- 著者
-
髙梨 潤一
- 出版者
- 日本小児放射線学会
- 雑誌
- 日本小児放射線学会雑誌 (ISSN:09188487)
- 巻号頁・発行日
- vol.38, no.1, pp.35-43, 2022 (Released:2022-04-15)
- 参考文献数
- 31
急性脳症は500–800人/年,0–3歳の乳幼児に最も多く発症し,頻度の高い順にけいれん重積型(二相性)急性脳症(AESD, 34%),可逆性脳梁膨大部病変を有する軽症脳炎脳症(MERS, 18%),急性壊死性脳症(ANE, 3%)である.AESDは熱性けいれん重積との鑑別が時に困難であるが,早期診断に高b値拡散強調像,ASL,MRスペクトロスコピーの有用性が報告されている.AESDに特徴的なbright tree appearanceは剖検例の検討から肥胖型星状膠細胞増多を反映していると考えられる.MERSは脳梁の可逆性拡散低下を特徴とし,予後良好である.急性巣状細菌性腎炎にしばしばMERSを併発しやすい.家族性MERSの検討からMYRF遺伝子異常が報告され,MERSの病態が髄鞘浮腫であることを示唆する.自己免疫性GFAPアストロサイトパチーは視床後部の対称性病変,側脳室ないし脳梁の線状病変が特徴的である.