著者
高野 了太 高 史明 野村 理朗
出版者
公益社団法人 日本心理学会
雑誌
心理学研究 (ISSN:00215236)
巻号頁・発行日
pp.91.19225, (Released:2020-11-01)
参考文献数
41
被引用文献数
6

The right-wing authoritarianism (RWA) scale has been associated with prejudice, discrimination, and intergroup conflict. This study developed Japanese versions of the RWA scale and examined their validity. Although it is a well-established assessment tool to measure authoritarian dispositions, none of the RWA scales translated into Japanese were standardized. In this study, we translated the RWA scale items into Japanese using the back translation method and verified their reliability and construct validity. Results revealed that Japanese versions of the RWA scale comprised two factors with a method factor and had adequate reliability and construct validity. This study provides new insights into the structure of authoritarian personalities in the Japanese population.
著者
高野 了太 野村 理朗
出版者
公益社団法人 日本心理学会
雑誌
日本心理学会大会発表論文集 日本心理学会第84回大会 (ISSN:24337609)
巻号頁・発行日
pp.PM-013, 2020-09-08 (Released:2021-12-08)

畏敬は,現在の認知的枠組みを更新するような広大な刺激に対する感情反応と定義される。先行研究では,自己をちっぽけに知覚することが畏敬の心理プロセスの重要な側面を担うというスモール・セルフ仮説が提示されてきた。この仮説は認識される自己に焦点を当てており,次に明らかにすべきは経験の主体としての自己に対する畏敬の効果である。そこで本研究はラバーハンド錯覚に着眼し,畏敬が身体所有感に及ぼす影響について検討した。ラバーハンド錯覚では,隠された自分の手と眼前のゴムの手を同時に撫でられることで,ゴムの手を自分のものと錯覚する。先行研究では,この錯覚傾向が自己主体感の脆弱な統合失調パーソナリティ傾向と正の相関関係にあること,加えて畏敬が出来事の原因を「超自然的な何か」への帰属傾向を高めることが示されている。そこで本研究では畏敬がラバーハンド錯覚を促す可能性について検討し,畏敬がゴムの手に対する身体所有感を高め,畏敬によりスモール・セルフを感じた個人ほどこの傾向が顕著となることを示した。これらの発見は,畏敬が自己をちっぽけに感じさせるよりむしろ,自己を「手放す」プロセスを有することを示唆する。
著者
高野 了太 高 史明 野村 理朗
出版者
公益社団法人 日本心理学会
雑誌
心理学研究 (ISSN:00215236)
巻号頁・発行日
vol.91, no.6, pp.398-408, 2021 (Released:2021-02-25)
参考文献数
41
被引用文献数
2 6

The right-wing authoritarianism (RWA) scale has been associated with prejudice, discrimination, and intergroup conflict. This study developed Japanese versions of the RWA scale and examined their validity. Although it is a well-established assessment tool to measure authoritarian dispositions, none of the RWA scales translated into Japanese were standardized. In this study, we translated the RWA scale items into Japanese using the back translation method and verified their reliability and construct validity. Results revealed that Japanese versions of the RWA scale comprised two factors with a method factor and had adequate reliability and construct validity. This study provides new insights into the structure of authoritarian personalities in the Japanese population.
著者
高野 了太 澤田 和輝 野村 理朗
出版者
公益社団法人 日本心理学会
雑誌
日本心理学会大会発表論文集 日本心理学会第85回大会 (ISSN:24337609)
巻号頁・発行日
pp.PC-054, 2021 (Released:2022-03-30)

畏敬は,現在の認知的な枠組みが更新するような広大な刺激に対する感情反応である。従来,雄大な自然等の刺激から生じる畏敬が自己主体感を低下させ,目の前の超越的な出来事を説明するための新たな意味体系(神等)を見出すよう動機づけること等が指摘されている。これらの知見は,畏敬が「人は行いにふさわしい成果をこの世界で与えられる」という公正世界信念(Belief in a just world,以下BJWとする)と関わる可能性を示唆する。BJWは対象を自己としたBJW-自己と,他者としたBJW-他者の2種からなり,例えば,BJW-自己は,自分の運命をコントロールする点から自己主体感と正に関わる一方,BJW-他者は,世界に意味体系をもたらす点から宗教的信仰心と正に関わることが示されている。ゆえに本研究では,日常的に畏敬を経験する傾向(気質畏敬)とBJW-自己・他者の関連を検討した。結果,他のポジティブ感情の効果を統制した際,気質畏敬は,BJW-自己を負に,BJW-他者を正に特異的に予測した。これらの結果は,畏敬が,自他の対象によって異なる形で,世界を理解するための枠組みとしての信念と関わることを示唆する。