著者
高畠 令王奈
出版者
国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2014-04-01

本研究では、既存のリアルタイムPCRをはじめとするDNA定量技術を評価するために、一桁台を含むごく少数の規定数N個のDNA分子を含む標準試料DNAの開発を試みた。そのために、標的DNAが直列にN個つながったDNA試料(標準DNA-N)を作製した。標準DNA-Nには、予め各PCR標的DNA配列間に制限酵素の認識配列を配置しておき、一定体積中に標準DNA-Nが1分子以下になるまで限界希釈し、さらに、制限酵素処理することによって、分子数が任意のN個からなる標準DNAの調製が可能となる。現在、PCRの標的配列を16個含む標準DNA-16までの開発に成功した。
著者
Sabina Yeasmin 高畠 令王奈 鍵屋 ゆかり 岡﨑 法子 峯岸 恭孝 橘田 和美
出版者
公益社団法人 日本食品衛生学会
雑誌
食品衛生学雑誌 (ISSN:00156426)
巻号頁・発行日
vol.62, no.6, pp.180-186, 2021-12-25 (Released:2021-12-25)
参考文献数
19
被引用文献数
1

食品あるいは飼料において,遺伝子組換え(GM)作物の検出法を開発するためには,種特異的な内在性配列が不可欠である.本研究では,ナス科作物のβ-fructosidase遺伝子の部分配列を用いて,loop-mediated isothermal amplification (LAMP)法によるナスの種特異的検出法を開発した.LAMP法は,迅速,特異的かつ低コストで実施可能な検出技術である.開発したプライマーセットを用いて,ナスの種特異性および安定性を,18品種のナスおよびナス科植物を含む作物種を用いて検討した.また,検出限界を評価した.その結果,本LAMP検出法は,ナスに特異的であり,かつナス品種間で安定した増幅を示した.以上の結果から,LAMP法によるGMナス検出法が開発される際には,有用な陽性コントロールとして利用可能であることが示された.
著者
高畠 令王奈 大西 真理 真野 潤一 岸根 雅宏 曽我 慶介 中村 公亮 近藤 一成 橘田 和美
出版者
公益社団法人 日本食品衛生学会
雑誌
食品衛生学雑誌 (ISSN:00156426)
巻号頁・発行日
vol.61, no.6, pp.235-238, 2020-12-25 (Released:2020-12-25)
参考文献数
10
被引用文献数
1

安全性審査済み遺伝子組換え(GM)トウモロコシおよびダイズの粉砕試料中の混入率を,重量混合比として算出するためには,内標比が必要である.内標比は,GMダイズに関しては,リアルタイムPCR新機種QuantStudio5, QuantStudio12K Flex, LightCycler 96およびLightCycler 480において,組換え配列と内在性配列のコピー数比を基に既に測定されているが,GMトウモロコシに関しては未対応であった.本研究では,GMトウモロコシのスクリーニング検査法の対象であるカリフラワーモザイクウイルス35Sプロモーター,GA21構造特異的領域,MIR604系統特異的領域,MIR162系統特異的領域において,上記リアルタイムPCR4機種を用いて内標比を算出した.
著者
岸根 雅宏 野口 秋雄 真野 潤一 高畠 令王奈 中村 公亮 近藤 一成 橘田 和美
出版者
公益社団法人 日本食品衛生学会
雑誌
食品衛生学雑誌 (ISSN:00156426)
巻号頁・発行日
vol.59, no.3, pp.151-156, 2018-06-25 (Released:2018-07-21)
参考文献数
15
被引用文献数
2

過去の検討によってDNA検出が不可能であった高度加工食品(しょうゆ,コーンフレーク,でんぷん糖,甜菜糖,植物油など)については,現在遺伝子組換え表示対象外となっている.われわれは,それら高度加工食品のうち,水飴,甜菜糖および植物油を対象として,最新のDNA抽出キットを用いることでDNAが検出可能であるか検討を行った.食品原材料植物の種特異的内在性遺伝子DNAの検出を指標とした結果,いずれの試料においてもDNA検出可能と判定された試料はなかった.DNAが検出されなかった試料の大部分は,抽出DNAへのPCR阻害物質の混入は認められず,抽出DNA量がPCRによる検出限界以下であることが原因であると考えられた.