著者
木下 順弘 蒲原 英伸 藏元 一崇 池田 公英 入江 弘基 笠岡 俊志 浅井 篤
出版者
一般社団法人 日本外傷学会
雑誌
日本外傷学会雑誌 (ISSN:13406264)
巻号頁・発行日
vol.28, no.4, pp.323-326, 2014-10-20 (Released:2014-10-20)
参考文献数
5

【症例】30代女性,妊娠25週.軽乗用車の後部座席に乗車中,他車と衝突し受傷した.来院時意識清明であった.多発外傷の治療中,原因のはっきりしないびまん性脳腫脹をきたした.神経学的所見,平坦脳波より脳死状態と診断した.家族は母体の延命を希望せず,挙児の希望があり,脳死後4日目に帝王切開術にて718gで出生し,まもなく母体は心停止した.世界的にも脳死母からの出生は極めてまれであり,本例の方針決定の経過を報告する.
著者
米満 弘一郎 白 鴻成 前野 良人 大西 光雄 西野 正人 木下 順弘 定光 大海
出版者
一般社団法人 日本救急医学会
雑誌
日本救急医学会雑誌 (ISSN:0915924X)
巻号頁・発行日
vol.19, no.7, pp.440-444, 2008-07-15 (Released:2009-07-25)
参考文献数
11

発症第 3 病日に劇症肝不全を合併したが,保存的加療にて軽快した熱中症III度症候群を経験した。症例は39歳の男性。マラソン中に意識消失した。Japan coma scale(JCS)200,腋窩温40.9°C,ショック状態だった。前医入院後,意識・全身状態は改善したが,第 3 病日に肝酵素,CPKの著明な上昇及びDICを認め当院転院となった。第 4 病日に肝性昏睡II度,PT活性20%,HPT 20%,AKBR 0.69,AST 3,330 IU/l,ALT 5,880 IU/l,NH3 155μg/dlとなり劇症肝不全と診断し,血漿交換及び持続血液濾過透析を行った。肝障害は速やかに改善し第33病日,独歩転院となった。熱中症III度症候群に合併する重症肝障害は,ショック,DICを契機に第 3 病日前後に顕在化すると考えられる。適時的な血液浄化などで保存的に軽快する例が多いが,早期より肝障害を想定した慎重な輸液管理,集中管理が重要である。
著者
野々木 宏 安田 康晴 今井 寛 太田 祥一 小澤 和弘 木下 順弘 小林 誠人 高階 謙一郎 森村 尚登 山野上 敬夫 山村 仁 脇田 佳典 横田 順一朗
出版者
公益財団法人 日本心臓財団
雑誌
心臓 (ISSN:05864488)
巻号頁・発行日
vol.51, no.8, pp.800-805, 2019-08-15 (Released:2020-10-26)
参考文献数
15

ST上昇型急性心筋梗塞(STEMI)の発症から再灌流療法までの時間を短縮するためには,病院前12誘導心電図記録の病院への事前伝達が有効であり,ガイドライン勧告がなされている.ガイドライン勧告の実践がなされているか救急隊による12誘導心電図記録と伝送の実態を把握するため,全国地域メディカルコントロール(MC)協議会251団体へのアンケート調査を実施した.回答率は96%で救急隊による12誘導心電計を搭載しているのは82%と高率であったが,全車両に搭載しているのは28%と低率であった.12誘導心電計を搭載している196団体のうち,電話による病院への事前伝達を行っているのは88%と高率であったが,伝送しているのは27%と低率であった.本アンケート結果から,ガイドライン勧告の実践を実現するためには,12誘導心電計の搭載とともに,地域MC協議会を中心とした救急隊と病院群との連携,プロトコル作成や心電図検証が必要であり,それには救急医とともに循環器医の地域MC協議会への関与が必要であると考えられる.