著者
齋藤 寿広 壽 和夫 澤村 豊 高田 教臣 平林 利郎 佐藤 明彦 正田 守幸 寺井 理治 西端 豊英 樫村 芳記 阿部 和幸 西尾 聡悟 木原 武士 鈴木 勝征 内田 誠
出版者
農業技術研究機構果樹研究所
雑誌
果樹研究所研究報告 (ISSN:13473549)
巻号頁・発行日
no.19, pp.1-9, 2015-03

1. '美玖里'は,1995年に農林水産省果樹試験場(現農業・食品産業技術総合研究機構果樹研究所)において'石鎚'に'秋峰'を交雑し,育成した実生から選抜した果実品質が優れる中~晩生のニホングリ品種である。1999年に一次選抜し,2000年からクリ第6回系統適応性検定試験に供試した。2009年2月の平成20年度果樹系統適応性・特性検定試験成績検討会(落葉果樹)で新品種候補にふさわしいとの合意が得られ,2011年3月9日に,登録番号20474号として種苗法に基づき品種登録された。2. 樹勢は強く,樹姿は直立で,枝梢の発生量は多い。雌花の開花期は'筑波'より遅く'石鎚'とほぼ同時期,果実の成熟期は育成地では9月下旬~10月上旬で'筑波'と'石鎚'の間である。若木での収量は'筑波'や'石鎚'と同程度である。双子果,裂果,腐敗果の発生は栽培上問題とならない程度に少ない。環境条件により,虫害果が多発する場合がある。3. 果実は円形で,褐色を呈する。系統適応性検定試験における平均果重は26g程度で'筑波'や'石鎚'と同程度以上で,揃いは良好である。果実の比重は'筑波'や'石鎚'より高く,肉質,甘味,香気ともに'筑波'と同程度以上で'石鎚'より優れ,食味は良好である。渋皮剥皮は困難である。果肉は黄色で,'筑波','石鎚'と比較して明度が高く,黄色味が強い。4. 関東地方以西の産地で特性を発揮できるが,東北地方での適応性は不明である。既存の主要品種と比較して果肉色や食味の点で優れており,ゆで栗等家庭用消費の他,付加価値の高い加工原料としての利用が期待される。
著者
齋藤 寿広 壽 和夫 澤村 豊 阿部 和幸 寺井 理治 正田 守幸 高田 教臣 佐藤 義彦 平林 利郎 佐藤 明彦 西端 豊英 樫村 芳記 小園 照雄 福田 博之 木原 武士 鈴木 勝征 内田 誠
出版者
農業技術研究機構果樹研究所
巻号頁・発行日
pp.1-9, 2009 (Released:2011-05-24)

1. ‘ぽろたん’は、1991年に農林水産省果樹試験場(現農業・食品産業技術総合研究機構果樹研究所)において‘550-40’に‘丹沢’を交雑し、育成した実生から選抜した渋皮剥皮性が優れる早生のニホングリ品種である。1999年に一次選抜し、2000年からクリ第6回系統適応性検定試験に供試した。その結果2006年10月4日付で‘ぽろたん’と命名され、‘くり農林8号’として登録、公表された。2007年10月22日付けで種苗法に基づき第15658号として品種登録された。2. 樹勢はやや強く、樹姿はやや直立である。枝梢は密に発生し、太く、長い。雌花の着生は多く、結果性はやや多い。果実の成熟期は育成地では9月上~中旬で‘国見’と同時期である。3. きゅう果は扁球形で‘国見’と同程度の大きさで、果実の側果側面の形は帯円三角形、横面は尖円形である。平均果重は30g程度で‘国見’より若干小さいが、‘丹沢’よりやや大きく、揃いは中程度である。双子果の発生はやや多く、裂果の発生は少ない。果実の比重は‘丹沢’や‘国見’より高く、肉質はやや粉質である。果肉は黄色で甘味、香気ともに‘丹沢’や‘国見’より多く、食味は良好である。環境条件により、虫害果が多発する場合がある。蒸しグリでの渋皮剥皮性は易であり、焼きグリにした場合、チュウゴクグリ程度に容易に剥皮出来る。4. 試作を検討した関東地方以西の産地で特性を発揮できるが、東北地方での適応性は不明である。ニホングリで唯一渋皮剥皮性が優れる品種であり、家庭での消費増大はもとよりニホングリの新規加工需要の創出等多方面での利用が期待される。
著者
山本 雅史 高田 教臣 山本 俊哉 清水 徳朗
出版者
鹿児島大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2012-04-01

ナシにおいて原品種と同じ遺伝子型を備える葉を材料とした染色体分析法を開発した。幼葉を材料とした酵素解離法による最適条件は、酵素組成が4%セルラーゼオノズカRS、1.5%マセロザイムR200および0.3%ペクトリアーゼY-23、37℃、60~75分であった。ニホンナシ黒斑病のナシにおける本病因遺伝子座の染色体上の位置を検出した。この領域を含むBACクローンを用いたFISHを行ったところ、2本の染色体の端部にシグナルが観察できた。ナシと同じくバラ科ナシ亜科に属するリンゴの染色体構成をナシと比較した。両者の染色体構成は極めて類似していた。