著者
高良 麻子
出版者
一般社団法人日本社会福祉学会
雑誌
社会福祉学 (ISSN:09110232)
巻号頁・発行日
vol.53, no.4, pp.42-54, 2013-02-28

現代日本の社会変動やそれに伴う政策・制度機能不全を背景として,変容・拡大する生活問題を体験している人々に対しては,構造的変化を見据えた支援が必要だと考えられる.そこで本研究では,社会福祉士によるソーシャル・アクションの認識および実践実態を把握することを目的に,日本社会福祉士会会員に対する質問紙調査を実施した.その結果,(1)回収率から関心の低さが推測されること,(2)構造的変化を含めたソーシャル・アクションの認識が記述者の半数であったこと,(3)そのうちの実践者は調査対象者の24%(148)であったこと等から,本来のソーシャル・アクションを実践できている社会福祉士は一部であることが明らかになった.また,重要性を認識しながらも,実際の行動に移せない状況がみられた.このような状況に対応するためには,(1)問題および法制度課題の認識,(2)実践環境の整備,(3)ソーシャル・アクション方法の体系化が必要だと考えられた.
著者
高良 麻子
出版者
一般社団法人 日本社会福祉学会
雑誌
社会福祉学 (ISSN:09110232)
巻号頁・発行日
vol.56, no.2, pp.126-140, 2018-07-20

変容している生活問題への対応が十分とは言えないなか,社会的に排除されている人々に対して地域を基盤とした総合的かつ包括的支援が展開されている.なかでも,制度の未整備などには法律・制度・サービスの改廃・創設を含む構造的変化を促す組織的活動であるソーシャル・アクションが必要だと言えるが,研究と実践ともに蓄積が乏しい状況である.そこで,本研究ではソーシャル・アクションの実践を体系的に把握することを目的とし,成果が確認された社会福祉士による42の実践事例を分析した.その結果,近年実践されているソーシャル・アクションは当事者の参加度が低く,かつ介入対象レベルが狭いことが明らかになった.実践プロセスは,制度などに関する課題に気づき,課題を把握し,課題理解促進や関係者の組織化を並行して行いながら,構造的変化を目的とする組織的活動を行っており,日頃からのネットワークや実践の蓄積などの基盤が不可欠だと考えられた.