著者
南 雅代 隈 隆成 浅井 沙紀 髙橋 浩 吉田 英一
出版者
一般社団法人 日本地質学会
雑誌
地質学雑誌 (ISSN:00167630)
巻号頁・発行日
vol.128, no.1, pp.239-244, 2022-11-03 (Released:2022-11-03)
参考文献数
20
被引用文献数
1

Numerous carbonate concretion samples were collected during dredging around Nagoya Port in the 1960s. Most of the samples contained biological remains, including crabs, sea urchins, and bivalves, which formed their nuclei. In this study, the radiocarbon (14C) ages of the shells of the biological remains inside the concretions, as well as of the concretions themselves, were determined. Based on the metabolic carbon ratios of the bivalvia and sea urchin shells, which were calculated using δ13C values, the 14C ages of the shells and those of the metabolic carbon were estimated to be 7,350-7,050 cal BP and 9,680-9,430 cal BP, respectively. The 14C ages of the carbonate concretions were older than those of the shells due to the addition of metabolic carbon with older ages to the carbon of the concretion. The corrected age after removal of the old carbon was estimated to be 7,530-7,270 cal BP. The near-identical corrected ages of the shells and concretions indicate that the carbonate concretions in the Nagoya Port area formed rapidly after the death of the organisms, which is consistent with morphological evidence of rapid concretion formation in the sediment.
著者
髙橋 浩伸
出版者
一般社団法人 芸術工学会
雑誌
芸術工学会誌 (ISSN:13423061)
巻号頁・発行日
vol.77, pp.158-165, 2017 (Released:2019-02-01)

筆者は、これまで美的空間創造のための基礎的研究として、環境心理学のフィールドにおいて「人間-環境モデル」に基づき、建築空間における美的価値観の研究を続けてきたが、現代の建築的テーマとして、“ 地域性” や“ 歴史性” などが重視される中、その地域ならではの風土や文化・思想にあった美的空間を創造するためには、西洋の美とは違う、日本の特徴的な美を理解・把握しなければならないと考えた。 本研究は、筆者のこれまでの既往の研究を補完するものであり、美的空間創造のための基礎的研究と位置付けられ、その根本となるべき日本の美の概要と特徴を知るための研究と言える。具体的な本研究の内容は、国語学における知見を基に、古代から現在までの日本の美的言葉の時間的推移を調査・整理し、その構成モデルを作成することで、建築的視点や既往研究との比較検討を行い、日本の美の概要と特徴を把握することを本研究の目的とする。そのために、まず日本の美に関する言葉に着目し、国語学による知見を基に、古代からの現代においての時間推移と意味・内容の変遷を調査することとした。その結果まず美を表す言葉は、「くわし」→「きよら」→「うつくしい」→「きれい」と移り変わってきたことが理解でき、美的言葉の時代推移が把握できた。また、日本の特徴的な美的言葉に注目してみると、「なまめかしい」「こころにくい」「もののあわれ」「さみしい」など、今日では直接的に美を表現する言葉としては、理解しづらいような言葉が、古の日本人が持っていた、さりげない深い配慮を尊び、決し て誇張しないという奥ゆかしさの美であり、今日の日本人が失いかけている美の言葉として浮かび上がってきた。 また、「うつくしい」や「きれい」などの日本において美一般を表す言葉に関する共通する意味合いとして、清潔さ・明瞭さが見いだせるが、これらは、筆者の既往研究における、インテリア空間に関する現代日本人の美的価値観として多くの人が挙げた『シンプルである』『物が少ない』などと合致し、日本人の美的概念の特徴があらためて確認された。 更に今後は、本研究で明らかにされた「現代の日本人が失いかけている美の言葉」や「現代の日本人に受け継がれている特徴的な美の言葉」における美的言葉に着目し、それを建築的空間に落とし込み、日本人が持つ特徴的な美的概念に応じた、美的空間創造のための基礎研究を続ける予定である。
著者
上杉 雄大 伊原 良明 野末 真司 林 皓太 髙橋 浩二
出版者
一般社団法人 日本老年歯科医学会
雑誌
老年歯科医学 (ISSN:09143866)
巻号頁・発行日
vol.35, no.1, pp.70-74, 2020-06-30 (Released:2020-07-23)
参考文献数
12

緒言:今回,進行性核上性麻痺(PSP)の既往を有し,食道癌放射線治療後の摂食嚥下障害によって全量経管栄養管理となった患者が,複合的な嚥下訓練が著効し,全量経口栄養摂取可能となった症例を経験したので報告する。 症例:患者;76歳男性。既往歴;PSP。現病歴;2016年4月,胸部食道癌に対し,陽子線化学療法を実施。2016年9月,胸部食道の狭窄を認め,内視鏡下バルーン拡張を三度施行するも,食道裂創を認めた。胸部食道の狭窄は残存。以降誤嚥性肺炎を繰り返したため,嚥下訓練目的より当科紹介受診。現症;体重:52.7 kg,modified Rankin Scale 4,舌振戦あり,栄養摂取状況:藤島の嚥下Lv1。VF検査よりかき込み食い,口腔期の運動障害,上部食道狭窄を認めたが,咽頭期には大きな問題は認められなかった。当科診断;食道癌放射線治療後,PSPによる摂食嚥下障害。 経過:上記診断の下,口腔衛生指導,頸部ストレッチ,咀嚼訓練と並行し,嚥下調整食学会分類2013の1jより直接訓練開始した。食事ペースに注意するよう指導し,段階的に食形態の調整を続け,藤島の嚥下Lvは7まで改善した。 考察:本症例における誤嚥性肺炎の原因として,ペーシング障害,口腔期の運動障害,上部食道狭窄が原因と考えられる。各原因に対し,複合的な摂食指導・嚥下訓練を継続したことから,藤島の嚥下Lvが1から7まで改善したと考える。