著者
高田 良三 佐野 拓哉 香川 龍太郎
出版者
日本養豚学会
雑誌
日本養豚学会誌 (ISSN:0913882X)
巻号頁・発行日
vol.57, no.2, pp.23-32, 2020-06-20 (Released:2020-10-08)
参考文献数
26

離乳子豚にもちだわら(モチ米,玄米)およびコシヒカリ(うるち米,玄米)を給与した時の飼養成績,乾物·窒素消化率,血漿尿素態窒素濃度および遊離アミノ酸濃度,肝臓Lysine-ketoglutarate reductase (LKR,リジン分解酵素)活性へ及ぼす影響について検討を行った。試験区はトウモロコシ,大豆粕,脱脂粉乳を主体とした対照区,対照区のトウモロコシを全量もちだわら,コシヒカリで代替したもちだわら区,コシヒカリ区の3試験区とした。各試験区に4頭ずつ合計12頭の離乳子豚(LWD種,開始体重7.2±0.2kg)を用いて21日間の飼養試験を行った。21日間の飼養試験の結果,0-14日および0-21日の日増体量では,いずれももちだわら区が対照区よりも有意に高くなり,コシヒカリ区は高くなる傾向が認められた。飼料摂取量は,もちだわら区がどの期間においても対照区よりも有意(P<0.05)に高くなり,あるいは高くなる傾向が見られた。コシヒカリ区における飼料摂取量は0-14日において,対照区よりも高くなる傾向が認められた。飼料効率は3週間の試験期間全体においては各試験区間に違いは認められなかった。血漿尿素態窒素(PUN)濃度は,コシヒカリ区が対照区に対して有意に低下したが,もちだわら区では対照区との違いは認められなかった。乾物の消化率はもちだわら区とコシヒカリ区がいずれも対照区よりも有意に高かった。肝臓LKR活性は対照区に対してもちだわら区,コシヒカリ区いずれも有意に低い値を示した。血漿遊離アミノ酸濃度において,バリン,ヒスチジン濃度は対照区に対して両飼料用米区ともに有意に高い値を示した。以上,結論として,離乳子豚へのもちだわら,コシヒカリ給与はトウモロコシ給与と比べて日増体量を高くし,特にもちだわら給与によって大きく向上することが明らかとなった。また,PUN濃度の低下,肝LKR活性の低下が観察されたことから,離乳子豚への飼料用米給与はタンパク質代謝に影響を及ぼし,タンパク質蓄積量は高くなることが示唆された。
著者
高田 良三 山崎 信 杉浦 俊彦 横沢 正幸 大塚 誠 村上 斉
出版者
Japanese Society of Animal Science
雑誌
日本畜産學會報 = The Japanese journal of zootechnical science (ISSN:1346907X)
巻号頁・発行日
vol.79, no.1, pp.59-65, 2008-02-25
参考文献数
20
被引用文献数
7 7

わが国における肥育豚の飼養成績に及ぼす地球温暖化の影響を各地域の月平均気温の変動予測シナリオから推定した.肥育去勢豚(開始体重42.1±5.5kg)を用いて環境制御室において温度と飼養成績との関係を求めたところ,23℃時の日増体量に対して5%,15%,30%低下する時の気温はそれぞれ24.5℃,27.3℃,30.4℃であることが示された.同様に日飼料摂取量に対してはそれぞれ25.9℃,30.3℃,33.8℃であった.6~9月について,その気温域に該当する区域を日本地図上に図示するプログラムにより,肥育豚の日増体量に及ぼす地球温暖化の影響を解析した.「気候温暖化メッシュデータ(日本)」を将来の気候予測データとして用い,約10×10km単位のメッシュで解析を行った.その結果,2030年,2060年と年代の経過と共に日増体量の低下する地域が拡がり,また低下する程度もより厳しくなることが予測された.8月においては現時点ですでに西日本の沿岸部を中心に日増体量の低下が認められるが,2060年になると北海道の一部および標高の高い山間部を除いた大半の地域で日増体量の低下が予測され,特に関東以西では15~30%の厳しい日増体量低下が予測された.以上の結果から,今後予測される地球温暖化の加速化がわが国の養豚生産に大きく影響を与えることが明らかとなった.
著者
尾台 昌治 高橋 敏治 鈴木 伸明 加藤 聖哲 松本 英俊 高田 良三
出版者
日本家畜管理学会
雑誌
家畜の管理 (ISSN:03888207)
巻号頁・発行日
vol.19, no.3, pp.68-73, 1984-02-27

ロ一夕リーミルキソグパーラーの合理的な使用法を確立する目的で試験を行なっているが, 今回はターンテーブルの回転速度を1.4,1.9,2.5m/分(1回転に要する時間はそれぞれ16分22秒, 13分55秒, 9分48秒), と極端におそくした場合に, 搾乳所要侍間・作業者の移動距離などがどのように変化するかを調査し, 次の結果を得た。1)搾乳所要時間は, ターンテーブルの回転速度が速くなるにしたがって短かくなり, 1.4m/分に比較して, 朝搾乳時は1.9m/分で13%, 2.5m/分では23%, 夕搾乳時では1.9m/分で15%, 2.5m/分では32%短縮した。回転速度は, 1.9m/分で21%, 2.5m/分で42%速くなったが, 搾乳所要時間の短縮とは一致しなかった。2)回転速度が速くなるにしたがって, 作業待ち, タールテーブル洗浄などの時間は減少したが, 他の直接搾乳に関係する作業時間は回転速度が変っても大きな影響は受けなかった。3)回転速度が速くなるにしたがって, 作業者の移動距離は長くなり, 1.4m/分に比べ夕搾乳では1.9m/分で20%, 2.5mでは27%, 朝搾乳時はそれぞれ24%, 36%増加した。4)乳の流出速度の遅い牛がいると, ターンテーブルの回転速度が速くなるにしたがって, ターンテーブルを停止する回数・時間が多くなるとともに, ミルカー離脱位置がパーラー全体に拡まり, 作業者の移動距離が長くなった。